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悪役に恋して  作者: 冷凍みかん
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華の都のロッドフォード

土曜日更新といっておいてまた遅れに遅れて月曜更新。すみません!のんびりしてしまってました!


エタリはしません!エタリはしませんよ!

『ところで君たちは今日どの講義を受けるんだい?』


食堂で一緒に朝食を取っていると、俺の横に座るロイがおもむろに声を発する。基本的に学園での授業は選択制で、決まった時間割などはなく、他人が受ける物は直接本人に聞くか、授業で偶々鉢合わせるしかない。前世の学校とは違うところの一つである。


『朝食くらい静かに食べられないのかしら。』


彼の問いかけに対して、リザリーを冷たくあしらおうとする。なんだろう少し棘のある様な気がするが、彼女たちの間には何かあったのだろうか。互いの立場を考えれば、俺が屋敷で引きこもっている間に、どこか社交の場で顔を合わせていてもおかしくはない。


いや、でもそもそもロイの家について知っていることもないし、貴族でもないのかもしれないか。昨日のこともあるし、世情に疎いというのも困ったものである。



『そう言えばロイ君は、どこぞの貴族なの?』


『話を聞いていないのかしら。この子は?』


こういう事は直接さっさと聞いてしまうのが1番だろう。今日の授業が終わってからセシィに聞いてみても良いのだけれど、本人が目の前にいるのだから、やはり直接攻撃が手っ取り早い。それに彼女だって何でも知っているわけでは無いだろうし。



『え?そうだよ。ロッドフォードの一応長男だけど。』


突然の質問にも答えてくれるあたり、中々良い奴のようだ。ただ突然話の流れが変わったからか、少々言葉遣いが年相応のものとなってしまっている。ひょっとしたらこっちが素なのかもしれない。そう言えば昨日代表降りる方法を聞いた時も砕けた言葉遣いになっていたことを思いだす。



『貴女まさか、ロッドフォード家も知らないなんてことは無いでしょうね。』


『いやーそれが、どうにもさっぱり。リザリーがそういうってことは、やっぱりお貴族様なの?』


『そうだね。一応公爵家だから、それなりに有名だと思ってたんだけど…。』



何とびっくり貴族の中でも、とびきりの上位階級だったらしい。マジか。今度隙を見て、ロロちゃんと呼んでやるつもりだったがこれはやめておいた方が良さそうだ。見た所物腰柔らかいイケメンだが、公爵家の長男ともあれば、蝶よ花よとちやほやされていただろうことは想像に難くない。こっそり処断なんてことになったら小便を漏らしてしまう事受けあいである。


公爵家。確かリンゼルには2つ程あったはずで、流石に習ったことがあるはずだけれど、よく思い出せない。流石にそこまで頭残念になった覚えはないのだが。確か片方が軍閥の長で、もう片方が…。



『あ!華の都のロッドフォード!』


『なによ。知っているんじゃない。』


『ふふん。流石に家で教育されてるからね。この程度なら朝飯前だよ。』


『ならすぐ思い出してほしかったわね。それに朝食ならもう食べ終わったわ。講義に向かいましょうか。』



自慢げに鼻を鳴らす俺に、向かいの彼女は辛辣な反応を見せる。


ぐ、確かにボケていたのは事実だが、俺はロッドフォード家よりも、その家が治めている領地の方に関心を持っていたため、どうにも持っている印象が薄いのだ。彼らの一族が治めている、華の都ローゼスといえば、それはそれは美しい景観と評判で、国きっての観光地である。うちのポートセルも観光地としてもそれなりであると自負しているが、ローゼスは観光地としても有名なのではない、観光地として、有名なのだ。ここ大事な所である。


確か婚姻の儀を執り行う場所としても一番人気であるとかなんとか。セシィが昔、鼻息を荒くして俺に説明してくれたことを良く覚えている。



『ほら貴方ももう食べ終わったでしょう、早く行くわよ。』


俺の皿に何も残っていないのを確認するとリザリーは急かすように席から立とうとする。


『まぁまぁ。まだ時間はあるし、もうちょっとゆっくりしていこうよ。ねぇロロちゃんローゼスってどんなところなの?……あっ。』



しまった。華の都に対する興味が強くなったせいで、ついさっき注意しようとしたことを忘れてしまう。


『え?良い所だと思うよ。昔から住んでいるから客観的に見られているか保証はできないけれど。……ロロちゃん?』


聞き逃していてはくれないかと思ったが、まぁ隣の席で聞き逃してくれるわけもなく、俺が勝手に脳内で付けた渾名はあえなく拾われてしまった。疑問に対する答えを優先してくれるあたり、やはり彼は良い奴なのだとは思うがここはやはり。


『え!?何!?ロイ君!私!聞こえないよっ!?』


誤魔化しておいた方が良いだろう。しかし



『あ!あははっはは!!!良いじゃないロロちゃん!可愛くって!お、お似合いだと思うわよっ。ロイ・ロッドフォードでロロちゃんね。良いセンスしてるわ、貴方。』



向かいの少女の爆笑のせいで完全に失敗してしまう。こうなってしまってはもう言い逃れは出来ない。ごめんなさいお父さん。多分この家なくなると思う。



『ちょっと笑いすぎじゃないかい!しかしそんな呼ばれ方は初めてされたよ。』


『すみません。不敬なのはわかっていたんです。出来心でつい。私の首だけで見逃してください。』



一族滅亡の危機を何とか避けようと、俺は長く伸びた髪の毛を左右に散らす。これで幾分か首を落としやすくなるだろうか。



『……うっ。いやそんなことしないから!そもそもできない!』


『リリィやめなさい。ロロ、今すぐそのだらしない顔を横に向けなさい。向けなきゃ根元から落とすわよ。』


『え?…わ、わかった。これでいいかい。』


どうやら助かったらしく髪の毛をもとの状態に戻す。しかし今できないと言っていただろうか。公爵家の力があれば、辺境の貴族の1つや2つ簡単に切り崩せそうなものだけれど。



『なに不思議そうな顔してるいのよ。フィール家を潰したりなんかしたら海上交易はボロボロ、外敵に対する抑止もない、無理に決まっているでしょう。』


流石お父様、小娘の粗相に左右されるような地盤づくりはしていない様だ。離れて改めて感じる尊敬の念。どうか仕事しすぎて禿ません様に。まさか外国に対する戦力手抑止にも1役買っていたとは、より一層心配になる。



『よし、そろそろ時間ね。今度こそ行きましょうか。』


『え?あ、本当だ。行こうか、じゃあまた。』


食堂の時計で時間を確認すると、ちょうど良い時間になっていた。俺達は席を発ちロロちゃんに背を向けて歩き出す。



『…そういえば結局、何を受けるのだろう。』


少年のやるせない呟きには気づく事はなかった。


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