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翌朝。
また、起きたら一人だった。
護衛の意味はあるのだろうか…。
今日はダンジョンに潜りたくなった。それを一応、誰かに言っておこうと思う。
そこで――。
「《瞬間移動》」
リダルンディが居る校長室に移動した。
「うわっ!?」
今日も驚かれた。
「そこまで驚く事では無いだろう?昨日も」
「…それで、今度は何の用だね」
「今日、ダンジョン潜ってくるから。それを言いに来た」
「は?」
は?って何だ?
「ダンジョン潜ってくる」
「いや、学生として、ちゃんと教室には出て…」
「そうか。メルヴェルに言って、脅迫して貰うか」
俺を拘束させる、ってな。
「待て待てっ!誰を脅迫させるつもりだ!」
「お前とヴァールデン」
「…どうぞ、ダンジョンに潜って来てください」
すげぇ、振るえてる。
本当にメルヴェル、何をしたの?
メルヴェルの名前を聞いただけで、何でも聞いてくれるじゃん…。あれ?俺って、ほぼ自由が許されている状態?
「じゃあ、行ってくる」
「学校の制服で行くのか?」
「…メルヴェルの自宅に寄ってく。《瞬間移動》」
学校の制服でも良いが、不審に思われたら不味い。事実、魔法師団の制服はメルヴェルの自宅にある。なら、メルヴェルの自宅に寄るしか無い訳だ。
私服が寮の部屋にあるが、あんな服装でダンジョンに潜るのは流石に…な。
「お帰りー!アヴィルくん」
少し泣き目のカロサが出迎えた。
「何で泣いてんの」
「だって…直ぐに帰ってくると行ったきり、一昨日、帰ってこなかったんだよ?」
あ…。カロサ、一人留守番にしていたのを忘れてた…。
「帰って来なかったのは悪かった。今回も、当分、帰ってこない」
「じゃあ…何の為に一時帰宅を?」
「魔法師団の制服を取りに」
「あれ?アヴィルくん、学校に通い始めたんじゃなかったの?メルヴェルさんが言ってたよ?」
「ダンジョン潜ってくるからさ」
「ダンジョン…?付いていっても良い?」
(ダンジョンなら、助けてあげる=願い事が出来るよね)
カロサが付いてくる?
別に良いか。
「付いて来ても良いぞ」
「有り難う、アヴィルくん!」
「―――それで、何処のダンジョンに潜るの?」
俺は魔法師団の制服に着替えた。
俺達はメルヴェルの自宅を出た直ぐの場所に居る。
「決めてない」
「えっ?」
「お前、一応、神だろ?飛べるよな」
「あ、うん、飛べるけど…まさか、空から行くところを探すの!?」
いや…普通だろ。
カロサは驚いているが、逆に驚かれて、俺が驚いている。それも、顔の表情に出るくらいには。
「よし、飛ぶか」
俺は《飛行》する。
「無詠唱で空を飛ぶ人間に初めてあったわよー!」
俺にカロサが飛んで付いてくる。
「無詠唱で空を飛ぶ人間ぐらい居るだろう」
「アヴィルくん以外に見たことがないよ」
「先ず、無詠唱する人間がそこまで居ないのか」
「そりゃ、馬鹿げた魔力量を持っていない限り…」
=俺は馬鹿げた魔力量ってことだな。
何度も言うが、俺に魔力の底がない。無限にある魔力。
「まあ、彼処でいっか…」
「えっ?もう、見付けたの?」
「ああ。最高難度のダンジョン」
「簡単に人間が死ぬ難度?」
「…それ以上」
「は?私は神だから良いけれど、アヴィルくんは人間よ!?…確認だけれど、人間?」
神だから良いのかは分からないが、初めて人間と言われた気がするが、最終的に確認された…。
「普通の人間だ、俺は」
「アヴィルくんが普通なら、他の人間はどうなるの…」
呆れられた。何で?
「兎に角、死んだらどうするの?」
(お願い!私に蘇生してもらうって言って…!)
「先ず、死なない。死ぬ間際で、自分で治療すれば良い。何を聞いている?当然の事を…」
「いや、全然、当然の事じゃないから」
カロサに突っ込まれた。
そんなツッコミをスルーして、ダンジョンに入っていった。
『GYUAAA!!』
入った瞬間、いきなり登場するはドラゴン。まあ、緑色だし、普通に倒していこう。
グーパン。
『GUAA!?―…』
はい、チーン。死んだね。
「《収納》」
ドラゴンの死体を回収し、そのまま進んだ。
***
カロサSide
私は召喚の女神カロサモンティス。またの名を世界を繋ぐ女神。
私の失敗により、アヴィル・リヴァーフォールズを日本に転移させてしまった。
ガードラーレ・アフロシェルドが転移させたのも事実だが、私が承認してしまったミスでもある。
アヴィルくんの力は膨大すぎて、日本――地球では維持がしにくい。なので、世界そのものの均衡が取れなかった。
私が転移させなければ、魔王だってこんなに力を付ける事は無かった。
そして、アヴィルくんが勇者召喚にて帰ることになり、私はホッとした。
アヴィルくんの時間を奪ってしまう様な形になってしまったので、お詫び分も含めて願い事を五つ叶える事にした。
今、まだ、一つのみしか願われていない。
私は私の神としてのプライドがある。だから、アヴィルくんの全ての願い事を叶えきれるまで、傍に居るつもりでいる。
勇者送還をした日から一週間位経った日、アヴィルくんは王宮に遊びに行ったきり、その日は帰って来なかった。その次の日も。
帰ってきたのは、その翌日。
帰ってくるなり着替え、ダンジョンに潜るのだと言う。
そして、今、アヴィルくんとダンジョンに潜っている。
アヴィルくんの選んだダンジョンは、普通に人間が死ぬ難度のダンジョン。
入るなり、緑色のドラゴンと遭遇したが、何と魔法師らしからぬ、グーパン一発で倒してしまった。
アヴィルくんは気にせず、どんどん奥へと進んでいった。
ドラゴンを倒す人間が居るなんて…。
私は呆れながら、後ろに付いていく事しか出来ない様である。
***
『GYURYUAA!!』
進むこと数分で、階層ボスと遭遇した。
それまでに、緑色ドラゴンは合計二十匹を倒し、全ての死体はしっかり回収してきている。
因みに階層ボスは青かった。(ドラゴン)
緑より少し強いかなー位の強さである。
「どうするの?」
やっと、口を開いたかと思えば、そんな事…。
「いや、普通に倒すけど?まだ、グーパンレベル」
「えっ…?」
俺は倒す。死体を回収し、次の階層へと進む。
カロサは呆然としていて、立ち尽くしていた。
「付いてこないのか?」
「…はっ!付いて行かない訳がない!」
別に付いて来なくても良いんだがな。
俺とカロサは次の階層へと進んだ。
『GAAA!!』
「どうして、次の階層でもドラゴンが現れるのよ!?」
「どうしてって、そりゃ、魔獣集合地帯だからな」
「それでも多過ぎ!有り得ないわ…」
二階層目に会ったドラゴンは赤い。青かった、一階層目のボスより一応、強い。
そして、このダンジョンを魔獣集合地帯だからと理由付けしたが、ボス級のドラゴンが普通に普通の魔獣として存在しているのは、本来有り得ない(らしい)のだ。
文に「らしい」が多いのは、俺にとっては別にドラゴンが居たからどうした級なので、一般の者達が言う事を言っているからであり、俺は「らしい」としか言えないのだ。
とは言え、まだ赤色のドラゴンはグーパンレベルなので、倒させて貰った。
グーパンレベルと自分で言ってて、何処までがグーパンレベルかはあんまり決めていない。定理がないけど。
「もう、ドラゴンをグーパンで倒しても驚かないわ…」
「一匹目をグーパンで倒してから、何十匹も倒しているんだが?」
「…ノーコメントよ」
「まあ、いっか。このまま最下層まで進むぞ」
カロサは遂に黙って付いてくるだけになった。
はい、と言うことで最下層に到着しましたー!何ちゃって。
いや、本当に到着したんだけどな。
時間としては、午後の授業が始まった位だろう。
ここまでで、ドラゴンは結構、倒したぞ。計四千二百匹。凄いよね、ここ。普通の魔獣も階層ボスも全てドラゴンだったんだけど。(笑)
まさかとは思うが、ダンジョンボスもドラゴンだったりするかも知れないな。
いや、絶対にドラゴンだろう。
ボス部屋の扉を開けた。
『GYUUAAA!!』
うん、ドラゴンだった。
金色のドラゴン。久し振りだな。
あの時のドラゴンは死に際に喋ったよな…。今となれば懐かしい(かも知れない)思い出だ。
「人の言葉で語るなら、今だけだぞ」
ボスのドラゴンに言ってみた。
『GYU?』
「ん?」
俺とドラゴンの首が同時に傾く。
あ、通じている気がする。
「ドラゴンが人の言葉を喋る訳がないでしょう!?」
『いや、喋れるぞ』
「嘘…!?」
まさか、このドラゴンも喋るとは…!
「あーもう、喋れんだったら早く、喋っておけよ」
『我の様に貴様等人間の言葉を喋るドラゴンは少なくてな…戦う前に驚かれて気絶されては、こちらとしては面白味が無いであろう?』
「既にお前の様なドラゴンに会ってるから安心しろ。驚く所は何一つ無い」
「会った事があるって相当よ!?まだ、普通の事をドラゴンの方が言っているよ!?」
「まあ、ドラゴン。お前に同感した部分はある」
確かにそうかもな、と少し思った所が。
「ドラゴンと共通の考え!?」
「戦う前に相手が気絶してたら、詰まらないし、面白味も無いしな」
「そこぉ!?」
『はっはっは、面白いな、貴様は。気に入ったぞ』
「ドラゴンに気に入れられちやってから…」
何か気に食わないが、何故かドラゴンに気に入れられた。
『光栄に思え。我に気に入れられた事を。血肉、骨、全て残さず平らげてあげよう』
気に入れられるって、そう言う事?
「そんな事を言っていられるのは今の内だぞ、ドラゴン。早く言っておけよ。例えば…遺言とか」
「『は…?』」
カロサとドラゴンの声が重なる。
「遺言って!ドラゴンに遺言、言わせる暇を与えちゃうの!?」
『逆に貴様の方こそ、遺言を言っておくべきだろう?自分の両親とか』
「ドラゴンのお前に何がわかる」
俺は出した事もない様な低い声でそう言った。
『何って、貴様自身を育てた両親とかに…』
「居ない」
『は?』
「目の前で殺されてんだよ。魔王に成り下がった元弟をこの手で刺した」
これが魔王討伐を簡単に説明した感じ。
『貴様なのか?我らが産みの父ともある魔王様を殺したのは…!』
「そうだ」
カロサは俯いたまま、静かに黙っている。
『許せぬ…』
「許せないかも知れない、お前は俺を。俺だって魔王を許せなかった。このまま逝ってくれ。《雷撃》―――」
『GYUAAA!!??』
喋るドラゴンは一瞬にして息絶えた。
「《収納》帰るぞ」
「…うん」
俺とカロサは地上とを繋ぐ魔法陣で、ダンジョン目の前まで戻った。
「《瞬間移動》」
俺はカロサを連れて、学校の校長室まで移動してしまった。
ここまで読んでくださり有り難うございます。
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余談(飛ばしても大丈夫です!)
意外と心優しい(?)金色のドラゴンなのでした。
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次の更新は明日12月31日です。




