君は誰だ
オラァッ!!
(両腕欠損状態のハルヤが体に鞭打って瑞霊へ立ち向かう)
ドゴォッ!!
(赤黒い液体を垂れ流す瑞霊の鼻へ
ハルヤの回し蹴りが叩きつけられる)
アグっ...!!
ポタ..ポタ..
ハルヤ..貴様、なぜ腕以外の傷が無くなっている...?
(そう、腕は瑞例の呪いの影響で戻らないが、
その他の傷が全て消えている)
バァァアンっ!!!
(ハルヤが妖怪化を発動する)
何故だろうな...!
(欠損した腕から青白いドロドロの妖気を放ちながら形成される)
*人間*には説明ができないものがあるんだよッ!!
(ハルヤが瑞霊の腕を掴む)
なッ...!!
(瑞霊が腕を揺らす)
この右手がダメなんだよなぁッ...!?
(瑞霊の右手は通過した物体を全て削り取ってしまう)
ゴキィッ!!
(ハルヤが瑞霊の手首を外す)
ハグっ...!!
(仰け反りながら手首を嵌める)
靭帯が傷付きましたか....!
シュッ...!
(突如地面へ一人分の影が増える)
ドラァアッ!!!
(現れたのはハルヤ達の幻想部の顧問、四郎だ)
クッ...!?
(瑞霊が超反応で左手で四郎を押し除ける)
ヒュウっ...!
(全てを削り取る右手とは対称に、左手は
全ての物体を引き寄せたり反発させたりする)
チッ...失敗か..!
(計画していた奇襲作戦が失敗したことを憂う)
ハルヤッ!!
(そう、ハルヤが腕以外の傷が再生していた理由、それは....)
**十数分前**
ハルヤ...ハルヤ..!!
(御神木へめり込んでいるハルヤを揺さぶる)
せん...せい..?
(ゆっくりと瞼をあける)
大丈夫か!?この腕どうしたんだ!
(先の戦いで、ハルヤは奇襲に押され、
両腕を削り取られてしまった)
キュゥゥン...!!
(四郎が背後霊を使い、呪いの影響で腕は
戻らないが、ハルヤの他の細かい傷が癒えていく)
ハルヤ、ここで何があったんだ...?
母さんが..母さんじゃなくて....瑞霊が..母さんで....
(様々な状況が交差し、錯乱状態のハルヤ)
落ち着け、ハルヤ...!
今ので大体わかった...
(四郎がハルヤの頭を撫でる)
ハルヤ、よく聞け
これから作戦を説明する......
**現在**
ハルヤ!作戦は失敗した!!
逃走経路に着け!!
(四郎が足元に居る紫苑を担ぐ)
はい!!
(ハルヤは既に恵を抱えていた)
フフフ...逃げられると思ってんですかっ!?
(赤黒い液体を傷から流しながら、両手を天に掲げる)
ドゴゴゴゴゴォォオオッ!!!
(赤黒いオーラで形成された巨大な腕が二本形成される)
やれッ!!
(手が恵とハルヤを掴む)
はッ!?
(ハルヤが必死に恵を掴む)
ドゴォォオンッ!!!
(手がハルヤたちを投げ飛ばし、)
町の中心部へ衝突する
ケホッ!ケホッ!
(不可解にも、衝突によりダメージはないようだ)
っそうだ!恵!!
(掴んでいた恵を見つめる)
っかは....!?
(ハルヤが背骨を抜かれたかのような衝撃を受ける)
めぐ...む..!?
(ハルヤの手には、掴んでいた恵の右腕しか残っていなかった)
ゴキュッ...!ゴキュッ...!!
(赤黒い巨大な手が、恵を飲み込んでいく)
恵ッ!?
(ハルヤが飛び出す)
グググッ....!!
(衝撃波を放ち、ハルヤを吹き飛ばす)
バァァンッ!!
(恵を取り込んで巨大な手が人型に変形していく)
クソっ....!
(どうやら恵の何かを吸い取って姿を形成しているようだ)
**四郎のところでは**
テメェ、なんの目的であいつらを飛ばした!?
(紫苑を後ろに逃しながら)
フフフ...さぁ、何故でしょうかねぇ...?
(顔の皮膚がどろりと溶けている)
ただ一つ言っておくと、ハルヤが死なない限り、
私は絶対に死にませんよ....?
冗談はそのふざけた顔だけにしてろ....!!
クレイジー・ダイヤモンドッ!!
(背後霊を召喚し、ラッシュを放つ)
ドラララララァッ!!
(しかし、ゴムを殴っているかのように瑞霊の肉が反発する)
人じゃねぇ何かを殴ってるみてぇだ....!
フフフフフ....
(不気味に笑いながら全てを削り取る右手を振り上げる)
ガウゥンッ!!ガガゥンッ!!!
(瑞霊が縦横無尽に右手を振りかざし続ける)
っぶね...!!
(ギリギリで転がって避ける)
暴走機関車かよ....!
(墓の前に備えられている花を抜き、花瓶を手に取る)
誰かさんごめんなァッ!!
(背後霊が花瓶を握り割り、破片を投げつける)
ビュオッ!!
(破片の雨が瑞霊へ飛んで行く)
遅いですねぇ..!
(少し体をずらすだけで破片の雨を避ける)
フッ、甘いなッ...!!
(手元に残っている破片を直し、瑞例の後方へ
飛び散っていった破片の雨が瑞霊の背へ突き刺さる)
ドシャアッ!!
(破片が人体を貫通し、四郎の手元に花瓶として戻る)
ガッフ...!!
(瑞霊の体の大半が赤黒い液体が流れ出ている)
不気味な奴め....!
(四郎が明らかに嫌悪感をあらわにする)
**ハルヤのところでは**
オラァッ!!
(恵を取り込んでいる液体へジャブをぶつける)
ドゥンッ...!
(反発してハルヤの体が仰反る)
.........
(液体が無言で収縮し始める)
.......?
テメェ!何してんだッ!?
(液体が恵の鼻、口、耳などから恵の体内へ侵入していく)
バサッ.....
(恵の欠損していた右腕と足が赤黒い
義足のようなものとなり、恵が立ち尽くす)
様子がおかしい...!
(ハルヤが八極拳の構えを取る)
不屈之刀....
(恵がそう呟くと、恵の右手に赤黒い刀生成される)
フワッ.....!!
(ゆらりと動き出し、刀を振り下ろす)
スジャッ!!
(ハルヤが体を逸らすが、胸を浅く切られる)
ブワッ!!
(傷口から黄金の光が漏れ出ていく)
ッ...!?
(光が流れていった瞬間、ハルヤの力が抜ける)
なんだ..これ....!?
スチャッ....
(恵が刀を構え直す)
まさか..まさかまさか...!!
(ハルヤがバックステップを踏む)
ドゴォッ!!
(恵が地面を抉れる勢いで踏み出す)
ッ!?消えt..
(拡大したかのようにハルヤの眼前へ、
居合い斬りの姿勢の恵が飛び込んでくる)
ドシャアッ!!
(ハルヤの右胸を刀が貫通する)
ガフゥッ!!
(ハルヤの右胸から黄金の光が漏れ出ていく)
シュウンッ...!
(再びハルヤの力が抜けていく)
やっぱり...
「傷を負うたびに生体エネルギーが抜けていく....!!」
ザッ!
(恵が追撃の一刀を振り下ろそうとする)
バンッ!!
(振り下ろした一刀を白刃取りする)
オラァッ!!
(刀を横へ曲げ、へし折る)
ベキンッ!!
(へし折れた破片が地面へ突き刺さる)
ドゴォッ!!
(ハルヤが震脚を踏む)
轟天掌ォォッ!!!
べギィィイッ!!!
(ハルヤの渾身の掌底が恵の肋へ突き刺さる)
........ッ!!!!
(恵の肋という肋が粉砕される)
ハァ..ハァ..
(力を使い果たし、エネルギーで生成した両手が塵となっていく)
もう..動けねぇ....
(仰向けで地面へ倒れ込む)
ズズズ....
(恵の体から赤黒い液体が抜けていき、
倒れているハルヤへにじり寄っていく)
ク..ソ....!!
(動けない体に鞭打つが、少し体を起こす程度しかできない)
ヒュオッ...!!
(空から何かが飛来してくる)
(目覚めた恵が顔を起こす)
だ..れ...?
(這いながらハルヤへ近づく)
ドシャアッ!!
(赤黒い液体を踏みつけ、動きを止める)
えい...♪
(液体の堅い破片を発見し、踏みつけると、
液体がガラスのように崩れていく)
うふふ..しようも無いわね....♪
(青い髪、ハルヤよりも高い背丈、そして何よりも足が
細いにも関わらず地面を抉るほどの蹴り、
只者では無いのは明らかだ)
ア..アンタは....!!
(ハルヤは誰よりも見覚えがある)
忘れたくても..忘れられなかった....!!
(ハルヤがボロボロと涙を零す)
かあ..さん......
part10 END
part10閲覧頂き恐縮のキワミィ
次回は何が起きるんだろうね




