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Invitation to MI6  作者: 徳田新之助
第三章 終焉と創造のプロトコル
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希望の誘い出し





リリアン、リリス、テオの三人を乗せた車は、エイドリアン・グレイの旧邸宅の裏手にある、荒廃した採石場跡へと到着した。そこは旧邸宅の『物語の領域』のわずかに外側、MI6の直接的な監視から逃れた唯一の場所だ。


車から降りると、テオがすぐに周囲を警戒した。




「スローンの追跡者たちが、この周囲に展開しているのが分かる。奴らは、ジョナサンが地下にいると確信し、建物の正面と裏手に部隊を固めている」




リリスは、デバイスの画面に映るMI6の**『物語の包囲網』**の解析結果をリリアンに見せた。




「MI6は、ジョナサンが**『カローン』でここへ来たことをまだ掴み切れていない。彼らの『物語の理』は、ジョナサンが『歩いて』逃げ出したという『偽りの物語』に固執しているわ。この『矛盾』**を突くのよ」




リリアンは、クラークから受け継いだ『希望と行動する勇気』のテーマを胸に、静かに頷いた。




「私たちの作戦は、彼らの**『物語の固執』を、さらに強めること。彼らが最も恐れるのは、『創造主』が逃走し、再び『物語の書き換え』**を始めることよ」




リリアンは、採石場跡の巨大な岩壁に向かって、両手を広げた。彼女の**『希望の物語』**の力が、静かに、しかし強力に解放される。




「リリス。MI6の全通信チャンネルに、ジョナサンが**『物語の創造』を開始したという『偽りの波紋』を流して。そしてテオ、あなたの『物語の断片』で、旧邸宅とは真逆の方向へ向かう『偽りの創造主』**の残像を創り出して!」




テオは、すぐに自身の能力を具現化した。それは、クラークの**『創造』**に似た、白い光の粒子。テオは、その粒子を旧邸宅とは真逆の、広大な森へと向かって放出した。




『物語の偽装:逃走する創造主』




一方、リリアンは、**『希望』**の力を集中させ、岩壁に激しくぶつけた。


ドンッ!




それは、**『創造』による現象を装った、巨大なエネルギーの解放だった。彼女の行動は、クラークが『真の原典』**の再構築を始めた時の『創造の振動』に酷似していた。


MI6の追跡者たちのデバイスに、一斉に警報が鳴り響いた。




「感知!巨大な**『創造の波紋』**を確認!旧邸宅とは逆方向の森の奥へ向かって移動中!」




彼らの**『物語の理』**は、完全にリリアンたちの作戦に引き寄せられた。スローンが地下侵入のために旧邸宅の地下室の扉を破ろうとしていた部隊の半分以上が、命令系統の混乱とともに、リリアンたちがいる採石場跡へと向かい始めた。




「成功だ、リリアン!」リリスが叫んだ。




しかし、その成功は長くは続かない。スローンの**『力』**が、この偽装に気づくのは時間の問題だ。




「ウォレス、私たちはMI6の部隊を惹きつけたわ!ジョナサンに、残りの時間がないことを伝えて!」




リリアンは、最後の希望を託し、ウォレスとの通信チャンネルを開いた。




MI6の部隊が、リリアンたちがいる採石場跡へと、猛スピードで迫ってくる。彼らの**『希望の物語』は、今、巨大な『絶望の包囲網』**との衝突を迎えようとしていた。



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