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天才な彼
不意に視界に入った鮮やかな赤色に、僕が意識を傾けるのは当たり前だった。
目を向ければ、思った通り、そこには"彼"がいた。
何処に居ても目立つ紅蓮の御髪。
今は見えないが、彼が振り向けば智慧を宿す深い緑の瞳が覗くはずだ。
その姿勢もさることながら、歩く姿も堂々としており、誰もが彼を無視することなど出来やしないだろう。
そんな彼は、この学園において優秀な環術士として有名だ。その細身の体躯に宿す膨大な力を線密な制御で操る様は、講師も羨むと聞く。
しかも、だ。
名家の出でありながら、性格が大変好ましい。
周囲をよく見ており気遣いができる御方で、僕も悩んでいる際に声を掛けていただいた事がある。
それから彼は僕の尊敬の対象となり、彼を目指して勉強中なのである。
ところで、彼はどこに行くのだろうか。
だってあの先は、誰もがめったに行かない"薬草の森"じゃないか。




