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悪役に恋して  作者: 冷凍みかん
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気を取り直して

明日やろうは馬鹿野郎。明後日やろうはクソ野郎。じゃあ一か月後にやろうは?はい。申し訳ございませんでした…。

『まさか離れ離れになるなんて、もう来週休んじゃおうかな…。』


時は過ぎ、今は放課後である。先生方は懸命に俺達を磨き上げようと講義を進めてくれていたが。今の俺には右から左に、いやもう右から入る前に門前払いであった。


『馬鹿の事言ってるんじゃないわよ。別に班が別になったくらいどうでもいいじゃない。』


どうでも良くなんてない。断じてないのである。学校生活が始まって最初の行事に、仲良くしたい異性と一緒に行動できないなんて、寂しいじゃないか。今は異性ではなく同性だろうという言葉がどこからともなく聞こえてきそうだが、そっちの方がどうでもいいじゃない、である。


『じゃあ私はこれで失礼するわ。』


『な!これから離れ離れになるというのに、一緒にご飯も食べてくれないなんて!』


俺の必死の弾きとめもむなしく彼女は、大げさなのよと言い残し足早に去って行ってしまった。班が別になってしまったことなんて、本当に何とも思っていない風である。


『そんなに急がなくても―。』


1人呟くがもう彼女の背中は小さくなっている訳で、俺もいそいそと自室へと向かうしかないのであった。



『なんてことがあった訳なんですけど。』


『良くおっしゃっている意味が分かりませんが、そうでしたかと言っておきます。夕ご飯が出来ましたよ。』



自室に戻り、セシィを相手に愚痴をこぼしてみたものの、言葉は軽く聞き流され、出てきたものは何ともおいしそうな晩御飯である。屋敷で食べていた物と比べると華やかとは言えないが、落ち着いたその雰囲気はまさに。


『実に家庭的である。』


『あら、そうしましたら、もう家族になるしかありませんね。ではお姉ちゃんと呼んでください。』


なにが『では』なのだろう。どうでも良い所ばかり残す耳だと思う。しかしこの女、本当に料理を趣味にしそうな勢いである。味も何というか家庭的で落ち着いた美味しさがある。

このままでは学食から足が遠のいてしまいそうだ。こういうのを何と言ったのだろう。確か…。



『ふふ。胃袋を掴んでしまいましたか。』


『ひぃっ!心を読まれた!?私の悲しみは理解しようともしなかったくせに!!!』


―――――


『それはともかく、明日は課外活動とやらに着ていく服でも買いに行きましょうか。お休みですし。』


はて、改めて服など買う必要はあるだろうか。確かにフォルス先生は服装は自由にしてもいいと言っていたが。いちいちその時だけ着替えるのも面倒である。


『別に制服で良いんじゃないかなぁ。セシィが選ぶ服よりもずっと動きやすいし。』


『いけませんよ。制服は1着しか用意できていないのですから、破れたら破れたままで学園に通うことになってしまいます。なんて厭らしい!』


『鼻息つよっ!台詞と表情をもっと合わせる努力をしなさい!この変態が!』


しかしセシィの言うことも確かに的を得ている。勿論破れたからと言って破れたまま着て通う訳はないのだけれど、ところどころ縫い後のある制服を着ていくのは避けたい。なんともみすぼらしい姿になってしまう。それこそ家名に泥を塗ってしまうというものだ。


まぁ正直な所、家のことなんて余り気にしたことはないけど。折角の一張羅を大切に着ていきたいという気持ちはある。なにせ元日本人である。それに何より。


『それに、御入学されてからの初めてのお休み、外に出られたいのではないのですか。』


その通りである。入学式の時に1度王都を回って入るが、それはそれ。休みの日には出かけたいものなのである。放課後のお出かけとはまた味わいが違うもので、どっちも味わい深いものなのである。


『むぅ、誠に遺憾である。』


『決まりですね。明日は外でお買い物をして、悲しい気持ちも忘れてしまいましょう。』


『むぅ。』


誠に遺憾だが、魅力的である。



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