王都にて③
日付変わっちゃったけどまだ寝てないからセーフッ!!
すみません冗談です。見逃してください。。。
『セシィ!?なんで!?』
突然現れた待女に、俺は驚きの声を上げる。眼前には先程まさに俺の頭部を狙い、凶器を振り降ろしていた男が、横になって倒れている。この訳の分からない状況に混乱していると、後ろから状況を説明された。
『急いで追いかけてきたんですよ。危機一髪でした。』
その言葉とは裏腹に、セシィの顔は汗の一つも書いていないが。走って追いかけてきて、俺を悪漢から助けるまでの作業を、なんて涼しい顔でやってのけるのだろう。化け物か。
『化け物かよ…。』
『む、失礼なことをおっしゃいますね。折角危機を救って差し上げたのですから、もっと他に言うことがあるのではないですか。…こう耳まで真っ赤にして感謝の言葉を告げるとか。』
いつもの如く変態じみた事を言いいつつ、セシィは背後から俺を抱きしめていた手をほどく。しかしながら、今回は本当に助かった。もしセシィが来るのが少しでも遅かったならば、文字の通り、俺は今頃傷物となっていたことだろう。狙われた個所から言って、何やかんや痛かったけど無事で済みました、なんて話にはきっとならなかった。そう考えると本当に恐ろしい。俺は、まぁともかく、その後リザリーが乱暴されていたらと思うと、身が震える。
流石に耳を赤くすることは出来ないが、心からの感謝の言葉をセシィに送るために、向き直そうとすると、安心して気が抜けたのか、足がもつれて、彼女の方へ倒れこんでしまう。
『お嬢様!?』
『リリィ!?』
2人が俺の身を案じて心配そうに声を上げるが、幸いなことに体は問題ない。一撃も食らうことなく事が終わったので当然だ。それにも関わらず最後の最後で気が緩んでこの体たらくとは恥ずかしい限りである。
『大丈夫。セシィが来てくれて気が緩んだだけ。ありがとうセシィ。…良かったぁ。』
気が緩んで脱力したからだをセシィに受け止められながら。素直に感謝の言葉を述べる。
いやぁ本当に助かった。どうやって追いついたのか、どうやってぶっ倒したのか、色々気になるところはあるけれど、取り敢えず持つべきものは優秀な従者であるということで。
『ふふっ。お嬢様も良く頑張りましたね。ですが余り心配させないでください。約束ですよ。』
―――――――――
『すみません。危ない所を助けていただいて。』
無事に悪漢を倒しきり、安心していたところで、不意に弱弱しい男の子から話しかけられた。
あぁそういえば、元々はこの子を助けようとしてリザリーが飛び込んで行ったのだった。個人的には、その場を離れる算段をしていたため、そんな改まってお礼を言われると中々居心地が悪い。
『当然のことをしたまでよ。貴方も学園の生徒なら、あんな奴らの好きにされていたらだめよ。…まぁ結局私は何もできなかった訳だけれど。』
リザリーが凛とした態度で彼に対して応える。しかし悪漢どもを相手に反撃できなかったことが悔しいのか、勢いのない言葉が後半に続いてくる。女の子なのだから気にする必要は何もないと思うのだけれど。それよりも。
『え!?学園の生徒なの?…全然気づかなかった。』
『同じクラスでしょ?今朝自己紹介していたじゃない。まさか…。』
あぁ、あの考え事をしていて聞き飛ばしていた自己紹介の。俺の反応を見て男の子が悲しそうな目を向けてくる。ごめん。
『あ、ああ!あのね!一緒のクラスのね!大丈夫!知ってる知ってる。』
『お嬢様。嘘が分かりやす過ぎです。』
罪悪感から、俺は視線を横に逸らす…。
『えっと、ベル・クライルです。本当にありがとうございました。リリィ・フィールさん、リザリー・ヴィオラードさん、それと…セシィさんでしたか。』
ベル君。ベル君ね。覚えておこう、ま、まぁ別に最初から覚えていたんだけどね。
『まぁ困った時はお互いさまということで。ところでベル君はどうしてこんなところに?』
真面目な生徒だったら今頃は寮の部屋で時間割を決めている頃ではないだろうか。見た所、彼は見るからに真面目そうだ。
『っ!?……え、えっと折角早く終わったし、折角だから王都を見て回ろうかなと。』
なんと、まったくもって俺達と同じ理由だったみたいだ。本人は後ろめたいのか、答える前に、焦った様子を見せたが、講義をサボって外に抜け出したわけでもないのだから、別に構わないだろうに。
『お、同士だった。じゃあまた明日ね。行こうリザリー。』
彼は彼で回りたいところがあるだろう。俺はリザリーに声をかけて、散策の続きをしようとする。そういえば昼食がまだだったか、先に腹ごしらえがしたい。そう思ってリザリーの様子を伺うと、彼女は何かを考えていて、突如思いついたように口を開く。まるで名案が浮かんだと手を打ちながら。
『折角だし、貴方一緒にどうかしら。ご飯にしましょう。』
成程確かに、クラスメイトとの交流を温めるいい機会かもしれない。欲を言えば、リザリーと2人で行動したかったりもしたが、先程の件があったばかりで、セシィはそれを許してくれないだろう。それならば一人増えても一緒の話だ。
『良いかも。どうベル君?良かったらだけど。』
『え!えぇ!?……是非お願いします!!』
その弱弱しい風貌からは想像がつかない、ものすごい元気な返事が返ってきた。そんなにお腹がすいていたのだろうか。ならば決まりである。
『よし。行きますか。』
『はい!』
そんな俺達のやり取りを、リザリーは面白いものでも見つけたかの様な顔で、セシィは苦虫を嚙み潰したかのような顔で見ていた事に、俺は全然気づいていなかった。
――総合評価100pt突破ありがとうございました!!――
ありがたいです。泣きそうです。
これからもお付き合いのほど、どうかお願いいたしやす。




