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オペレーションA

解放軍兵士を探して

作者: j

 1月2日中央アジア山岳部

 中立な立場を取り紛争に割り込んできた平和武装団体がA.K.A社の傘下の元、軍事作戦を突如として展開、アジア連合軍の反撃もむなしくの我々P.D.M社は、ターゲットとする"元人民解放軍の前線指揮官"の確保を予定、作戦を開始した。


 PM22:12・・。

『デルタ2-1、目標地点上空!降下準備せよ!』

 おーやってるやってる・・。

 乗員席から眺める銃撃戦・・。

 山岳の麓に密集する森林からパッと光るオレンジの閃光、夜景に描いた曳光弾があちこちに飛び交う。

 ヘルメットの暗視装置を下ろせば、真っ暗な空間は一瞬にして緑の風景へと変わり、明るい物体には白く発光すした。

 ヘリコプターの乗員席からロープを掴み、そして脚を挟みつつ私は緩やかに降下した。

 ロープと手袋の摩擦で多少の熱を感じつつ、草木と砂利が風で舞い上がる森林内へ着地し、持参したM16A3ライフルを構えながら周囲を確認した。

 よし敵の気配はない。

 続いて、陸上自衛隊の諜報部隊の川崎秋水の部隊が降下し終え、私達は5人1個小隊がその場で編成されると、

『対空砲火が激しい。午前2時30分、回収地点、施設アルファの庭に向う』

 UH60は茂みの影へと隠れ去っていく。

 私は川崎の部隊に、

「両肩に発光マーカーをつけた友軍がいる。誤射には十分注意して」

「わかったわ」

「よし、行動開始だ」


 今回M16A3に反動を抑えるハンドグリップ、ACOGと言うスコープを装着し最低限動きやすく、無駄なものをつけないことを第一に私は銃のカスタマイズをしているが、自衛隊諜報部隊の89式小銃には何も無い。裸の銃で戦うつもりなのだろうか。

 正面から白光する銃火に私は身を伏せ、飛翔する弾丸の音に怯えず私は撃たれた方向に銃を構え、スコープの十字を敵がいると思われるところに合わせて引き金を何回か倒した。

 乾いた銃声は途絶えたかのようになくなったと思い私は前進すると、一人の兵士がベレー帽を黒く濡らし、仰向けになっている。

 A.K.Aの連中か?

 私が射殺した敵と思いその場に近づいた。

「やっ!」

 こいつ武装平和団体の兵士だ・・!

 装備は防弾着と随分と立派だが、銃は何と言うかお粗末なものを手にしている。

「64式小銃ね」

 川崎は言う。私はもしかしてと思い、死体を物色すると身分証明書らしき手帳が現れ手元で開いた。

「日本人だ」

 パスポートの国籍は日本、名前欄は血で染みて見えない。

 なにか役立つだろうと思いポケットに入れると、川崎達は何も語ることなく闇の中前進する。

 

 しかし思った以上に武装団体の反撃が激しく我が社の無線が混雑しはじめた。

 『対空ミサイルで近寄れない』とか『航空支援を要請・・』とか前進を阻むものを破壊できずにいたので私達、そして兵らは弾の雨に撃たれながらじっと伏せ耐えていた。

 航空支援に頼りすぎた結果であった。

「私達が突破口を開く、それまで耐えてくれ」

 ああ、装甲車が買えればこんな事には・・。

 しかしこの麓の中に装甲車を置いても、対戦車ロケットに不意に撃たれるだけ、ヘリでやろうともなかなか難しい。

「やつら当時の防衛陣地を作ってないか?」

 ある一人の諜報員が口にした。

 どういうこと?

「塹壕とトレンチって事かしら。一箇所だけに大規模な防衛に集中させるような・・」

「分散すれば突破できるだろうな」

 よし、その手だ。

 恐らく地形的に防衛陣地だけが平面に作られてるようにも見える、なぜなら敵との距離がすぐそこに私達はいるからだ。

「各隊は分散して行動せよ。工兵はトレンチ切断に協力せよ」

 無線で連絡した後、手りゅう弾の安全ピンを抜いて敵の防衛陣地に投げ入れると、慌てた敵兵の影が機関銃から離れ、白光炎と共に爆発した。

「川崎、援護してくれ」

「行くの?まったく、ここは一次対戦じゃないのよ・・」

「すまんな」 

『敵、敗走します』

 一部の兵士の連絡と一緒に正面の攻撃が薄くなったような感じに、私はしばし顔を出しながら様子を伺った。

 あ、逃げてるな。

 黒い人影から見える姿は、誰かが応戦し誰かがどこかへ逃げると散らばりながら影へと消えていき規律的な問題が頭の中で思い浮かんだ。

 今がチャンスだ!

 今を逃せば進められなくなるぞ。

 あちこちと友軍の分隊支援火器が火が吐いた!

 制圧される防衛陣地に兵士達が、塹壕に流れ込む姿に私達も続きながら大地を走りだした。

 

 入った途端、ほとんどの敵兵士が逃げたのか駐屯している部隊はほんのわずか。

 少数の応戦もむなしくあっけなく殺され捕らえられる。

 敗走した敵部隊はどこに・・?

 疑問を抱き、防衛陣地から囲まれる山岳を見渡した。

 あっ、崖地にそりだしてる山荘らしきものから光が漏れている。

 なんていうか、浅間山荘に似ているなあ。

 あそこに前線指揮官がいるとは限らないので・・、

「おい」

 息があり倒れこんでる敵歩兵に近寄り、銃身でつついた。

 英語で「この戦いの指揮を執っている奴はどこにいる」と尋ねてみた。

 口は堅いだろうと思いのダメ押しである。

「あ、あの山荘だ・・」

 簡単に喋るのか・・。

 指差した方向に顔を向ければ、先ほど行っていた山荘。

 大当たり・・。

「それじゃ、いきましょ」

 

 3階の山荘までの行きは楽だったが正面は封鎖されており、突破するには山荘の屋上からバルコニーのガラスを破って強行突入と言う案で決まった。

 これはあくまで私と川崎が実行するもので、他3人の自衛隊諜報員は正面から鍵を破り突入する。

 いまだに光る銃火に、敗走兵を追撃しているんだろうと思いながら、手すり越しに脚をかけて降下用ロープをそれにかけ、腹に装着。

 ロープを両手で持ち、銃を背負い、川崎と顔を合わせる。

「合図で行こう」

「ええ、いいわよ」

「3、2、1・・」

 数え終えるとき私達は同時に屋根の足場を蹴り飛ばした。

 カーテンで覆われた窓が、わずか数秒で目の前に近づいたので伸ばした右足でガラスを突き破る。

 無線機と2人の兵士が驚く部屋の中、粉々のガラス破片がフローリング一面に散らばる。

 右手で右足の拳銃を引き抜いて一人の兵士に構えて発砲。防弾着を装着しているのか、怯みながら倒れたので着地と同時に2連射。首と顔面を赤く濡らし即死した。

「クリア」

「こっちもよ」

 部屋に充満する硝煙の香ばしい匂い。

 銃を突きつけて手を上げている一人の女がすぐ目の前にいた。

 ボーイッシュで青紫の黒い髪色・・、なんだか諦めきった顔をしている目で、生きてる心地を感じない。

 仲間が死んだにも関わらず平然とした顔で、私を睨んでいる。


 下の階から鼓膜に響く爆発音が何回も鳴り、階段を駆け上がる音が次第に近づいてきた。

 とりあえず彼女のホルスターから拳銃や刃物の武装解除を行い、手にした鹵獲品を手のひらに乗っけて眺める。

 トカレフ拳銃に、軍用ナイフ・・。

 連中の持っているライフルはブルパップの自動小銃だ。

「・・・一つだけお願いが」

 指揮官と思われる彼女が英語で言うと、

「全隊を武装解除をさせたい」

 無線に近づき何やら中国語でマイク前で喋り始め、混線しざわめくなかで電源を切り落とした。

「私を連れてってほしい。後から話すから・・・」

 ・・・?

 随分と往生際の良い女で、川崎の銃を突きつけられながら着陸地点まで私達は歩く。

 迎えの連絡は済ませたので後は待つだけ。

 外へ出るとあれだけ激しかった戦闘は無かったかのように消えて、静かな夜に変わってしまいなんとも不思議な気分である。

 山荘の庭へと案内されると山に囲まれた普通の草原。

 ヘリが来るまで3人で地べたになり彼女の事情を話すことに。

「元人民解放軍兵士、爆破工作班の班長・・。外国派遣任務で爆破に失敗。味方を死傷させ、任務失敗に終わり不名誉除隊。間違いない?」

 彼女はコクリと頷き、川崎の尋問は続くと山の陰から轟く音に小さな機影が目の前に現れてきた。

「続きはヘリでやろう」

 私は言うとUH-60は芝生を巻き上げ着陸し、私達は乗り込むと同じ友軍兵士らは捕虜を歓迎、何があると楽しみにしている様子で離陸する。


「ま、あれなのだけれど・・。A.K.Aと武装平和団体の関係についてなにか知ってることを教えてくれる?」

 川崎が尋問してるし私の出番は当分ないだろうと思い、チョコレートを口にして夜景の山脈を眺めながら話を聞くと、

「支援を受けているんだ。私達、団体は・・。武器、兵器、食料、兵員・・と小さな集団はこのおかげで世界規模に展開できる軍になったの」


「でも、見返りは酷いものよ。A.K.Aとテロとで手を組んで、略奪、人質、いろいろやってる。本来、紛争相手の間に入る団体がどちら側について人間じゃない事をする。テロ集団の言いなりよ」

「ふーん・・・、団体は支配下に置いた地域で何をするの?」

「治安維持、復興、支配地域防衛とか・・。国民にとってプラスになる行動を私達団体はしていた」

 夢のような軍隊だ・・。

 でも今じゃA.K.Aの傘下に置かれてるからマイナスにしかならない。

「でも嬉しかった。貴方達が襲撃してくれて・・・。もうあそこには居たくないからね」

「じゃあ、P.D.M社に入ってみる?」

 冗談交じりで言う川崎に私はギョっとし彼女のほうへ顔を向くと、

「私達の部隊を入れてほしい。皆優秀。・・ああ見えて」

 とても断れない様子だったので私は「いいよ」としぶしぶ言うと彼女の顔から笑みが現れ、なんとも不思議な気分であった。

 

 


 



 




 


 




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