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剣客起居  作者: 緑風の小道
抜け荷
4/10

4 人助け

おひさしぶりにございます。

新たな事件、勃発です。

楽しんで頂ければ幸いです。


 田原坂から興路町への途中にある、葦沢の林の中。着物姿の女が走っていた。その後ろから浪人らしい、二人の浪人が走って来ていた。どうやら女を追っているらしい。女はだいぶ息があがっていて、ふらふらとしていたが、とうとう木の根につまずき、足をひねり、うずくまってしまった。


「待ちやがれ!」


「まったく、手間かけさせやがる。」


二人の男が女に詰寄って来た。


「誰かたすけて!いや!来ないでぇ!」


女は這って逃げながら叫んだ。着物も髪も乱れてしまっていた。


「そういうわけにはいかねえんだ。」


一人の男が女の胸倉を掴み立たせようとしたとき。


「やめないか!」


突然、茂みの中から人が現れた。


「なんだ、お前は!」


「その手をお離しなさい!」


まだ、十代らしい少年であった。着流し姿の少年は女に歩みより、男達を見据える。男達は少年だとわかると、侮ってかかった。


「邪魔をするな!」


男の一人が抜刀して少年に斬りかかった。そうすれば、逃げて行くだろうと思ったのだ。しかし、少年は逃げもせずに正面から男に向き合い、男の太刀筋を見極めてすうっと左にかわすと、


「やあっ!」


とにぎりこぶしで男のみぞおちを突いた。


「うぐっ。」


男はうずまりこんだ。倒れた男に驚きながらも、


「なめんじゃねえぞ!」


ともう一人の男も抜刀し、少年に襲いかかる。少年は大振りする男と交錯する。と、ドサッ。男が倒れた。

やはり少年が急所を突いたのだ。


「手加減しました。ありがたく思いなさい。」


少年はそう言うと、女の方に向かう。女はあまりに突然の出来事に、唖然としている。


「大丈夫ですか?立てますか?」


少年がにこっと笑って声をかけると、


「あ、え、ええ。」


と言い、女は立とうとするが、


「痛っ。」


と言って座り込んでしまった。すると少年は自分の袖を引き千切り、女の足に巻いていく。応急処置をし終えると、


「おぶっていきますから背中に乗ってください。」


と、背を向けて座って見せた。女は最初躊躇していたが、少年の肩に手をかけて、乗った。少年は軽々と立ちあがり、林の中を歩く。


「あなたの足を治療するのに、医者のところに行きますね。」


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