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自己チュークエスト!  作者: くもいひも
18/24

自己チューと狐?の冒険18


「えええええええ!?!?」



 目ん玉飛び出るかと思った。サリアがギルドを脱退!?

え、じゃあサリアギルドは!?解体!?


「実は問題はそこじゃないの。サリアは自身で優秀な

騎士団を持ってるってのは知ってるわよね?

その騎士団にね、サリアギルドを併合するって宣言したの」


「え ええ? はぁ!?」

なんだそれ?開いた口を塞ぐタイミングがないレベルで意味わからん!

「もちろんすぐにギルド本部は反応したわ。

これに対して意図の確認とギルドメンバーの返還要請を要求したんだけど

サリアは接触の一切を拒否。すでに関係者以外は出禁状態になってるの。

国交も完全に断絶するつもりのようで沈黙を貫いている状況で」

「いやいやいや、まてまて! ギルドは国や町の所有物じゃねぇだろ!

免許を持った冒険家達の支援施設ってだけで。

戦争をする為の軍隊なんかじゃないぞ」


「あんたの言う事なんて分かってるわよ。でも実際起きちゃってるの」

「ゴホン、二人とも落ち着け。それで、だ」

サリーを俺の横に座らせ一呼吸置く市長。

「サリアは宣言と共に次の要求をペンデールに提示してきた。

まず交易の権限の二分化。サリア大陸の町村全てのギルドからの脱退。

そして研究塔職員のサリアへの移住だ」

「んな、馬鹿な!」


「でも事実なのよ。何もかも馬鹿馬鹿しい内容なんだけど。

だとしても、でもどうしてそれがゴブリン達のペンデール移住に繋がるのよって事よ」

「捕獲したゴーレムの解析により、間違いなくサリアの魔術師のものだと分かった。

アデル君達が提示すれた交渉内容、抗魔鏡の譲渡がこうなってくると問題になる」

「それで、抗魔鏡の技術を持つゴブリンを?」

「現状サリアが何を考えているかわからない以上、不安要素は出来るだけ取り除くに越した事はない」


「俺を呼んだ理由、なんとなく分かりました」

「君達はブルティアの森について、何やら調べているそうだね」


「単刀直入に言おう、アデル君。君達はこの事とどう関わっておるのだね。

場合によっては君達をペンデールから出してやる訳にはいかなくなるやもしれん」

市長の眼差しは痛い程まっすぐ俺に向かって投げかけられている。




******


 ついさっきまで開いた口が塞がらない俺だったが

今度はサリーがその状態になってる。信じられない物を見たような顔してんな。

市長は俺の話に頷き、事態のやばさに顔をしかめていた。

「ワシが市長になる時、一冊の本を前市長より託された」

そう言って奥の本棚から取り出してきたのは表紙もページもボロッボロの本。

「それってまさか、ケアロさんの本ですか」

「知っておったか。その通りだ、当時のペンデールの裏の歴史を書き記した暴露本だよ」

改めて、ニーナの言った事が真実だったんだと思った。

実を言うと少し疑ってた所がある。根拠がなかったし本人の言葉だけだったからな。


 所々破れていたりインクが滲んで読めない部分があるものの

そこには当時の状況やいかにしてペンデールがシルフィーの怒りを買ったのかが書かれていた。

「なによこれ。こんな話、初めて知ったわ……」

本には抗魔鏡についても触れていた。驚いた事にいつかはシルフィーが

封印から抜け出すであろう、とも書かれていた事だった。

「筋は通っておる。恐らくそのニーナとやらの話は真実だろう。

それにしてもサリアめ、あの森にまで手を出しておったとは」


「そのシルフィーってのが、この本通りの化け物なら各国への圧力には充分ね」

淡々と言うサリー。

「まぁこう言ってはなんだけど。遅かれ早かれこうなる気はしてたわ」

「いや、お前自分のとこのギルドなくなっちまうんだぞ。ちょっと薄情すぎじゃねぇか。

つか何か言ってきてるんじゃないのか? ギルドのサブリーダーだろ」

「……」ふむ。と俺を見て何かを頷く。

「今だから言うけど、あたしは確かにサリアギルドに

所属してる身だけど実際の所属はね……」

ぱっとローブを翻し背中を向ける。

白いローブの背中には特徴的な紋章が……ってあれ?


「あたしギルド本部からの命令でずっとサリア内部を監視してたのよ」

「え はぁぁぁぁ!?」

「サリアに入り込む事は簡単だったんだけどね。

まさかギルド内部がすでに王室にコントロールされていたなんて

ほんと計算外だったわ。おかげで諜報活動に支障でまくりよ」

「なんだ、お前アデル君に話してなかったのか」

「市長は知ってたんですか!? こんなスパイみたいな話……」


 と、聞けばサリーのような諜報員の存在は結構有名な話だったらしい。

「割とね、ギルドを利用した悪党なんかがいるもんなのよ。

まぁ大体はギルドを私物化したリーダーなんかが元凶なんだけどね。

そういう所は目を付けられて本部から調査の為の諜報員が送られるの」

「って事は前々からサリアも目を付けられてたってのか?」

「そうね。と言っても、わかりやすい不正とかじゃあなくって。

問題のある元騎士やら悪名高い賞金稼ぎなんて連中にまで

免許を発行してはサリアギルドへ入れ始めた頃からかしらね。

今思えばあれは今の状況を考えての戦力増強の意味だったのね」



******



「パパの話もアデルの話もよく分かったわ。

こんなの、個人でなんとかなるような問題じゃない。

すぐにでも本部に報告に戻るわ。だから」

こいつはすぐ顔に出る。人を心配してる時の顔だ。

「アデル。くれぐれもサリア関連には手は出しちゃだめよ。

ニーナとロンドの事についても本部が動くわ。だから下手に動かない事。

今の状況下じゃどんな些細な事が火種になるかわからないんだから」

「ん? ああ、まぁ下手踏んで危険な事はやんねぇさ」

俺の返事におもっきし訝しむサリー。「そんな事言ってあんt」

「まぁ、仕方ねぇだろ? 仲間が一人とっ捕まってるわ。依頼は増えちまうわ。

出来るなら働きたくねぇけどよ。そんな事言ってらんねぇだろ」



「……まぁ、あんたが無事ならそれでいいわ」

呆れた顔でサリーが言う。

「って、そうだ。国内にいるサリアギルドのメンバーはともかく

派遣されてる奴らももう全員この事知ってんのか?」

「大体は知ってると思うわよ。街から離れてるとか一部を除いてね。

ご丁寧にも緊急用の魔便箋で一斉にメンバー全員に送ったみたいだしね。

概ね内容は今の依頼を放棄してすぐにサリアに帰還する事だったわ」

「今俺らとPT組んでる奴にサリアギルドのやつがいるんだけどよ」

「スライでしょ? あんた達と一緒にブルティアに行ったんだってね。

ああ、大丈夫よ。あいつの事は安心していいわ。あいつも本部の人間だから」

顎外れるかと思った。




 俺が市長の話を聞いていて、もやもやしたもの。なんつーか腑に落ちない部分。

「市長の話は分かりました。でもなんでゴブリンの村のモグを

1人だけ先にペンデールに送ったんですか?」

だってモグの親父さんやあのじいさんなら話は十分わかる。

「先に?誰かだけ先に送るなぞ指示は出しておらんが」



「えっ だってドレイクさんが」

ん?ここにきて言いようのない不安がこみ上げてくる。胃の中が逆流するような気持ち悪さ。

「話が見えんな。ドレイクにそんな指示は」

市長の声を遮りどかどかと複数の足音が聞こえる。

なんだ?と思っていると勢いよく開かれるドア、そこにいたのは。

「現在来客中です! お引き取りを!」焦る衛兵を押しのけ

「市長! どうしても確認したい事があり……アデル・ノート?」

そこには息を荒げたドレイクさんの姿が。

「どうした騒々しい。今は来客中だぞ」

「取り急ぎお聞きしたい事があります」

詰め寄るドレイクさんの顔に焦りが見える。

「落ち着かんか、一体全体何事だと言うんだ。

ゴブリンの集落はどうした、他の者に任せて戻ってきているのか?」

シンと静まり返る室内。ドレイクさんは目を見開き口をわなわなと震わせてる。

「市長、お言葉ですが私がパンパーバよりペンデールに到着したのはつい今しがたです」

「なっ……何を言う。確かにワシは」

「おそらく、何者かに嵌められました」

遮るように言うドレイクさん。俺の方を向き直ると

「私達がギルドに戻り出発する準備を整えるまで少し時間が掛かる。

不躾なお願いなのは承知しています。ですが、それまで君達にギルメ達の事を頼みたい……!」



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