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※0 始まり

息抜きに書いていきます。

もし良ければどうぞよろしくお願いします。

「本当にお前は使えんヤツだな……」

「申し訳ございません」

「謝るだけなら誰にでもできるんだよなぁ」

「はい、申し訳ございません」


 現在上司に怒られ中の田上 勝也(たがみ しょうや)は高校から社会に出て約5年目を迎える青年である。


「はい、はい……すいません、以後ないように気をつけます。失礼致します」


 投げやりなお詫びと建前だけの挨拶をし、先輩の机から自分の机をとおりすぎ、そのまま出口へと向かう。

 頭の中はギャンブルと風俗のことしか考えられていなかった。


「さてさてぇ、昨日は5万勝っちゃったからなぁ。どの子と会おうかなぁ」


 いつ会社を出たのか、どのような経路で道を通ってきたのか、そんなことさえ分からなくなるほどに気分は浮かれていた。


「あっ、やべ。財布……カバンごと忘れたわ」


 そしてそんな目の前の現実も見えてない男は、会社に戻ろうとして横断歩道の信号が赤になっていることも気づかずに渡り、通りかかった大型車に大きくはね飛ばされるのであった。


 ━━━━━━━━━━━━━━━

「ゆぅきねちゃぁあああん!!!!」

「…………」

「んはっ! こ、ここは!!」


 俺は寝た覚えがないのだが、どうやら今目を覚ましたらしい。

 だが、気だるさのないスッキリした気分で、まるで体がないかのようだ。


「って体無いしぃいいいい!!!!」


 体がないなら見えないし喋られないし聞こえないはずではあるが、そんなことは関係なしに見えるし聞こえるし喋ってる。だが、やっぱり体はない。

 よく分からない状況での最初の発言が通ってる風俗嬢の名前だったのは自分でも驚いたが、そのおかげで多少は頭も冷えた。


「……もう、いい?」

「は、はい!! ってどこから声が!」

「答える意味は無い、一つだけ問う。何が欲しい」


 状況を呑み込めない俺に得体の知れない声の主は問いかけてくる。

『力が欲しいか』並に怪しい問いかけではあるが、聞かれたならば答えるのが俺のポリシーだ……質問されたことほとんど無いけど。


「俺が欲しいものは……あぁんと、そうだなぁ……」

「……早く」

「えぇっと、何をしても許される権利!!」

「……分かった、んじゃ次はちゃんと生きてね」

「んえっ! ふぁああああああッッ!!」


 答えた瞬間に急速落下している感覚を覚えるが、体がないのに落ちるとは……自分は今どんな状況なんだろうか……。

 誰も答えてくれることはなく、彼自身の意識もまた消えていくのだった。


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