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悪役に恋して  作者: 冷凍みかん
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修練場は修羅場模様

何とか10月中に投稿できました。今日はハロウィンですね。ウキウキします。

『砂っぽいわね。』


『修練場なんてこんなもんだよ。』



昼食を食べ終え、案内に書いてあった格闘術の授業が行われる会場へと向かうと、そこにはだだっ広いだけの空間があった。体を動かす授業であるからか、この授業は教室ではなくどうやら外で行われるようで、青空の下の気持ちの良い授業である。昔グラウンドで受けた体育の授業が思い出される。もっとも、今いる場所はグラウンドと呼ぶにも飾り気がなく、魔法の実習で使うのだろうか、案山子の様な的が置いてある以外、砂が敷き詰められているだけの空間である。



『おや?リリィさんにリザリーさん。貴女たちもこの授業を受けるんですか?』


しかめ面で修練場を眺めているリザリーを、ムスッとしていても可愛いなと眺めていると、後ろから声がかけられる。


『うわ!びっくりした。フォルス先生。こんなところで何しているんですか。』


『こんなところって。今から授業を始めるところですよ。』


『あら?格闘術の講師って貴方なの?大丈夫なのかしら。』


リザリーが本人の目の前でとても失礼なことを言っているが、概ね同感である。フォルス先生の雰囲気からはとてもじゃないが、人を殴りそうなものは感じられない。それに案内の内容にはフォルスなんて名前は載っていなかったはずである。



『ええ。担当していただく予定だった方が来られなくなりまして。今季は私が担当することになったんですよ。こう見えて身体動かすのは嫌いじゃないんですよ?』


そう言って先生は力こぶを作って見せる。正直不安である。


『授業が始まるまでもう少しだけ時間がありますので、適当にしていてください。始めるときは声かけますから。』


そういうと先生は授業の準備があるのか、修練場の奥の方へと歩いて行く。



『お、なんだお前たちも受けるのか。』


『お、カインさっきぶりだね。』


見るからに格闘術の得意そうな男の登場に、少しほっとする。やはりこれから始まる授業は格闘術であっているようだ。


『何よ。こいつ。』


『おっかねぇな。なんだこいつ。』


俺の横でリザリーとカインがにらみ合う。気の強い者同士が出会うと反発し合うのだろうか。というよりも、リザリーはベル君のことは知っていたのにカインのことは何故知らないのだろう。こんなにも目立つというのに。


『リザリー、こっちはカイン。同じクラ『知ってるわよそんなの。』』


存じ上げていましたか。


『そうじゃなくて、なんでこんなに馴れ馴れしいのかしら。』


『別に良いじゃねぇか。クラスメイトなんだし。あぁ俺も別にこいつのことは知ってるから紹介なんてしなくていいぜ。すげぇ自己紹介してたやつだろ。』


確かにあの自己紹介は衝撃的だった。記憶に残るという意味では大成功だったのかもしれない。自分は決してマネしようとは思わないが。


『何かしら。』


『なんだよ。』



そう言えば少しずつ修練場にも人が集まってきた。格闘術なんて不人気かと思ったが意外と人が集まってきている。そろそろフォルス先生も戻ってきて、授業が始まるだろうか、始まってくれ。こんなことを考えている間にも、隣の両者はにらみ合っている。


胃が痛い…。



『やあ、リリィ。こんなところで何してるんだい。誰かの付き添い?』


『ロロちゃん!!よし来た!!助けて!!』


『え…?どういうこと?』



これぞ天の助け。胃通の元凶から距離を取り、ロロちゃんの方へと駆け寄る。そして壁になる様に後ろに自分の姿を隠す。



『…え?本当にどういう事!?もうそんなに仲良かったっけ?』


『どうでもいいからあの2人を何とかして!』


俺が指を指した先には、まだにらみ合いを続けている2人がいた。



――――



『あぁ、そういう事。おかしいとは思ったんだよ。』


ロロちゃんはのんびりと2人の様子を眺めている。


『早く。早く。』


『いや、あれはもう放っといた方が良いんじゃないかな。』



そんな諦めた言葉が横から聞こえてくると同時に、カインがこっちの様子が変わったことに気付く。



『お、ロイ。お前もこれ受けんのか。』


『ちょっとロッドフォード、何しているのかしら。リリィから離れなさい。』


『やぁカイン、リザリー。出来れば気づかないでいてくれると嬉しかったんだけどね。』



2人の意識がロロちゃんに向いているうちに、こっそりとその場から離れる。ロロちゃんだけがそれに気づいて何とも悲しい目を向けてくるが、仕方がないことだと割り切らせていただく。


俺が現場から少しだけ距離を置くと、修練場の奥からフォルス先生が戻ってくる姿が見えた。




『すみません。準備に手間取ってしまいまして。はい!ではこれから格闘術の稽古を始めます!』



先生。その背中に抱えた、山ほど木剣は、知らないふりをしたほうが良いのでしょうか。


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