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悪役に恋して  作者: 冷凍みかん
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眠気と食い気

遅くなりました。すみません今回短めです。はい、いつも通りです!

『違う。これは睡眠学習だから。』


『私には、眠くて仕方がなるくらい退屈な授業だったって聞こえたけど?』


俺が眠くて重い頭で一生懸命に考えた言い訳を、リザリーは辛辣な言葉で切り返してくる。違う、本当の俺はこんな授業中に惰眠を貪る様な人間じゃない。何とかかんとか眠気を振り払い決意に満ちた表情で前を見据える。


『いや、そんな急に表情を引き締められても、皆貴女が寝ているところをバッチリ見ているわよ。』


『大丈夫。人は生まれ変われる生き物だから。』



過去のことはもう振り払った。これから始まる授業に向けて俺の気持ちは高まる一方である。なにせ次の授業は魔法基礎学である。そう魔法の授業である。歴史深いこの学園では、一体どのような先生が、どういった魔法を教えてくれるのだろう。先日入学式で学園長が見せてくれた魔法を見た時から期待は膨らむ一方である。


ギリギリと音を立てて後ろの扉が開かれると、見るからに魔法使いであるといった服に身を包んだ痩せ型の男が入ってきた。これはもう見るからに期待できそうである。


『えー、私がこの講座を担当させていただく、ゲルマンです。ではまず魔法というのはー。』



また長い座学が始まった。



『魔法には人それぞれ、適性がありましてー、それ以外は中々使えないんですな。これが。』



『リリィ。リリィ。また頭が下がってるわよ。』


『もう無理かも。だって面白くないし。』


それに嘘ばっかりだ。今教壇に立っているゲルマンという男性の口から語られる魔法の話は、俺がアル先生から聞いた話とは全然違うものだった。アル先生が教えてくれた魔法はもっと夢のある物だったのに、目の前の彼からは夢も希望も感じられない。



『それにしても魔法の適性ね。私は風だけど、リリィは昨日見た限りだと炎かしら。』


『いやー別に特には決まってないかなぁ。』


『どういうことよそれ。適性のない属性の魔法は使えないものでしょう。だったら貴女は炎に適性があるってことじゃない。』


そう言えばアル先生は、最初会った時、俺が似たようなことを聞いた時に、一般的にはそうなっていると言っていたことを思いだす。ひょっとしたら皆意外と属性なんて何とでもなることに気付いてないのだろうか。


『なによ、そのにやけ顔。腹立つわね。』


『まぁまぁ、授業中ですよ。ご令嬢さま。』


『もう。なんなのよ。』



そこから先の授業でも特に目新しい知識を得ることは無く、結局退屈なまま午前最後の授業は進んでいく。


『ではこれで本日は終了です。えー、ありがとうございました。』


――――


『いやー、学んだ学んだ。ご飯食べに行こうリザリー。』


『いや貴女ずっと頭で船こいでいたわよ。』


『突っ伏してないだけましな方だと思う。』



中には先生の穏やかな語り口によって寝ていた生徒だって何人かいたのだ。あれもきっと一種の魔法なんだと思う。人を気持ち良く眠らせる魔法。あぁ何と優しい魔法なのだろうか。


『貴女いま絶対失礼なこと考えているでしょう。』


『まぁまぁ早く食堂に行こう。お腹すいちゃった。』



教室を抜けて食堂へと向かう。目的地に近づくにつれて食欲を刺激する良い匂いが強くなってくる。


『へぇ。朝食よりは期待できそうじゃない。』


食堂には、朝と同じでバイキング形式なのだが、朝のそれよりも1ランク上の品々が数多く並べられていた。


『おぉー。流石貴族御用達の学園で感じがする。』


2人で適当なものを選んで空いている席で食べ始める。美味である。朝食よりも気合い入れて作っているのだろうか。心なしかリザリーも満足気である。


『それで午後は何をするの?私はもうないから寮に戻るつもりだけど。』


『んー私は格闘術かな。座学ばかりだったから少し体を動かしたいし。』


『…格闘術?』



俺の返事を受けて彼女は思案顔をする。


『私も受けるわ。それ。』


『いやいや駄目だよ!怪我しちゃうかもしれないし!』


『それは貴女も一緒でしょ。…もうあんな情けないことになりたくはないもの。』



昨日の広場でのことを言っているのだろうか。でもあれは女の子だし仕方がないことだと思う。どう頑張っても腕力で男にかなうことは中々ないのだから。そう中々、一部例外は除く。


『心配だなぁ。』


『それに眠り姫の格闘術を見て、周りがどんな顔するか見てみたいもの。』


意外と陰湿である。


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