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悪役に恋して  作者: 冷凍みかん
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噂話は噂です?

『はい、では各自授業へと向かってください。』


フォルス先生がホームルームの終わりを告げ、それぞれに講義場へ向かうように促す。結局ホームルームが始まり終わるまで、リザリーが戻ってくることは無かった。


『なんだろう。怒ってる?何かしちゃったのかな。でもずっと寝てたわけだし何をするも何も…。』


次々と級友たちが席を立ち教室から出ようとしている中、俺は今起こった出来事に対して疑問を膨らませて、席を立つことが出来なかった。


――見たさっきの態度?――

――やっぱりあの噂本当なんだよ!実際に見たって人もいるみたいだし。――


それぞれが会話に話を咲かせながら、それぞれの目的の場所へと向かって行く中、1つの会話が俺の耳に印象強く入ってくる。聞こえて来た声色はどことなく怒気を孕んでいて、良い感情のもではないことがわかる。


『さっきの態度って…。多分リザリーの事だよね。他に変な動きした人もいないし。』


もっとも教室に入った瞬間囲まれて質問攻めにあうという珍事を起こした奴はいたが、まさかあの一瞬でそんなに皆の感情を逆なでしたわけではないだろう。うんきっとそうだ。噂だって悪い話ではなかったみたいだし、そうに違いないよね。


先程聞こえて来た噂とやらをされているのがリザリーだとして、だとしたらいったい何の話なのだろう。少なくともほんの3日程前には彼女にまつわる噂なんてものは聞こえてこなかったのだが。


『行かないんですか。授業遅れちゃいますよ?』


1人考えを巡らせ、うんうんと唸っていると。いつの間にか近くに来ていたベル君から心配そうに声を掛けられる。


『やっぱりまだ体調が良くないんじゃ。あんなにたくさん魔法使ってたし…。』


『えっ、いやいや平気平気!ちょっと考え事してただけだから。』


まったくもって見当違いな事で唸っていたのだが、目前の彼がそんな事を知る由もなく、依然心配そうに此方の様子を伺っている。本当かなぁ本当かなぁという声がまるで聞こえてくるようで、なんだかとても申し訳ない。


『本当大丈夫だから、ね。』


重ねて俺がそういうと。まだ完全には信じてはいない様だが、彼の顔が先程までと比べると幾分か安心した表情へと変わる。


『まぁ確かに、復帰そうそう凄かったですもんね。皆に囲まれて。僕も最初は凄かったんですよ。素早い動きで敵を翻弄!!みたいな?僕なんか殆ど何もしてなかったのに…。』


ベル君はそう言うがあの時、ワイバーンを最終的に追い払ったのは彼のナイフである訳で、流石にそれは謙遜のしすぎだろう。


『ベル君がいなかったら。みんなやられてたよ。私だってもうすっからかんだった訳だし。本当に助かったよ。』


感謝の言葉を告げると、目の前の少年は少し照れ臭そうに目を伏せる。実際に称賛されるべきことをやってのけたわけだし。もうちょっと胸を張ったって良いのに。


凄いぞー凄いぞー、とその後も言葉を重ねていく。みるみるうちに顔が赤くなって耳までもう真っ赤である。面白いがそろそろ止めておいた方が良いかと、席を立ちながら話題を変え、気になっていたことを聞いてみる。


『そう言えばここ最近変な噂が聞こえてきてたりしないかな?』


『僕達以外のですか?リリィさんの噂なら結構…。』

『私たち以外ので!』


変なのというか、恰好良い噂ばかりですけどねと言いながら、それ以外ならと暫く考えて教えてくれる。


『この間のワイバーンなんですが。あんな所に出てくる様なモンスターではないみたいで、そのことから誰かの手引きがあったんじゃないかとか。』


ふんふんそれでと続きを促す。


ただベル君は何か言いづらいことでもあるのか中々言葉を続けようとはしない。まだかまだかと彼の頬をつつくと、意を決して噂話の続きを教えてくれる。


『その手引きしたのがリザリーさん、その人なんじゃないかって噂されているみたいです。』


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