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 ダンジョンボスの牛を焼肉にした俺は、ガブリ付いた。

 ん…?


 「不味っっっ!?」


 糞不味い。


 「おぅえ…」


 胃液と共に吐き戻し。

 喉が…痛い。

 お腹がぁ…。

 光属性の魔法の一つである《回復》を使えば、ケロっと治るのだが、生憎、喉が目茶苦茶痛くて喋れず、そのまま放置となった。喉が目茶苦茶痛いから魔法が出来ないと言う訳ではない。

 数分経ち、やっと少しだけ喉の痛みが引いてきた頃合いを見て、俺自身に掛ける。


 「《超回復》」


 ふぅ…治った。

 「牛の焼肉とは言え、魔獣は不味いな…」

 魔獣が食えたものでは無いのは、よく、本に載っている素養知識なのだが、日本に転移され、牛とかの肉を焼く(焼肉)文化に触れた俺は、好奇心から食した。…俺は馬鹿だった、反省。



 このダンジョンボスだった(魔獣)の死体どうしようか…。

 持って帰る?…いや、俺はメルヴェルの自宅に居候しているんだ。邪魔になるだけだな。

 よし、置いて帰ろう。あと、何か出てきた宝箱も。


 「《腐敗阻止》」


 放置しっぱなしだと腐って、気持ち悪い臭いを発するからね。

 その分、《腐敗阻止》は、その名の通り、腐敗するのを阻止する魔法…。今、考え、編み出したオリジナル魔法です。

 水属性魔法の《冷凍》と無属性魔法の《停止》を組み合わせて出来ました。

 言うなれば、マグロの冷凍みたいなアレ。

 取り敢えず、ボスの死体は大丈夫だろうし、帰るとしますか。

 ボスを倒したので、ボス部屋にお帰りの《転移》の魔方陣、現れた。

 うん、乗るよね。



 暗転。

 周りは、ダンジョンの外。

 さて、そろそろ、帰りますか。メルヴェルの自宅に。まあ、どうせ居るのはメルヴェルではなく、アレドラントと言うメガネの青年。料理を作りに来ている。

 メルヴェルの料理が食べたくなってくる頃合いだぞ…。

 俺は《瞬間移動》と言う魔法で帰宅した。


 「貴様、何処へ遊び歩いていた!」


 アレドラントに出迎えられた。


 「ダンジョンだが?数秒前まで」

 「嘘もいい加減に…」


 信じなさそう…。本当の事を言っているのだがな。

 短気過ぎやしねーか?アレドラントったら。


 「で、夕食は?」

 「()うに出来ておるわ!」


 メルヴェル以下の美味しい夕食を食べた俺は、アレドラントが三階寝室に入るのを確認した後、一階にて寛いでいた。

 俺は無意識の内に、紙とペンを探していた。取り敢えず、メモする位の紙で良いんだ。

 その見付けた紙とペンで今日、編み出したオリジナル魔法を書いていった。


 『新たな複合魔法について。名は《腐敗阻止》と言う。水属性魔法の《冷凍》、闇属性魔法の《停止》で出来る。効果は死体などの腐りを抑える為の魔法。死体は腐ると臭くなる為、臭うのが嫌なら効果的である――』っと。


 こんなもんかな。

 何でも書き留めて置くのは大切。(日本に行ってから学んだ)

 このメモの置く場所に困ったものだ。紙切れの置く場所に困った俺は、一分もしない内に諦めた。

 何だろう…俺って、そんなに諦めが早いんだっけ?と言う風に自分でも感じる程に早く、諦めたのである。

 そう言えば、王宮にあった水晶を割らなかったら、俺は勇者であるクラスメイト達と魔王を倒す羽目になっていたのであろうか?

 うん、割らなくても、倒す羽目にはなると思う。この現状、必ず魔王と対面する様な気がする…。何でだろう?




 モヤモヤなまま、いつの間にか朝になっていて、いつの間にかアレドラントが朝食を作っていた。


 「ほら、食え。今日は夕食は作れない。今日は王宮で勇者様達と会食するからだ」

 「じゃあ、夕食は誰が作るんだ?俺は調理だけは皆無だからな」

 「自慢する事では無いだろう…貴様、会食に付いてくるか?」


 勇者共(クラスメイト)が居るんでしょ…。行くわけ無いわ。


 「付いて行かねーよ。まさか、その会食、メルヴェルも、か?」

 「メルヴェル殿()な。…何度言ったらわかる、貴様。まあ、メルヴェル殿も、だな」


 王宮の料理ってどんななのかなー?

 まあ、食べた事が無いって言ったら、嘘になるが…気になるよなー。


 「んで、夕食は?」


 本題である。


 「メルヴェル殿が代わりを派遣するそうだ。いつまで、貴様の朝夕の食事を作らねばならないのだ…」


 代わりを派遣か…。どんな輩だろー?

 確か、アレドラントはメルヴェルの命令で俺の食事を作りに来ていたんだよね。実際、寝泊り。泊まりに来て、次いでに調理…みたいな?泊まり込みのコック…なんちゃって。


 「今、貴様、この私に対して無礼な事を想像していなかったか?」


 ぬおぅ!?


 「ベツニソンナコトナイヨ?」

 「何故、片言?何故、疑問文?」


 いつの間に、俺の考えている事を読み取れる様になったんだ?



 アレドラントは外に行った。いつもの様に仕事かな?

 俺、する事無いし、王都をブラブラでもするか。

 何を買うのかなど決めず、当てずっぽうな買い物をする為に外に出た。

***

 奈菜(なな)Side



 私達はダンジョンの中に居る。

 私と早璃南(さりな)、原田くん、有田くんの四人のパーティーで。

 今、とても驚いている。

 それは、未開拓の筈のダンジョンのボス(何故か二匹…一匹じゃないの?)が死んでいて、攻略後の宝箱らしき物も置いてあった。

 原田くんは「危険である。(ミミック)かもしれぬ」と言っていた。

 早璃南がその忠告を無視して飛び出し、罠があるかも知れない宝箱を開けた。

 でも、普通の宝箱らしく、普通に豪華なお宝が入っていた。

 その先には、送還用の転移魔法陣が出てた。これも、ボスを倒さないと出て来ない筈…。



 ボスの死体を男陣が担ぎ、宝箱を私と早璃南で分けて運ぶことになった。

 私達パーティーは送還用の転移魔法陣の上に乗り、帰った。

 もう、これ以上、忠告をしても無駄だと思ったんだろうな、原田くん。

 実のところ、ダンジョン内は魔獣の死体だらけで、全て持ち帰っている。そして、ダンジョンに入って、一戦もせずに帰ってきていた。



 帰ったら、メルヴェル様に報告するのが決まっている。


 「良く帰ってきた!」


 メルヴェル様が先ず、褒めてくださった。

 有田くんが報告の為の話を切り出した。


 「メルヴェル様、ご報告致します。こちらが魔獣で、そちらがボス…あちらが攻略のお宝です」

 「四人でこんなに倒したのか?」

 「それが…」

 「何?既に死体だらけだったと!?」


 有田くんは嘘偽りなく、メルヴェル様に報告した。メルヴェル様は驚いていた。


 「ん…?ボスは二匹だったのか?」

 「いえ…それは解りません。僕達パーティーがボス部屋に入った後には既に死体が並んでいましたので。ボスの死体だけ何故か状態がとても良いんですよ」


 そう、これが最大の不思議。

 通常、ダンジョンボスはダンジョン毎に一匹と相場が決まっている。なのに、二匹分の死体があった。

 一匹目は牛の様な死体。二匹目は筋肉マッチョの様な人形(ひとがた)の死体。二匹目の方は人で言う、お腹辺りが張り裂けていた。

 メルヴェル様はボスの死体を眺めていた。


 「これは…なあ、ガードラーレさん!」


 メルヴェル様はガードラーレ様を呼んだ。


 「何だ…あっ」


 メルヴェル様も、ガードラーレ様も、何か驚いている。きっと、私達が不思議に思っていた事と違う事なのだろう…。


 「団長殿だ…」


 メルヴェル様は涙を流していた。ガードラーレ様も拭っていた。

 何故、涙を流しているのかが、私達パーティーには解らなかった。

 そう言えば、メルヴェル様が呟いた「団長殿」とは…?

 ガードラーレ様が語り始めた。


 「ボスの死体の状態が良いのは、何らかの魔法が掛けられているからである」


 魔法…。

 私達の前にやっぱり、誰かが…。


 「魔法の痕跡として、魔力波動が残る」


 有田くんが相槌として話す。


 「魔力波動とは、魔法を掛けた人それぞれで特徴があるんでしたよね?」

 「ああ…この魔力波動は我らが魔法師団団長のものにとても似ている」


 魔法師団団長…行方不明中の人。

 この人が行方不明になったお陰で、私達が勇者として召喚されたんだっけ…。

 何だ、居るじゃん。ちゃんと、生きてるじゃん。


 「ガードラーレさん、私、今日の会食はパスで」


 えっ?


 「ああ、判った」

 「頼むよ」


 今日の会食、勇者と王女様に王様、魔法師団の偉い人、近衛騎士団の偉い人が揃う場だよ?メルヴェル様、参加しないの??


 「さ、次のパーティーが帰ってきた。次のパーティーの報告を聞くとする」


 私達は一礼して撤退した。


 「奈菜、魔法師団の団長ってどんな人なんだろうね?」


 私達は部屋に戻る途中、早璃南とそんな話をしていた。


 「五十年前に行方不明でしょ…?なら、少なくとも私達のお父さん以上に年上なんじゃない?」

 「そうだよね」

 「「ははは」」


 私達は行方不明の魔法師団団長の顔を想像しながら、笑いこけていた。

***


 「ハックチョン!?」


 王都をブラブラしている俺だが、くしゃみをした。日本以来にしたな…。

 きっと、誰かが俺の噂をしているのだろう…そんな低確率な考え、そうそう当たらねぇけど…。

 この世界は病気を知らない。少しの体調の変化に光属性魔法の《回復》または《超回復》したりする。病原体を含む細菌?とかは無いように思えるし。事実、毎月各地の神父共が空気を浄化しているとか聞いたことがある。まあ、それで細菌とかが居ないんだろうけれど。



 話は変わるが、今の服装は日本の高校の制服だ。俺、服が高校の制服か、魔法師団の制服しか持ってねぇんだよ…。

 よし、じゃあ、服でも買いに行くか!

 お金?気にするな、メルヴェルから支給されってから!…ヒモ?知るか!



 着いた服屋は、高くもなく、低くもなく安価な、普通の感じの服を揃える服屋である。日本の『ファッションセンターしま●ら』みたいな感じである。

 日本に転移する前も来ていたな…。

 品揃えは…変わらないな。安心した。

 着ていて楽な服装…。

 日本に行き、高校の制服がワイシャツにネクタイ。それを三年位続けた結果、意外にはまったんだよね。



 日本に似た感じの服は結構、売ってる。

 青っぽいワイシャツに、紺色でチェック柄のネクタイ…あっ、ジーパンも良いね。

 と言うわけで、その三点をご購入。

 明日、着よう。



 服は一式買ったし、他の店も見て回ろうかな。

ここまで読んでくださり有り難うございます。

誤字脱字の指摘、感想、ブックマーク、評価、レビューをくれると幸いです。

***

今日は終戦記念日、お盆最終日ですね。

コロナの影響で帰省が出来なくて、ご先祖様のお墓参りが出来ないと言う方もいるかと思います。自分も実際、祖母の家に行けず、毎年祖父のお墓参りをしていたのにも出来ず仕舞いでした。

コロナが早く終息することを願っております。

***

さて、次の更新は8月18日の予定です。

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