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悪役に恋して  作者: 冷凍みかん
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青天のへきれき(軽め)

『さてと、参りましょうか。』


『はいはいっと、じゃあ行きますかね。』


自室にて外出の支度を済ませて扉に手をかける。2人休日ぶらり旅の始まりである。実際のところ課外学習の準備という目的があり、全くもってブラリではないのではあるが、気持ちはブラブラと歩くつもり満々である。目的なんてものはおまけなのだ。


『しかし、折角の外出ですのにお嬢様があれを着てくださらないなんて…。』


セシィは部屋に投げ出されている、以前彼女が選んでくれた服に目をやりながらわざとらしくため息をついてくれる。


とてもじゃないがあんなヒラヒラふわふわしている服では恥ずかしくて外には出られない。セシィはどうしても俺に着せたかったようで、支度が済んでからも食い下がってきたが、これは譲れない。あれは部屋着である。


…部屋でも来たのは1度きりではあるが。


『いつまでもグチグチ言ってないで。さっさと行くよ。お日様が私たちを待って居るのだから!』


『分かりましたよ。分かりました。仕方がないですね。どっこいしょっと。』


若干セシィがやる気を失くしている気がするが、そんなものはどこ吹く風である。というかいっそこのまま部屋に居てくれても一向にかまわない。きっと1人でもとても楽しいだろう。


なぜなら今日は絶好の散歩日和だからだ!


まるで私たちが外出するのを待って居たといわんばかりの陽光を背に意気揚々と寮を後にする。


『いやぁ晴れたねぇ。晴れました!』


『私がご提案した時は余り乗り気でなかったくせに。』


『まぁそれはそれで、明日は明日の風が吹く。今日は今日の風が吹いたんだよ。セシィ。』


セシィがやれやれといった風に後ろに付いてくる。さてとこれからどこに行こうかと胸を弾ませていると、視界の端に見知った後ろ姿を見つける。



『ん。あれもしかしてリザリーかな。』


『おそらくその様ですね。彼女もお出かけでしょうか。』


折角なのだから、ご一緒できないだろうか。前と同じ面々にはなってしまうがこの際もう構わないだろう。


『おーい。リザリーもお出かけー!?』


彼女は俺の呼びかけを受けて、大きく肩を跳ねらせる。驚かせてしまっただろうか。気が弾むのと比例して声も大きくなりすぎてしまったかもしれない。


彼女はこちらに気付くと振り向いて、足を止める。俺はもう一度誘いをかけるべく近づこうとするが、それよりも早く、リザリーがか自分の顔の前で掌を合わせた。


『あれは、ごめんなさいということでしょうか。どうでしょうセシィさん。』


『でしょうね。きっとお断りのハンドサインかと思われますよ。お嬢様。』


『なんと!』



リザリーからのお断りのサインに俺がショックを受けていると、その間に彼女は足早にどこかへと行ってしまった。


まぁ彼女にも予定というものがあるのだろうし、決して休日にまで一緒にいられないわなどということではないだろう。きっと、多分。


今日は仕方がないと気持ちを切り替えて、2人で楽しもうとする。しかし、


『何やら味噌が付いてしまいましたな。』


『変な事言わないでください。さぁ行きましょうか。』


ふむ、俺は少し部屋に帰って泣きたい気持ちである。


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