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3

 翌朝。

 また、起きたら一人だった。

 護衛の意味はあるのだろうか…。

 今日はダンジョンに潜りたくなった。それを一応、誰かに言っておこうと思う。

 そこで――。


 「《瞬間移動》」


 リダルンディが居る校長室に移動した。



 「うわっ!?」


 今日も驚かれた。


 「そこまで驚く事では無いだろう?昨日も」

 「…それで、今度は何の用だね」

 「今日、ダンジョン潜ってくるから。それを言いに来た」

 「は?」


 は?って何だ?


 「ダンジョン潜ってくる」

 「いや、学生として、ちゃんと教室には出て…」

 「そうか。メルヴェルに言って、脅迫して貰うか」


 俺を拘束させる、ってな。


 「待て待てっ!誰を脅迫させるつもりだ!」

 「お前とヴァールデン」

 「…どうぞ、ダンジョンに潜って来てください」


 すげぇ、振るえてる。

 本当にメルヴェル、何をしたの?

 メルヴェルの名前を聞いただけで、何でも聞いてくれるじゃん…。あれ?俺って、ほぼ自由が許されている状態?


 「じゃあ、行ってくる」

 「学校の制服で行くのか?」

 「…メルヴェルの自宅に寄ってく。《瞬間移動》」


 学校の制服でも良いが、不審に思われたら不味い。事実、魔法師団の制服はメルヴェルの自宅にある。なら、メルヴェルの自宅に寄るしか無い訳だ。

 私服が寮の部屋にあるが、あんな服装でダンジョンに潜るのは流石に…な。


 「お帰りー!アヴィルくん」


 少し泣き目のカロサが出迎えた。


 「何で泣いてんの」

 「だって…直ぐに帰ってくると行ったきり、一昨日、帰ってこなかったんだよ?」


 あ…。カロサ、一人留守番にしていたのを忘れてた…。


 「帰って来なかったのは悪かった。今回も、当分、帰ってこない」

 「じゃあ…何の為に一時帰宅を?」

 「魔法師団の制服を取りに」

 「あれ?アヴィルくん、学校に通い始めたんじゃなかったの?メルヴェルさんが言ってたよ?」

 「ダンジョン潜ってくるからさ」

 「ダンジョン…?付いていっても良い?」

 (ダンジョンなら、助けてあげる=願い事が出来るよね)


 カロサが付いてくる?

 別に良いか。


 「付いて来ても良いぞ」

 「有り難う、アヴィルくん!」




 「―――それで、何処のダンジョンに潜るの?」


 俺は魔法師団の制服に着替えた。

 俺達はメルヴェルの自宅を出た直ぐの場所に居る。


 「決めてない」

 「えっ?」

 「お前、一応、神だろ?飛べるよな」

 「あ、うん、飛べるけど…まさか、空から行くところを探すの!?」


 いや…普通だろ。

 カロサは驚いているが、逆に驚かれて、俺が驚いている。それも、顔の表情に出るくらいには。


 「よし、飛ぶか」


 俺は《飛行》する。


 「無詠唱で空を飛ぶ人間に初めてあったわよー!」


 俺にカロサが飛んで付いてくる。


 「無詠唱で空を飛ぶ人間ぐらい居るだろう」

 「アヴィルくん以外に見たことがないよ」

 「先ず、無詠唱する人間がそこまで居ないのか」

 「そりゃ、馬鹿げた魔力量を持っていない限り…」


 =俺は馬鹿げた魔力量ってことだな。

 何度も言うが、俺に魔力の底がない。無限にある魔力。


 「まあ、彼処でいっか…」

 「えっ?もう、見付けたの?」

 「ああ。最高難度のダンジョン」

 「簡単に人間が死ぬ難度?」

 「…それ以上」

 「は?私は神だから良いけれど、アヴィルくんは人間よ!?…確認だけれど、人間?」


 神だから良いのかは分からないが、初めて人間と言われた気がするが、最終的に確認された…。


 「普通の人間だ、俺は」

 「アヴィルくんが普通なら、他の人間はどうなるの…」


 呆れられた。何で?


 「兎に角、死んだらどうするの?」

 (お願い!私に蘇生してもらうって言って…!)

 「先ず、死なない。死ぬ間際で、自分で治療すれば良い。何を聞いている?当然の事を…」

 「いや、全然、当然の事じゃないから」


 カロサに突っ込まれた。

 そんなツッコミをスルーして、ダンジョンに入っていった。


 『GYUAAA!!』


 入った瞬間、いきなり登場するはドラゴン。まあ、緑色(最弱)だし、普通に倒していこう。

 グーパン。


 『GUAA!?―…』


 はい、チーン。死んだね。


 「《収納》」


 ドラゴンの死体を回収し、そのまま進んだ。

***

 カロサSide


 私は召喚の女神カロサモンティス。またの名を世界を繋ぐ女神。

 私の失敗により、アヴィル・リヴァーフォールズを日本に転移させてしまった。

 ガードラーレ・アフロシェルドが転移させたのも事実だが、私が承認してしまったミスでもある。

 アヴィルくんの力は膨大すぎて、日本――地球では維持がしにくい。なので、世界そのものの均衡が取れなかった。

 私が転移させなければ、魔王だってこんなに力を付ける事は無かった。

 そして、アヴィルくんが勇者召喚にて帰ることになり、私はホッとした。

 アヴィルくんの時間を奪ってしまう様な形になってしまったので、お詫び分も含めて願い事を五つ叶える事にした。


 今、まだ、一つのみしか願われていない。

 私は私の神としてのプライドがある。だから、アヴィルくんの全ての願い事を叶えきれるまで、傍に居るつもりでいる。


 勇者送還をした日から一週間位経った日、アヴィルくんは王宮に遊びに行ったきり、その日は帰って来なかった。その次の日も。


 帰ってきたのは、その翌日。

 帰ってくるなり着替え、ダンジョンに潜るのだと言う。

 そして、今、アヴィルくんとダンジョンに潜っている。

 アヴィルくんの選んだダンジョンは、普通に人間が死ぬ難度のダンジョン。

 入るなり、緑色のドラゴンと遭遇したが、何と魔法師らしからぬ、グーパン一発で倒してしまった。

 アヴィルくんは気にせず、どんどん奥へと進んでいった。


 ドラゴンを倒す人間が居るなんて…。


 私は呆れながら、後ろに付いていく事しか出来ない様である。

***


 『GYURYUAA!!』


 進むこと数分で、階層ボスと遭遇した。

 それまでに、緑色ドラゴンは合計二十匹を倒し、全ての死体はしっかり回収してきている。

 因みに階層ボスは青かった。(ドラゴン)

 緑より少し強いかなー位の強さである。


 「どうするの?」


 やっと、口を開いたかと思えば、そんな事…。


 「いや、普通に倒すけど?まだ、グーパンレベル」

 「えっ…?」


 俺は倒す。死体を回収し、次の階層へと進む。

 カロサは呆然としていて、立ち尽くしていた。


 「付いてこないのか?」

 「…はっ!付いて行かない訳がない!」


 別に付いて来なくても良いんだがな。

 俺とカロサは次の階層へと進んだ。



 『GAAA!!』



 「どうして、次の階層でもドラゴンが現れるのよ!?」

 「どうしてって、そりゃ、魔獣集合地帯(ダンジョン)だからな」

 「それでも多過ぎ!有り得ないわ…」


 二階層目に会ったドラゴンは赤い。青かった、一階層目のボスより一応、強い。

 そして、このダンジョンを魔獣集合地帯だからと理由付けしたが、ボスらしいのドラゴンが普通に普通の魔獣として存在しているのは、本来有り得ない(らしい)のだ。

 文に「らしい」が多いのは、俺にとっては別にドラゴンが居たからどうした級なので、一般の者達が言う事を言っているからであり、俺は「らしい」としか言えないのだ。

 とは言え、まだ赤色のドラゴンはグーパンレベルなので、倒させて貰った。

 グーパンレベルと自分で言ってて、何処までがグーパンレベルかはあんまり決めていない。定理がないけど。


 「もう、ドラゴンをグーパンで倒しても驚かないわ…」

 「一匹目をグーパンで倒してから、何十匹も倒しているんだが?」

 「…ノーコメントよ」

 「まあ、いっか。このまま最下層まで進むぞ」


 カロサは遂に黙って付いてくるだけになった。




 はい、と言うことで最下層に到着しましたー!何ちゃって。

 いや、本当に到着したんだけどな。

 時間としては、午後の授業が始まった位だろう。

 ここまでで、ドラゴンは結構、倒したぞ。計四千二百匹。凄いよね、ここ。普通の魔獣も階層ボスも全てドラゴンだったんだけど。(笑)

 まさかとは思うが、ダンジョン(ラス)ボスもドラゴンだったりするかも知れないな。

 いや、絶対にドラゴンだろう。

 ボス部屋の扉を開けた。


 『GYUUAAA!!』


 うん、ドラゴンだった。

 金色のドラゴン。久し振りだな。

 あの時のドラゴンは死に際に喋ったよな…。今となれば懐かしい(かも知れない)思い出だ。


 「人の言葉で語るなら、今だけだぞ」


 ボスのドラゴンに言ってみた。


 『GYU?』

 「ん?」


 俺とドラゴンの首が同時に傾く。

 あ、通じている気がする。


 「ドラゴンが人の言葉を喋る訳がないでしょう!?」

 『いや、喋れるぞ』

 「嘘…!?」


 まさか、このドラゴンも喋るとは…!


 「あーもう、喋れんだったら早く、喋っておけよ」

 『我の様に貴様等人間の言葉を喋るドラゴンは少なくてな…戦う前に驚かれて気絶されては、こちらとしては面白味が無いであろう?』

 「既にお前の様なドラゴンに会ってるから安心しろ。驚く所は何一つ無い」

 「会った事があるって相当よ!?まだ、普通の事をドラゴンの方が言っているよ!?」

 「まあ、ドラゴン。お前に同感した部分はある」


 確かにそうかもな、と少し思った所が。


 「ドラゴンと共通の考え!?」

 「戦う前に相手が気絶してたら、詰まらないし、面白味も無いしな」

 「そこぉ!?」

 『はっはっは、面白いな、貴様は。気に入ったぞ』

 「ドラゴンに気に入れられちやってから…」


 何か気に食わないが、何故かドラゴンに気に入れられた。


 『光栄に思え。我に気に入れられた事を。血肉、骨、全て残さず平らげてあげよう』


 気に入れられるって、そう言う事?


 「そんな事を言っていられるのは今の内だぞ、ドラゴン。早く言っておけよ。例えば…遺言とか」

 「『は…?』」


 カロサとドラゴンの声が重なる。


 「遺言って!ドラゴンに遺言、言わせる暇を与えちゃうの!?」

 『逆に貴様の方こそ、遺言を言っておくべきだろう?自分の両親とか』



 「ドラゴンのお前に何がわかる」



 俺は出した事もない様な低い声でそう言った。


 『何って、貴様自身を育てた両親とかに…』

 「居ない」

 『は?』

 「目の前で殺されてんだよ。魔王に成り下がった元弟をこの手で刺した」


 これが魔王討伐を簡単に説明した感じ。


 『貴様なのか?我らが産みの父ともある魔王様を殺したのは…!』

 「そうだ」


 カロサは俯いたまま、静かに黙っている。


 『許せぬ…』

 「許せないかも知れない、お前は俺を。俺だって魔王を許せなかった。このまま逝ってくれ。《雷撃》―――」


 『GYUAAA!!??』


 喋るドラゴンは一瞬にして息絶えた。


 「《収納》帰るぞ」

 「…うん」


 俺とカロサは地上とを繋ぐ魔法陣で、ダンジョン目の前まで戻った。


 「《瞬間移動》」



 俺はカロサを連れて、学校の校長室まで移動してしまった。

ここまで読んでくださり有り難うございます。

誤字脱字の指摘、感想、ブックマーク、評価、レビューをくれると幸いです。

***

余談(飛ばしても大丈夫です!)


意外と心優しい(?)金色のドラゴンなのでした。


***

次の更新は明日12月31日です。

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