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悪役に恋して  作者: 冷凍みかん
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奮戦

突然の俺の大声に2人とも相手が何をしようとしているのかを悟り、咄嗟に回避しようとその場から飛びのこうとする。しかしすでに繰り出されている攻撃を回避するには少し遅く間に合いそうにない。このままでは3人纏めてあの攻撃の餌食となってしまう。餌食となったら最後、倒れている級友を救うどころではなくなるだろう。しかしこのまま何もせずやられてしまう訳にはいかないと、俺は手を前へ出す。


『っブレイズ!』


ワイバーンから放たれた風の暴力に抵抗するべく、俺の手から勢いよく火球が照射される。

それは俺達の前でぶつかり合うと、球体だったのが良いのだろうか、ブレスが避けるようにして俺達を避ける様に俺が放った魔法と共に四散して行く。



『あっちぃなぁ!おい!』

『でも助かった!ありがとう!そうかワイバーンにはこれもあるのか…。』


咄嗟の事で火を放ってしまったが大丈夫だろうか。よく考えたら森の中で炎を使ってはひどい火事に発展しないだろうかと。一人焦っている視界の端では懸命に消火活動を行っているベル君が見える。


『危ないじゃないですか!場所を考えてくださいよ!』


『悪かった!ごめんね!でも死ぬよりはいいかなって思う!』


本当に瀬戸際だったのだ、正直言って防げると思って放った訳でもない、運が良かったという他ないだろう。


ワイバーンは自身の一撃を防がれたのを見て、少し警戒し始めたのか、距離を取ったまま様子を伺うと、取り敢えずもう一度試してみようとでも考えたのだろうか再びその大きな口を開けようとする。


『させるかよっ!』


それを見てから動いたのか、それとも見る前に動いていたのか、カインがすでに距離を詰めていて先程の再現を防がんと襲い掛かる。


その一撃は、巨体に似合わぬ俊敏さを持つ強敵に鼻先で回避されてしまうが、流石に口を開けたまま回避行動をするほど器用ではないのか、先程の再現を防ぐことには成功した。



『離れたらブレス、近づいたらあの俊敏さか、どちらがマシかという話だな!』


それを見ていたロロちゃんも続いて前線へと加わる。

それでは俺もと距離を詰めようとするが。


『リリィは少し離れて魔法で援護してくれ!僕達より魔法が上手そうだ!』


『そうだな!3人も居ちゃ邪魔になる!引っ込んでな!』


既に前線で踏ん張ってる2人から動きを制するように声がかかる。


『援護と言われても!したことないし!当たっちゃうかも!やっぱ私も前に。』


動いていない相手であればある程度離れていても当てる自信はあるが、動いている相手に確実に当てる自信はない。それどころか、誤って味方に当ててしまうことだって十分に考えられる。


『当たったらその時だ!気にしねぇよ。それともビビってんのか。情けねぇなぁ。』


カインが戦いながらもからかうような言葉を投げてくる。こちらを向いていないので表情は見えないがきっと馬鹿にするような顔をしているのだろう。

そもそもこんな経験初めてなんだビビるに決まっているだろう。最初飛び出した時は頭が熱くなって何も気にならなかったが、少し落ち着いてくると怖いものは怖い、もう小便が漏れそうなくらい怖い。あれ、なんかさっきも似たようなこと考えた気がする。でも…。


『他人に言われると腹立つ。ベル君いざとなったら消火よろしく。行くよ!』



『おぅ!こっちも行くぞ、ロイ!』


『ああ!実は女の子を後ろで守って戦うことに憧れてたんだ!なんか物語の英雄みたいだろう。』




前衛と後衛に急遽分かれての戦闘となったが、気合十分。前衛の2人はワイバーンにこれでもかと襲い掛かり、俺も隙を見て火球を投げつける。しかしどれも決定打にはならない。


『クソ、結構当ててんだろが。』


『皮膚が厚いんだ、致命的な所に届かない。』


このままではじり貧である。ちなみに俺の火球は外れまくりである。全外しだ。申し訳ない。


『しっかり当てろよ!リリィ!てめっ!全然じゃねぇか!』


『うるさいな!難しいんだよ!動いてる敵に当てるのって。』


『大丈夫。そのまま続けてくれ、抑制力になってくれれば十分だ。後ろに居るだけで心強いよ。それだけで気合いが入る!』


むぅ、まるで守られているかの様な言われようである。


『む、まるで好きで私が後ろに居るかのような事を。そこまで言うなら大きいのいくよ。合図したらどいて!ごめんベル君消火頑張って。』


前の方で「大きいのってなんだ」という声が聞こえた気がするけど気にせず今自分が使える中でも強力な魔法を行使するべく、集中力を高めていく。


『ブレイズブレイズブレイズ、もう一つまだブレイズ。今!離れて!ブレイズ!フル!』


石を投げつける様な所作で魔法を放つ、俺の手からまた火球が投げつけられる。ただこれまでと違うのは少し大きめであるという事。そして何より数が多い。その数は10個に迫ろうかとしていた。


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