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悪役に恋して  作者: 冷凍みかん
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それは本当に幻想的で

『……凄い。』


目の前に広がる現実離れした光景に、情けない話ではあるが。思わず当たり前の事実だけを漏らしてしまう。


『これは、確かに凄いね一体どうなっているんだろう。』


班の皆も同じ気持ちらしく、それぞれ呆気にとられたような顔で、世にも不思議な水色の水、いや水色の泉といった方が正しいかもしれない物をただ見つめている。

『ちょっと潜ってみるか。』


『罰当たりな!』


『なんだよ。お前だって下に何があるか気になるだろうが。』


『それは…。確かに気になるけど。…潜っちゃう?』


余りにも美しいその様子は一種の神聖ささえも感じさせ、つい変なツッコミを入れてしまったが、何故此処の水だけこんなにも鮮やかに色づいているのだろうか。その理由が気になるのは確かであり。カインのくだらない提案も魅力的に思えてくる。本当に潜ってしまおうか。


『いや!やめなよ!まだ安全かどうかも分からないんだから!』


俺とカインが少し湖の方へと近づこうとすると、横からその動きを制する声があがる。確かにこの着色の原因がわからない以上、変に触れるのは危険が伴うかも知れない。変な反応を起こした結果であるのかもしれないし、そう言えば泉の周りには俺達以外の生物も見受けられない。一瞬自らの服に手を伸ばしかけた手を止める。


『んだよ、ビビってんのかよ。大丈夫だっての。』


『いや、確かにロロちゃんの言う通り軽率なことはやめた方がいいかも。入ったら最後どろっどろになるかも。ロロちゃん試しに片足だけ漬けてみてよ。』


『漬けないよ!』


俺が一生懸命、事象の解明を進めるために泉の方へ向けてロイの背中を押していると、それまで泉の注視していて一言も喋らなかったベルが、おもむろに前方を指さし告げる。


『なるほど。精霊石を底の落としているんですね。この泉全体を照らすとなると、かなり純度の高い物のはず。流石王立学園、手が込んでいますね。』


指先の向けられている方へ目をやると、確かにそこには青く発色している、綺麗な宝石のようなものが1つ沈んでいた。


『ほんとだ、良く見つけたねぇ。で、結局安全なの。飲んでも呪われたりしない?』


『え、しないと思いますよ。そもそも危険な物であれば、持って帰って来いなんて指示出ないと思いますし。』


成程確かに納得の理由である。俺がそう思っている間に、少年は1つビンを取り出して水を汲み取ってしまう。


『お前、意外と逞しいとこあるのな、ロイとは大違いだ。』


『うるさいな。』


泉の水はビンの中へと移された後も、その鮮やかな水色を保ったままであり、このまま持ち帰れば十分課題をクリアできそうである。


『いや、その、そんなことありませんよ。それにしても不思議ですね。石に照らされていたから色づいてたのかと思えば、容器に移しても色づいたままですし、魔力が沁み込んでいるのでしょうか。戻ったら詳しく先生に聞いてみたいです。』


真面目である。


『よしそんじゃあ潜ろうぜ。安全なのも分かったしな。』


『オーケー。中からこの景色も見てみたいしね。』


俺達はこれで一安心とばかりに、泉に近づいて行き、それぞれ自分の服に手をかけようとする。


『いやいやいや。それでもその行動は可笑しいって。というか女の子がそんな簡単に服を脱ごうとしちゃ駄目だって!』


ロイの言葉に自分が、今どんな姿で何をしようとしていたのかを反芻する。次第に顔が熱くなってくるのを感じてその場に座り込む。


『ッチ。余計な事言いやがって。』


この野郎、完全に嵌めようとしやがった。課題を見せた後絶対に頭から、持ち帰った水をぶちまけてやる。


『さぁ、じゃあさっさと戻ろうぜ。その水だって何時までそのままかわかんねぇんだろ。』


『そうだね、さっさと来た道を戻って森を抜けよう。ベル案内頼めるかな。』


『はい!任せてください。』


1人、座り込んでいる俺を置いて、とんとんと話が進んでいく、何なら既に帰りの道筋を歩きだしている。俺もカインに対する恨みつらみを心の隅に一旦、ほんの一旦追いやって、後を追うべく立ち上がろうとする。


……立ち上がろうとすると、反対側から、少女の甲高い叫び声が聞こえた。


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