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悪役に恋して  作者: 冷凍みかん
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久しぶりというのは緊張する物です。

ご無沙汰御免!!!!!!

『それじゃあ、行ってくるね。』


『お目醒めになられたばかりだというのに、もう。あと1日いや2、3、数日位休んでも良いと思われますけど…。』


学生寮の私室を出て教室へと向かおうとしている俺にセシィは、身体を労わる言葉を投げかけてくるが流石にそうもいかない。本当に3日遅れた位じゃそれほどまで大きく抗議の内容に離されるということはないと思うが、これ以上休んで心配をかけるわけにもいかない。


―ほら、あの子が…。―

―やっぱり噂は―


学院の中を歩いているとすれ違う生徒たちから、ちらちらとした視線を感じる。眠り姫なんて与太話が広がっていることも関係しているのだろう。入学してそうそう倒れこんでしまった自分に対して少年少女の好奇心でも刺激されたかのようだ。


『はぁ。視線が痛い。緊張もしてきた。…もう帰ってしまおうか。』


なんとかかんとかと教室の前までやって来たが、既に行き絶え絶えである。前世でも風邪を拗らせて何日か休んだ後の教室というのは中々緊張したものではあったが、今世でのそれはより一層心に優しくない物である。変な風評を流した輩をうらめしく思う。


それでもやはり引き返すわけにもいくまいと気持ちを固めて教室の扉を開けて中へと入る。既に中にいた級友達から集まる視線に思わず顔を強張らせる。


『お、やっと来たかよ。噂の女が。』


後ろからの声に振り向くと、にやついた顔でカインが愉快そうに此方を見下ろしていた。


『ねぇ、ワイバーンを倒したって本当なの!?』

『なんかものすごい魔法を使ったとか聞いたんだけど。』

『それはそれは、その身を物理的に削るほどのものだったとかなんとか!』


『え、何!何なの!?』


カインに声を掛けられたのを口火に、級友たちに囲まれて矢継ぎ早に声を掛けられる。なんなんだ物理的に身を削るって恐ろしい。先日、倒れる前の事を聞かれているみたいだが、だいぶ大げさに伝わっているらしい。助けを求めてカインの方に身をやるが、俺が困惑している様がツボにはまったのか腹を抱えて笑っていた。


『はぁはぁっ!あー腹いてぇ。お前この前の事がスゲェ噂になってんだよ。何でもその身を代償にした魔法で友を救ったとかなんとかさ。』


『なにそれ怖いんだけど。』


そんな魔法あったとしても恐ろしくて絶対に使いたくない。絶対金術的なやばい奴の匂いがする。


『まぁ、諦めろ。俺達だって最初は凄かったからな。ヤベェ必殺技を使ったとかな。俺達の剣が物凄く光り輝いたんだとよ。』


『なにそれ面白い。夜とか凄い便利じゃん。』


俺の言葉にを受けてカインはまたひとしきり笑うと、まぁ慣れてしまえば面白れぇぜと言って自分の席へと去って行ってしまった。


未だ囲まれたまま、これじゃあ自席に行くのも一苦労だなと考えていると、輪の後ろの方で遠慮がちに此方を見ている人影があることに気付く。よく見るとそれは先日ワイバーンの強襲を受けて気を失っていた少女だった。


『あ!無事だったんだね。怪我はなかった?』


元気そうに学園生活に復帰している様子に安心して声を掛けると少女は、少し顔を赤らめて返事をくれる。


『うん!本当にありがとう!助けてくれなかったら今頃…。しかも身体壊してまで!何かあったら何でも言ってね!このお礼は必ずするからっ。』


『いいよ。いいよ。お互い無事だったし何よりだよ。』


ちゃんと助けられていたみたいでほっとする。その語何とか級友たちの輪を適当に散らしながら自分の席へとたどり着く。


既にリザリーがそこに居て、それだけで来て良かったと思える。


『いやー。自分の席に来るのも一苦労だよ。』

『……。』


嬉しくて声を掛けるが返事が返ってこない。


『おーい。』


―ガタッ―


再度声を掛けるが、一瞥もくれることは無く彼女は席を立ってしまう。


『え、なになに。今日1番泣きそうなんだけど。』


誰もいなくなった彼女の席をただ見つめていた。


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