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 「それでは二人が戻ってきたところで再開させて頂きます。勇者達は自己紹介をなさい」


 メルヴェルがこの会の仕切り役。これは全会一致で決まった。

 これが会なのかどうかはどうでも良いが。


 「では僕からですね。僕は、マサヨシ=アリタ。マサヨシとでも呼んでください。僕のJob(職業)は騎士です」

 「次は我輩が。我輩は、カツオミ=ハラダである。好きなように呼ぶであるぞ。我輩は有田殿と同じ騎士である」

 「私は、サリナ=オギワラです。サリナと呼んでください。私は魔法師です…一応」

 「最後は私かな。私は、ナナ=シラトリです。ナナで良いので呼んでください。私は聖女なので、一応、回復を担当してます…」


 有田と原田は騎士、荻原さんは魔法師、白鳥さんは聖女か。中々だな。

 そこへサポーター(仮)(多分)である俺とナシェリアが入れば、騎士二人、魔法師三人、聖女(回復役)一人となる。まあまあと言ったところだろう。

 だがしかし、荻原さんと白鳥さんの「一応」って何なんだ?メルヴェルとの決闘を観て気落ちしたのかな…。


 「次は貴方ですが…」


 有田は俺に向かって言った。

 そう言えば、俺だけ自己紹介してねーわ。


 『俺は只の魔法師だ』

 「いや、見れば判りますが」


 いや、他に何を紹介しろと言うんだ、有田。


 「剣は持ってるであるか?男たる者、剣の一本や二本は持って…」


 いや、何を急に言い出しているんだ、原田…。

 俺は【魔剣ヴィヴァロ】を取り出し、原田に渡した。


 『持ってみるか?』

 「それでは遠慮なく」


 少しは遠慮しろ。


 「…ぬおぅぅっっ!?こ、この剣、何なのであるか!?お、重すぎる…!」

 「克臣(かつおみ)くん、関係ない話は…」

 「正義(まさよし)殿も持ってみるであるぞ!」


 【魔剣ヴィヴァロ】は原田から有田の手へと移る。


 「な、何て重さ…!クラスの中で、一番の重さの剣を使う僕でも、比にならない位の重さだよ」


 やっぱ、そんなに重いんだ、その剣。


 『PANPAN!!』


 突然、メルヴェルが手を叩き、皆の集中をメルヴェルの一点に集めた。ナシェリアと勇者四人は青ざめた顔になっていった。


 「まだ、何も話が進んでいませんよ?」


 俺は有田の手にあるままの【魔剣ヴィヴァロ】を仕舞い、メルヴェルの方向を見た。

 きっと、有田にとって急に剣が消えたとでも思った事だろう。


 「――では、いつ出立するかを決めます」

 「僕達、勇者パーティーはいつでも構いません」


 有田が勇者パーティーを代表してそう言った。パーティー内のリーダーでも努めているのだろう。


 「妾は…そうだな、一週間後とかはどうだ?準備する期間が必要だろう。それに、()の子、()の子らの実力をまだ知らぬしな」

 『俺もナシェリアに賛成だ。俺は別に準備期間はいらないが、お前らの実力を知る期間は必要だと思う』

 「それでは、出立は一週間後で決まりで良いですか?」


 全員、肯定の意を示した。

 そして、一週間後に魔王の元へと向かう事が決まった。それのみを決定し、俺達は解散した。




 勿論、俺はメルヴェルと一緒に、メルヴェルの自宅へ帰った。


 「団長殿、私は今日の決闘で懐かしさを感じました」


 夕食を作りながらのメルヴェルは、話を掛けてきた。


 「私は思ったんですよ?まだ、十五に全く満たない子供が、魔法師団の入団試験を受けてくるなど、魔法師団を舐めていると…」


 俺は静かにメルヴェルの思い出話を聞き入れていた。メルヴェルと俺との出会った時の思い出。

 俺にとっては七、八年位前の話だが、メルヴェルにとっては五十年以上も前の話になるんだよなぁ…。


 「最初、手を抜いていましたが、それでは死んでしまうかも知れないと、危機察知しまして、本気を出しました。ですが、直ぐに負けてしまいました」


 メルヴェルは続けた、「団長殿は昔から今もずっとお強いままですね」と。


 「メルヴェルも十分、強いぞ」

 「そんな謙遜を」

 「いや、強くなってた。俺の入団試験のあの時よりも強くなってたぞ。だから、自信持て」


 俺が言えたものじゃないけどな。


 「有り難うございます、団長殿!私も団長殿の御手伝いをさせて欲しいのですが、他にも勇者達が居ますので…」


 本当は俺に着いて行きたかったんだな…。


 「それに、団長殿が帰ってこられなかったら、と思うと…」

 「大丈夫だ。必ず帰ってくる。一人も減らさずにな」


 メルヴェルは涙目だった。俺はメルヴェルが立っているキッチンに向かい、メルヴェルを介抱した。


 「約束…ですよ?」

 「俺は極力約束は守る男だって言っただろう?」

 「ええ…そうでしたね」



 メルヴェルの旨い料理を食べ、俺は寝床についた。

 長い日が終わり、また次の朝が回ってきたのである。

***

 奈菜(なな)Side


 私達のパーティーにサポーターとしてナシェリアさんと、フードを被った男性が加わった。

 ナシェリアさんは、子供体型で私達よりも年下の女の子かと思ってたけど、実は私達よりも一回り以上も年上だった。ちゃん付けすると怒られるので、さん付けで収まった。



 フードを被った男性は、全てが謎。オール筆談で、一回も喋ることも無かった。それに、ナシェリアさんや、メルヴェル様から名前も教えてもらえなかった。

 フードを被った男性はとても強かった。私達パーティー四人でも勝てないメルヴェル様に、一人で圧勝してしまったから。

 それなのに、後方支援のみしか行わないと言う。早璃南(さりな)よりも魔法に秀でて、私なんかより回復にも秀でている。



 回復に秀でたJobの聖女の私なんかよりも回復が上手いってどう言うこと…。

 もう…自信、無くしちゃうよ。


 「おっ、ナナか?どうしたのだ、そんな暗い顔をして」


 私は王宮内を歩いているところに、ナシェリアさんに出会った。


 「あ、いえ…何もありません」

 「妾はこれでも部下は沢山居るのだ。そこには色々な悩みも聞いてきたのだ。ほれ、何でも言ってみよ」


 私は今日の事を話した。ナシェリアさんも知ってるかも知れないけれど、私が感じたことは知らない筈だから。


 「…成る程。あのフード男を基準に考えたら駄目だ。それにメルヴェル殿もな」

 「基準だなんて…」

 「基準にして考えているであろう?明日から、お主らの実力を測らせてもらう。妾が一応、メルヴェル殿、フード男、妾の中で一番普通だと思うしな…」


 基準。

 自分の実力を知る指標にはなるけれど、自分が定めてしまった基準を間違えてしまっているのだとナシェリアさんは教えてくれた。

 そう、クラスの中で一番優秀と言われた私達パーティーはメルヴェル様の次に強いと思っていた。けれどもそんな事は無いのだと知った。



 私達が基準すべきものは何なんだろうか。



 私達は本当に強いのだろうか。



 私はナシェリアさんと別れ、部屋に戻って就寝した。

 そして、朝になった。

***

 俺とメルヴェルは王宮に着いた。

 忘れずにフードを被っている。


 「団長殿はご自由に行動されてても宜しいのですよ」

 『いや、勇者達の実力は俺もこの目で見ておこうと思って』

 「お優しい御方です」


 それ以上言われると、照れるぞ。



 王宮内を歩き進めると、ナシェリアと勇者達と合流した。


 「実力を測る方法ですが…どうしましょうか」

 「ダンジョンに潜るのはどうだ?」

 「発言を許した筈は…」

 『ダンジョンに潜るのは賛成』

 「しょうがないですね、ダンジョンに潜っていただきましょう」


 ナシェリアに何か怒ろうとしていたメルヴェルを止めに入る目的も含めて、賛成意見を発した。

 俺が言うと、必ず意見が通るな…。あっ、主導権がメルヴェルにほぼ全てあるからか。



 俺達は近場のダンジョンへと向かった。

 王都に二つはダンジョンが存在する。街中にだ。

 それの内の一つのダンジョンに向かう。ダンジョンのレベルは…最難関らしい。

 皆、そのレベルに気にせずに入っていくので、俺も知らない事にした。


 「私は後ろから見守らせて頂きます」


 メルヴェルは、勇者パーティー、ナシェリアと俺の団体の後ろから着いていくらしい。

 基本、俺とナシェリアは勇者パーティーの後ろを歩いていくので、そのまた後ろとなる。


 「妾の実力も見られると言う事なのか?それならば、緊張するぞ…」

 『まあ、普通にしてれば大丈夫だろ。それで、どうなんだ?メルヴェルよ』

 「勿論、ナシェリア・ランドゥルフも見させて頂きますよ。勇者達が最初の敵と遭遇してますよ」


 メルヴェルに言われ、前をちゃんと見てみると、勇者パーティーは魔獣と戦っていた。

 魔獣はゴブリンロードの集団…いや、有り得ない。

 ゴブリンロードは、ゴブリンの集団に一匹と言うのがお約束みたいのがあるのだが、何故、ここに見た感じ数百匹のゴブリンロードが集結してる訳!?


 『ここでも魔獣大量異常発生(スタンピード)が起きているのか…』

 「ゴブリンロードがあんなにも集まるだなんて有り得ませんからね」

 「妾達も勇者達のサポートに集中――」


 『DAAANNN!!』


 俺とナシェリアが少し前に進み、勇者達への支援をしようとした瞬間、勇者パーティーの四人全員が一斉に飛ばされてきたのだ。


 『GUOOO!』


 『GUOOR!』


 『GURUOR!』


 ゴブリンロード集団は勝ち誇っていた。

 勇者達は、何十匹かは倒していたみたいだが、それを遥かに越える総数のゴブリンロードである。


 「どうするのだ?魔法の一撃で全てを倒すのか?」


 ナシェリアは俺に聞いてきた。


 『あくまで俺は後方支援。支援だ。倒さない』

 「それじゃあ…」

 『勇者を回復させるから』


 俺は勇者の四人のみに範囲を絞って《広範囲・超回復》を使用した。

 後方支援に回復は含まないと俺自身で言ったが、回復役の白鳥さんまで気絶してたら、元も子もないからな。致し方無し。


 『目が覚めたか、勇者共』

 「あ、はい…」


 一番最初に目が覚めた有田が、俺の言葉(筆談)に答えた。


 「遅くなってすまなかったが、妾も参戦するぞ。さあ、行くぞ」


 ナシェリアの声掛けに、有田、原田、荻原さんが付いて行った。

 白鳥さんは三歩下がった所ぐらいで待機だ。

 俺?俺はそれの二歩後ろで待機と言う名の観戦中だ。

 ゴブリンロード集団のスタンピード位惨滅出来る。ナシェリアと勇者パーティーなら…多分だけど。

ここまで読んでくださり有り難うございます。

誤字脱字の指摘、感想、ブックマーク、評価、レビューをくれると幸いです。

***

次の更新は11月10日です。

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