学園生活のしおり
『なぜこうなってしまったのか。』
教室の前で一人呟く。厳密に言えば隣に、同様の理由で立たされている、ロイもいるため一人ではないが、精神的には一人見捨てられた気分だ。
『これから、一緒に頑張ろう。何かあったら助けるからさ。』
隣から、爽やかに声をかけてられる。この少年も、クラス代表として雑用を押し付けられ続けた結果、いづれすれてしまうのだろう。そう思うと憐れに感じてしまう。
そんな気持ちが、表情に出てしまっていたのだろうか、それとも反応を見せない俺に不信感を覚えたのだろうか、彼は怪訝そうな顔をしている。これはいけない。
『うーん。今まさに助けてほしいのだけど。』
『え?大丈夫?具合でも悪いのかい。』
俺が声を掛けると、一瞬驚いた顔を見せた後、何を勘違いしたのか、いや自分にまとわりついている噂を考えると妥当な考察か、心配そうにこちらの様子を伺ってくる。
『…今から、穏便にクラス代表を降りる方法を教えてください。』
『え…。無理じゃない?』
代表決めが終わり、俺達2人はそれぞれの席に戻る。
リザリーが楽し気に手をひらひらと、降っていた。
『えーでは、代表も決まったところで、これからの学園生活について説明しますね。』
それぞれが席についたタイミングを見計らって、フォルス先生が話し始める。
『基本的に授業は選択制です。中には全員参加のも勿論ありますが、それ以外は自由に時間割りを作っていただいて構いません。』
なるほど、てっきり15歳から入学ということもあり、前世で言うところの高校生活をイメージしていたのだが、どうやら違うようだ。どちらかというと大学生活に近いのだろうか。俺は大学に通えなかったから良く分からないけど。
ふむ。しかし好都合、前世で終ぞ叶う事のなかった華のキャンパス生活、今世で思い切り楽しませてもらおうじゃないか。
『ただし、1年間で、最低限受けていただかないといけない授業料が決まっています。これを下回ると留年、酷いと退学です。気を付けてください。』
そう言うと先生は俺達生徒に一冊の本を配布し始める。1冊が中々の厚みを持っていて、あれを一人で全部配るのは中々骨がおれそうだ。腰を壊してしまいかねない。なんだかとっても嫌な予感がする。おもむろにクラスでも前の方の席に座っているロイ君が席から立ちあがった。
『手伝いますよ、先生。』
ほら来た、クラス代表の仕事だ。こうなってしまっては席に座っているわけにもいかない。
俺も諦めて席を発ち前に出て手を貸そうとする。
『いえ、大丈夫ですよ。ありがとうございます。』
フォルス先生は微笑んで、俺達を制すと、本に魔法を掛け始める。宙に浮かび上がる本が
次々と俺達の手元に届けられる。
なるほどその手があったか。そう言えば自分の荷物も魔法で運ばれていたことを思いだす。これは意外と、クラス代表も楽な仕事かもしれない。
『余りこういったことに魔法は使わないようにしているのですが、流石にこの量は疲れますからね。』
それで書類の時には使わなかったのか。
フォルス先生に笑いながら先生っぷりを見せつけられた後、配られた本に目を移す。中はどうやら授業の案内だろうか、講座名とその担当教師と思われる人名がかかれている。
座学から実習、魔法術から算術、政治、…格闘術、格闘術!?
様々な講座が所狭しと書かれていた。
『本日は以上ですので、それを見てそれぞれ明日以降の予定を決めてください。あ、全員必修の講座は最後にまとめられていますので、良く確認するように。』
そう言うとフォルス先生は教室を出ていってしまった。どうやら本当に今日はもう特にすることが無いらしい。それではと俺も席を発ち寮に戻ろうとすると、ふいに声を掛けられた。




