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 『GUEEE!!』



 はい、どうも。ティリー鉱山に入山した俺アヴィルと、ナシェリアです。

 絶賛、魔獣の大群と戦闘中。


 「入山直後に、大群に襲われるとは聞いてないぞ!」


 ナシェリアは言う。


 「そんなん、誰にだって予測不能だろう?」


 俺はそう言って返す。


 「火と水の精霊よ。我に力を!《龍炎》!」

 「《火の槍》」


 ナシェリアは《龍炎》を、俺は《火の槍》を放つ。

 俺の《火の槍》は、火属性魔法で槍の形をした火である。それを、総勢千本を魔獣に向けて放った。


 「ふー…。片付いたろう…」


 ナシェリアは、ぼとぼとと魔獣が倒れていくのを見て、汗を拭いながらそう言った。


 「《収納》」

 「よくこんな大量の魔獣を持って帰ろうとするな…アヴィルは」

 「魔獣大量異常発生(スタンピード)かも知れない証拠を持ち帰らないでどうする?」

 「スタンピード!?」


 以前、ティリー鉱山を訪れた時の軽く十倍もの魔獣と遭遇している。それも、入山直後で。


 「王宮報告モノだ」

 「も、もう少し、慎重に物事をだな…」

 「どこが慎重じゃないと言うんだ?」


 王宮報告モノなのは事実だろうし…。


 「王宮に報告する事だ!報告書も大量に…(ワナワナ)」

 「口で王に言えば良い。簡単な話だろ?」

 「そんなことが、簡単に出来るわけ無かろう!」


 ナシェリアは「何を言っている!」と言っていそうな表情で俺を見た。


 「まあ、こんな口論より、先に進むぞ」


 俺は歩き出す。


 「待っ…?アヴィル!後ろ!」


 ナシェリアが俺の名前を叫んで呼んだ。後ろを振り向けば、遠方の空から魔獣の大群が飛んできていた。


 「お、大量だ」

 「お、大量だ。じゃない!」

 「そうか?まだ、距離はあると思うぞ?」

 「妾達が、今ここで打ち落とさねば、まずいだろう!?」


 えー、そうかー?今じゃなくても良いと思うが…。


 「取り敢えず、走って頂上を目指すぞ!」


 俺は言った。

 そして、俺は走る。


 「よし、臨戦態勢を整え…え?あ、アヴィル!?」


 俺をナシェリアは死物狂いで追い付こうと頑張る。


 「ハーハー、ゼェーゼェー…アヴィル、足、速すぎやしないか?」

 「んなわけ無いだろ」


 だって、日本で測った、百メートル走の記録は十九秒台だぞ?


 「おかしぃ…ハーハー」

 「無属性魔法の《身体強化》を使ったと言ったら、納得するか?」


 足が遅いと判明させられた俺が速い理由。

 実は掛けてました系の。


 「…成る程。妾も使えば良かったと言う訳だ」

 「そうそう」

 「んで、アヴィル。ここは、ティリー鉱山のどの辺なのだ?」

 「んー、まだまだだな。山道の四分の一の位だな」


 山頂までの道の二分の一は歩いた事になる。


 「山頂を通る…のか?」

 「ああ。スピードを加速して行くぞ!」


 俺は走り出す。

 ナシェリアは魔法発動に手間をとっている。それは、詠唱をする為である、とここに記述しておこう。

***

 夕暮れ時。


 「後もう少しで街だぞ」


 孟スピードで山頂まで到着し、休憩する事無く、駆け巡ってきた。

 ティリー鉱山下山。


 「はあはあ…よく、魔法を使い続けてバテないな…」


 俺達は、無属性魔法の《身体強化》と言う魔法を使い続けてきた。魔力の消費もいつもの倍以上であろう。(ナシェリアにとっては)


 「宿でゆっくり休もう」

 「うむ」


 俺とナシェリアの山越えは半分を過ぎた。後、アラル火山。

 ナシェリアは、疲れていて、ベッドに寝転がると同時に熟睡していった。

 静かな夜が過ぎていくのである。



 「…いや、寝れない」


 ナシェリアは、すやすや寝ているが、俺は寝られなかった。俺はそこまでの魔力消費はしていない為、そこまで疲れてはいないのである。

 そこで俺は1人、夜の街を散歩する事にした。夜の街と言えど、エロい感じの店とかには決して入らないと約束しよう。

 夜風に当たる程度と思っていただければ良い。


 『GUAAA!!』


 星空から魔獣がティリー鉱山の方から飛んでやって来る。

 ティリー鉱山で背にした魔獣の大群と同じ魔獣。つまり、昼間振りって言うこと。

 そして、この魔獣らは、この街に尋常じゃない被害を出すことだろう。ナシェリアの安眠を守るため、この街の破壊を防ぐために俺は――。


 「あの魔獣を撃ち落とす」


 俺は風属性魔法の《飛行》で魔獣らの高さと同じ高さに登り詰める。


 「瞬殺してやる。《雷撃》」

 『GUAAA!?』


 ぼとぼとと落ちていく。

 それを一体一体、《収納》していく。



 そして、襲撃しようとしていた魔獣の大群全てを撃ち落とした。

 これはスタンピードだと確信した。

 この空を飛ぶ魔獣をヒュードリアルと言う。日本のラノベに出て来ない魔獣だ。

 ヒュードリアルは、元よりあんな団体で行動をしない。家族などそう言った類いの集まりだと団体行動をとる場合があるが、基本、単体行動である。団体行動はヒュードリアルにとって、この上無いストレスを与える場になるらしい。そして、死ぬ。

 だから、あんな大群で行動するのはあり得ないのである。

 考えられるのだとすれば、あの大群全てが、家族だった場合。それは、魔獣大量異常発生(スタンピード)だと推測される。

 だから、俺はスタンピードだと確信したのである。


 「…魔王とやらが、魔獣を大量に創ったと言う事もあり得るな…」


 意図も簡単に魔獣を大量に創り出す程、力を付けていると言うこと。

 勇者による魔王討伐も、魔族の襲来も、近そうだな。



 俺はナシェリアが寝ている宿に戻って、寝に入る。今度はすんなり寝られた。

***

 日が昇り、朝が来た。


 「起きるのだ、アヴィル!朝だ!」


 ナシェリアは俺を起こす。

 何と今日はナシェリアの方が起きるのが早かった様だ。


 「じゃあ、朝食を取ってアラル火山に――」

 「待て。今日はこの街を散策しようぞ!」

 「ん?まだ、魔力が回復しきれてないのか?」


 今日中にアラル火山の向こうへ…。


 「魔力が万端で無いのは確かだが、観光せずには居られないであろう?」

 「そうなのか?」

 「妾が居ても立っても居られないのだ!新たな場所に!」


 未だに着替えていない、ネグリジェ姿の幼女…おっと、ナシェリアさんが新世界でも発見したかの様に窓から太陽を見詰める。

 太陽を直接、見続けない様に気を付けてください。


 「仕方ない。観光しに行くか」

 「うむ!」

 「取り敢えず先に、着替えろよ」

 「ぬおっ!?忘れてた!」


 色々な部分がスースーしてて忘れる事無いだろうに。健康な男の想像であることを確かに。



 俺達は着替え終わり、今、滞在している街を観光する事になった。


 「おおー!賑わっておるー!」


 ナシェリアは楽しそうだ。

 ここは商業から何まで発展し、栄えている街だからな。賑わって当然。


 「そう言えばアヴィル。ここの街の名は何と言うのか?」

 「確か…ルヴァフガンデ」

 「ルヴァフガンデか!良い名だな!」


 この街は二人の男女神の双神が祀られている。片方がティリー鉱山に関連があり、もう片方がアラル火山に関連があるとか。

 余談が過ぎた。


 「この街は教会なのかー」


 小さな街であることから、神殿を建てたりする場所が無く、比較的狭い面積で済む、教会を建てているとか。

 何で俺がこのルヴァフガンデに詳しいかと言うと、帰省の度に通っているからである。

 とは言え、この世界の五十年前の知識ではあるが。


 「入るぞ、アヴィル!」


 俺の腕を引っ張り、教会の中へと入っていった。


 「迷える子羊が乱入してきたみたいですね」


 一人の男性が目の前に現れた。


 「私はこの街の禰宜兼この教会の神官を勤めております、サンドンレスター・ルヴァフガンデです」


 禰宜と言うのは、巫女の男性版である。


 「妾はナシェリア・ランドゥルフだ!で、こっちがアヴィル」


 ナシェリアは俺の分も言っていった。


 「ルヴァフガンデ街は初めてですか?」

 「妾は初めてだが、アヴィルは過去に来たことがあるらしいぞ」


 取り敢えず、補足をした方が良いだろう。


 「まあ、俺は過去に来たことがあると言っても、結構前だ」

 「それなら、私がルヴァフガンデを案内致しましょうか?」


 サンドンレスターは是非にと言ってきた。


 「その間、この教会はどうするんだ?」


 俺は問う。


 「それなら、私の妹に教会を任せます。出てきなさい」

 「失礼致します、皆様。私は教会のマザーであり、この街の巫女、シルヴァンリリア・ルヴァフガンデです。どうぞ、お見知り置きを」


 シルヴァンリリアは華やかに一礼して行った。


 「私の事はサンディーと呼んでください。妹の方はシルヴィーで良いですので」

 「なら、妾達も、な」

 「ああ、そう呼ばせてもらう。こちらも呼び捨てで構わない」

 「分かりました、ナシェリア、アヴィル。では、行きましょうか」



 サンドンレスターもといサンディーの後ろを追って、教会の外に出た。


 「ナシェリアとアヴィルは、どちらから、いらしたんですか?」

 「妾達は王都からだぞ」

 「そうですか、王都ですか。結構、遠方からなんですね」

 「まだ、行く場所に辿り着いていないのだ」

 「そこまで遠くの場所に…。そう言えば、五十年位前、ナシェリアとアヴィル達の様な人が居たそうです」

 「へー、そんな昔の人が」


 俺は吹き出した。


 「大丈夫ですか?」

 「大丈夫か?」


 心配された。

 多分、俺だな、その人。五十年位前も、同じ様に帰省していたからな。


 「大丈夫だ…続けてくれ」

 「はい。いつも、その人は「ここに来た理由は、俺はリヴァーフォールズ辺境伯爵領の村に帰省する為の中継地点だからだ」と言っていたそうです」


 それ、俺じゃん。完全に。

 帰省の度に、何故か教会の神官に出会い、何故か毎度、来た理由を聞かせられる。何でだろー?

 でも、その時の神官、サンディーじゃなかった気がするが…今は、いっか。


 「何か、アヴィルに似てるな、その者は。アヴィルも、同じ事聞かれたら、その者と同じ事を答えているであろう?のう、アヴィルよ」

 「あ、ああ…そうだな?」


 似てるのではなく、本人です…。そんなことを正直に言える筈が無い。


 「そうなのですか?じゃあ、ナシェリアの方はどう答えますか?」

 「妾は…行く先の中継地点でもあり、観光(羽休め)する為に来た、と答えるな」

 「普通はそう考えますよね…」


 遠回しに、俺の考えが異常だと言われた気がする…。




 「取り敢えず、着きました」


 俺達の足が止まる。


 「ここは何処だ?」


 ナシェリアが聞いた。そして、サンディーはこう答えた。


 「先ず先に紹介したい所ですよ」

ここまで読んでくださり有り難うございます。

誤字脱字の指摘、感想、ブックマーク、評価、レビューをくれると幸いです。

***

余談(飛ばしても大丈夫です!)


 アヴィル君は、同ルートで帰省していたらしいです。

 本来、山越えをする人は居ないので、多々ある山を迂回して行きます。その為、謎行動して帰省するアヴィル君を、当時の禰宜は放っておけなかったのです。

 同じ様な者が現れた時は、放っておかない様にと、ルヴァフガンデ街の教会では、何故か語り継がれてしまいました。なお、当時の禰宜はサンディーさんの先々代の方です。

***

次の更新は10月13日のです

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