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悪役に恋して  作者: 冷凍みかん
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決着?

『ハハッ!すげぇ!大きいのってこういうことかよ!確かにこれなら一発は当たるわな!よくやった!』


この魔法は数が多いだけあって広範囲である。もちろん物も少し大きくなっているので威力も十分のはずだ。ワイバーンも避けきれず何発か着弾させることに成功した。


魔法の余波で舞った煙が晴れていく。


―――…グルルゥ――――


『クソっ。ダメか。』


晴れていく煙の中からは、多少煤けて傷ついてはいるものの、未だ健在の様子で立っているワイバーンが居た。それを見て思わず苦言をこぼしてしまう。全くダメージを与えることが出来なかった訳では無かったが、願わくば倒れてくれないかと思って放った一撃である。それがこの程度とは自信を無くしてしまう。



『まだだ、行くぞカイン!』


『おうよっ!』


追撃を掛けるべく、俺の魔法の巻き添えにならないよう離れていた2人が再度接近して、持っている得物で切りかかる。


『クソ、やっぱり固てぇな。』


しかしながら固い鱗が追撃を阻んでしまう。これでは先程までの状況と一緒である。むしろこっちは大きめの一発を放ったことでさっきよりも疲れていることを思えば、旗色は大分悪い。まぁ俺に関しては、小さめのアレコレは一切当たっていなかったので今更ではあるが、前に出てくれている2人にも疲れが見え始めている。


『なにか、弱点の様なものがあれば良いんだけど。2人とも目!目を狙って!それか口とか!』


取り敢えず鱗のない所を狙えと声を掛ける。


『できたらとっくにやってるっての!』

『すまないが、噛まれるのが関の山だ!』


『何故腕が2本あると思う!1本取れても良いからだよ!頑張れ!』



無茶言うなという怒鳴り声が聞こえてくる。実際既に何度か試みているのだろう。そしてそのたび、ワイバーン持つ鋭い牙の餌食になりかけているみたいだ。他に何とか手傷を追わせる手段はないかと敵を見据える。


『ん。あれは…!』



まだ微かに残っていた土煙に紛れて見えなかったが、尾の付け根辺りが一部、鱗がなく窪んでいる。恐らくこっちの渾身の一撃を避けられないと判断し、咄嗟に尾でガードしたのではないか。そしてその際に鱗が何枚か剥がれたのか。何にせよ俺の魔炉も無駄働きとではなかったということだ。


『2人とも!尻尾!お尻!』


2人が俺の言葉を聞いて五体満足の中、唯一鱗が剥がれている個所に注目する。


『あそこも中々危険だと思うんだけどなぁ。』


『まぁ牙よりマシだろ。』



尾に狙いを付けた2人に気付いたのか、ワイバーンも尻尾を庇う様に立ち回り、時には狙われている尾の先で2人を叩きつけようとする。


それを掻い潜って。


『これでどうだ!』


――グャギャアァアア!―――


ロロちゃんの剣がついにその一点を捉えた。今までとは違う鳴き声で巨体が鳴く。奴らの表情が読み取れる人間がいればきっとあれは苦悶のそれだという、はずだ!そして一撃を受け痛みに耐えかねたのかワイバーンが大きな翼を広げようとする。


『不味い!飛ばれてブレスは不味いと思う!』


今まさに飛び立とうとするのを防がんと魔法を放つ準備を整えるが。それよりも早く巨体が地面から離れてしまう。心なしかニヤついているように見えて腹ただしい。表情など相変わらず読めないが。


――ヒュンっ――


そんなことを考えていると俺の横を何か光が通り抜けていった。




―――グギャァァァアアアアアアアアアア!!!――-―


同じ叫び声でも先程とは比べ物にならない大きな叫び。見るとワイバーンの左目に鋭利なナイフが突き刺さっている。あれではもう左目は使い物にならないだろう。



『…ようやく飛んでてくれましたか。』


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