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ザ☆旅行記Ⅴ ダーク・エルフ  作者: 小宮登志子
第2章 帝国建国500年祭
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挙動不審

 プチドラが呪文を唱えると、ドアは音を立てずにゆっくりと開いた。恐る恐る中を覗き込んでみると、ドアの向こうは真っ暗闇だ。プチドラはわたしを見上げ、

「ねえ、マスター、やっぱりやめようよ。危険だよ」

「危険かどうかは入ってみないとと分からないでしょ。それに、ここまで来て後戻りはできないわ」

 わたしはもともと臆病な性格だから、正直、部屋に入るのは非常に怖い。でも、部屋の中に何があるか興味はあるし、地下方面から聞こえてくる怪しい物音も気にかかる。今回は好奇心が恐怖心に勝利し、わたしは「開かずの間」に足を踏み入れた。

 ランタンで照らしながら、ひととおり部屋の中を見回してみたが、取り立てて変わったものはなかった。というか、部屋は完全な空室で、家具や調度品は置いていない。何もないところがかえって怪しかったりもするが、床は埃でおおわれていて、歩くごとに埃が舞う。

「マスター、当てが外れたんじゃない? 何もないよ」

「そうね」

 結局のところ「開かずの間」は見掛け倒しだったのだろうか。そんなはずはないと思うのだが……


 その時……

 ぐぇぇぇぇーーーーー!!!

 それほど大きな音ではないが、明らかな悲鳴が、足元から部屋中に響いた。

「プチドラ、今のはなんだろう?」

「この部屋で非業の死を遂げた人の怨霊かもしれない。早く出ようよ」

 そうかもしれない。でも、なんだか、さっきからプチドラはおかしい。リラクタント過ぎるような……

「ねえ、プチドラ、あなた、ひょっとすると何か知ってるんじゃないの?」

「いや、それは…… ボクはね、本当は気が小さいんだ」

 気が小さいって…… これは明らかに嘘っぽい。


 わたしはランタンで照らしながら、床を嘗めるように見回した。すると、

「あれっ!?」

 一部分だけ、床が小さく盛り上がっているところがあった。その部分の埃を払うと、驚いたことに、その盛り上がりは取っ手だった。すなわち、床には扉が設けられていたのだ。

「あちゃー……」

 プチドラは手を顔に当てた。でも、いくらなんでも、ここまでくれば怪しすぎるだろう。

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