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悪役に恋して  作者: 冷凍みかん
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借り物大大会開幕

『えー。では皆さんお集まりいただいたところで、各班の代表者は前に出て、このクジを引いて行ってください。』


私たち生徒全員が馬車から降りたのを見計らって、フォルス先生が丸く口の開いた箱の中に紙切れを1枚、2枚と計5枚放り込んでいく。それぞれの班の探し物をこれで決めようというのだろうか。そんなことの為にわざわざ、あの箱を準備している先生の姿を想像すると、中々どうして茶目っ気がある。


『ほら、ロロちゃん。ちゃんと当たりを引いてくるんだよ。勇者の剣とか、魔王の口髭とか。』


『そんなのが、こんなレクリエーションで求められたら堪らないよ…。』


俺の激励の言葉に、気のない返事を返しつつ、ロイは班の中から1歩2歩と前に出て、クジを引くべくフォルス先生の前に立つ。


『では、失礼します。』


先生の前だからか、真面目な様子でクジの入った箱の中に手を入れる。暫くどれにしようか悩んでいたようだが、ようやく意を決したのか、一枚の紙を勢い良く引き抜き、そして掲げた!


『あんなに気合い入れなくても。まるで本当に勇者の剣を引き抜いたみたい。』


『違いねぇ。』


俺の率直な感想に、同意の言葉を残しカインが本当に愉快な物を見たと言いたげな様子で、顔を二ヤつかせる。


そんな感想を俺達に持たれているとはつゆ知らず、ロイはそのまま掲げた髪を自分の目線の位置まで下げる。一体何が書かれていたのだろうか。1人で楽しんでないで、早く戻ってこっちにも共有してもらいたい。


何をそんなに見つめる必要があったのだろう。じっくりと紙と見つめ合った後でようやく班のメンバーである俺達のいる方へと戻ってくる。


『なにか、神妙な顔してますけど…。』


『これは当たりを引いたと見た。』




たっぷり時間を掛けて、勿体つけてこちらへと戻ってきたロイに俺たちは、早くクジの結果を見せろと発破をかけていく。


『へいへい。何を引いたのかな。その神妙な様子から察するに。ドラゴンの逆鱗、いや生き肝かな。』


『いや吸血鬼の飲みかけの血かもしれないぜ。』


『も、もしかして浮気相手を踏み潰した後の一角獣の蹄とかですか。』


『何でも良いから早くだしなされ。ほらほら。』


催促する俺の後ろから。づべこべ言わずにさっさと出しやがれという、ずいぶんと物騒な声が続く。



『何でそんな物騒なものばかり挙がってくるんだよ!・・・ほら。』



ロイが勝手な創造を膨らませていた俺たちをさえぎるように声を上げて、自らが引き当ててて来たクジを、書いてある内容が見えるように差し出す。



『・・・水色の水?』


『水なんて大体水色じゃねぇか。簡単すぎねぇか。』


『いや。水は透明だろ。この脳筋が。お前が飲んでいる水は水色だったか。』


『そうですね。態々紙に明記するぐらいですし、この水色というのは、要するに青でしょうね。』


『でも真っ青な水なんて、有る物なのかなって思ってしまってね。』



青い水。まぁ無いか有るかで問われたら普通に有る。薬用に作られたものなんかは、薬草の成分が溶け出して青くなるものもあると聞くし、良いところのお嬢様が使う香水なんかにも見かけを気にして、青く着色されたものは少なくない。


『まぁ、ないことはないだろうけど、人工的なものだよね。』


『そうだろう。先生が態々準備して置いて来てくれているということなのかな。』



確かにわざわざ自作のクジ箱を準備してくるような力の入れようを見るに、事前にそれっぽい物を準備して、さらにそれっぽく置いておくことくらいフォルス先生ならやってくれそうである。


『まぁ、なんにせよ探しても全然みつから無いような物なら、書かれてはいないでしょう。大丈夫、大丈夫。』


『そ、そうですよね。たぶん少し探せば案外簡単に見つかりますよ。ええ、きっと多分・・・。』


『まぁ確かにな。ところでロイてめぇさっき俺のこと脳筋って言ったか。』



俺たちが今一つぴんと来ないお題について悶々としている間に、どうやら全ての半にクジが行き渡ったらしく、少し周りを見渡して見ると、どの版も輪のようになって話し合いの場を設けていた。



『では、行き渡ったところで開始いたしましょうか。昼休憩は各自で適当に、では新入生歓迎借り物大大会、開始!!』



お題に関する疑問を問いかける暇も無く、フォルス先生がレクリエーションの開始を告げる。



『ていうか、このレクリエーション、新入生歓迎借り物大大会って言うんだ。』


『なんとなく今勢いで取ってつけたような気もしますけど・・。』


それは言ってはいけないのだろう。きっとある程度ノリで生きている人なのだから。


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