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復讐鬼の転身録  作者: 被疑者っぽい容疑者
20/21

失ったもの



衣玖さん、糸切りハサミを取って

(衣玖がしていた雑な応急処置の後を解いていく)


は..はい

(恐る恐る渡す)


縫い付ける感覚が曖昧ですね、これをしたのは?


わ..私です

なにぶんこういう分野には疎いもので...


いえ、この処置のおかげでわずかに

        延命措置ができています

(恵が慎重に縫合していく)

衣玖さん、ところで千尋さんは?


た、確か血液パックを取りに行って..

(その時、準備室のドアが開く)


ありました!

AB型の血液パックです!!

(千尋が手術室へ飛び込んでくる)


よくやりました、輸血するので

  チューブに繋いで腕の血管に通してください

(縫合を終えた恵が輸血の準備を進める)


四郎先生が来れば紫苑さんも

   一発で治療できるんですがねぇ...

(衣玖がポロッと言葉をこぼす)


....いつでも先生がいる訳じゃないんですから

頼りきりにしていてはいつか後悔しますよ

(輸血を開始する)


カツ..カツ..カツ..カツ..

(その時、廊下から何者かの足音が響く)


衣玖さん、見てきてください

(恵がチューブを繋ぎながら)


*そこに居たのは、三人を担いだ四郎の姿だった*


四郎先生!?

なんて人数担いでるんですか!!

(急いで手術室へ入れる)


とりあえず..安全なところで治療しようと思ってな...

(手始めに飛鳥の傷口に触れ、治療を開始する)


四郎先生、単刀直入に聞きますが...

瑞霊は...倒せたんですか?

(恵が真っ直ぐな目で見つめる)


....あぁ..極めて困難で...犠牲無くしては

       辿り着けない道のりだった..

(四郎が曇った目をする)


ぎ..犠牲って...?

(千尋が問いかける)


....神楽が死んだ

アイツは..死人(ゾンビ)だったんだ...

瑞霊を殺して...そっからさっぱりさ

(四郎が虚しそうに笑う)


そ..そうですか


よし、次は楓夏だな

(瑞霊が死に、楓夏の傷口に作用していた、

   破滅之拳(ガエ・フィスト)の効果は既に切れている)


それに、頑張ったのは俺たちだけじゃない...

だろ?衣玖

(衣玖を見つめる)


そ..それは...まぁ確かに....がんばりはしましたが..

(そう、衣玖はほぼ単独で瑞霊の最高傑作、

     死人である静葉と穣子を撃破している)


よし、楓夏も終わった..

最後は...

(ハルヤを見つめる)

ハルヤ...だ..け.....?

(手を伸ばそうとするが、四郎の体が地面に倒れる)


先生っ!?

(衣玖と千尋、そして恵が叫ぶ)


....っ無理もない

瑞霊と戦っている時..一番四郎さんが辛かったんだ

(目覚めた飛鳥が四郎を受け止める)


あ、飛鳥さん..

つ..辛かったって...?


四郎さんは...瑞霊に身体中ボロボロにされた挙句、

      体を乗っ取られて、生徒と戦わされたんだ


まだ..一人...残ってるんだ....

(四郎が震えるてでハルヤの手を握る)


キュゥゥウウン......!!

(ハルヤの傷口は一層深く、治療に時間が掛かる)


これで...全員..

(気絶するように四郎が眠りにつく)


先生!!



**決戦から...いくつもの月を重ね**












......寒い

(数ヶ月寝たきりで入院していた

     ハルヤが一言ポツリと呟く)


.....え?

(つきっきりで看病していた飛鳥が立ち上がる)


寒いぃい!!!

(ハルヤがベッドから飛び上がる)


お、落ち着きなさいハルヤ!!

(飛鳥がハルヤを取り押さえる)


ど、どうされました!?

(飛鳥が押したナースコールに呼ばれ、

     かかりつけの医者がやってくる)



**同時刻、四郎のところでは**



ハルヤのやつ、まだ寝てんのか?

(呑気におしるこを飲んでいる)


いや、あの戦いのあとの翌朝に快調で

   目覚めた先生が異常なんですからね?

(衣玖がツッコミを入れる)


まぁまぁ、笑う門には福来るって言うだろ?

(満面の笑み)


あのですねぇ...




なるほど...自分はあの戦いから三ヶ月も..

(頭の包帯や胸についている心電図のケーブルを抜く)


一時は心音も止まって、お母さんほんと心配だったんだから

(飛鳥がハルヤの頭を撫でる)


ヤメロ

(手を振り払う)

それと母さん、橋本の奴は見てないか?


楓夏ちゃん?

確か珍しく今日はお見舞いに来てたような...

(バスケットを持ってくる)

フルーツの盛り合わせをくれたのよ〜?


.....じゃ、ちょっと探してくる

(ハルヤがスリッパを履き、立ち上がる)


あんまり無理しちゃダメよ〜!



*そして、倉庫のドアの横で楓夏とハルヤが出会う*



....よう、橋本


相変わらずですね、その苗字呼びは

(楓夏が会釈をしながら)


珍しいじゃねぇか、見舞いに来るなんて...

(ハルヤが遠い目で窓を見つめる)


まぁ..永江衣玖の付き添いですよ

(楓夏が少し距離を取る)

....一年前は..すみませんでしたね


...なんだよいきなり

(ハルヤがドキッとする)


あの時は..自分でも何を考えてたのか...

正直言って、狂ってたとしか...


....相馬先生は..いい人だった

(ハルヤが楓夏の真逆を向く)

あの人は..底抜けに優しくて...人情に厚くて.....

当時身寄りの居なかった自分にとっては....

(ハルヤの足元に小さい水溜まりができる)

父さんみたいな人で....!!


.....本当に、謝っても謝り切れませんよ

(楓夏が俯く)


....はぁ

もう気にしてねぇよ


(楓夏がキョトンとする)

...怒っていないんですか?


何言ってんだ、衣玖、そして四郎先生も守ってくれて

そんな恩人に怒れる訳ねぇだろ?

(ハルヤが何かを投げる)


....これって


道中で恵と会ってな、お前の愛刀だとよ


....ありがとうございます

(楓夏の足元にも小さい水溜まりができる)


じゃあな、多分二度と会うことはないかもな......楓夏

(そう言いながら廊下を歩いていく)


....えぇ





*人生の分岐点*

それは、人によって異なるのかもしれない

ある人は想い人にフラれた時...

ある人は進路に落ちた時...

またある人は真っ直ぐ進んでいくのかもしれない




*霧雨 魔理沙*

享年17歳

穣子と戦闘中...偉大なる死を遂げた


*依神 紫苑*

高校卒業を機に、友達離れを決行

都会の進学校へ主席で入学、博士号を取り卒業した

享年84歳...座りすぎの心血管疾患と診断された


*永江 衣玖*

高校を卒業後、楓夏と共に世界を巡る旅へ出る

享年285歳...妖怪の寿命による老衰だった


*橋本 楓夏*

衣玖が卒業するまで国内を観光

剣を一度置き、武術を極める旅へ

享年173歳...衣玖を庇い、

トラックの爆発に巻き込まれ、粉塵となった


*城ヶ崎 四郎*

ハルヤたちが卒業して数年後、

変わらず幻想部の顧問として活動し、

現在は学年主任を任されている

享年65歳...膵臓癌の全身への転移..過労だった


*祗瑞 飛鳥*

紫苑とハルヤにフォローを受けまくった

四郎と再婚、新婚旅行で地球一周の旅へ

享年98歳...老衰で死亡


*祗瑞 ハルヤ*

高校卒業を機に、一人暮らしを実行

飛鳥の結婚式でスピーチを読み、めっっっちゃ泣いた

それから二年後、海外の女性と結婚、式は挙げずに

婚姻届だけだった。子供が16を迎えた日に、

世界を巡る旅へと繰り出した。

享年...未だ存命









part20 END



復讐鬼の転身録を読んでくれてありがとう!!

ちょうどキリ良く20で終われて

奇数が嫌いな作者にとっては最高!!

次回のシリーズ、名前は決まってないけど

登場人物は大体決まってます!!

以上、作者からでした。



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