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Invitation to MI6  作者: 徳田新之助
第三章 終焉と創造のプロトコル
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希望への疾走





MI6の地下隔離空間で、長官の最期の言葉を聞いたリリアン、リリス、テオの三人は、もはや迷うことはなかった。




「長官は、私たちに**『許可』を出したのよ。ジョナサンが世界を救うのか、それとも破滅させるのか…私たちの『希望』**で見届けろと」リリアンは、決意に満ちた顔で言った。




「そうね。管理者が己の全てを賭けた『物語』だもの」リリスはデバイスを操作し、長官の**『終極命令』**で生じたMI6の情報領域の混乱を、最大限に利用した。




「ジョナサンは今、エイドリアン・グレイの旧邸宅の地下よ。急ぐわ、スローンの追跡が本格化する前に!」




三人は、MI6の監視下から脱出し、ウォレスが仕掛けた**『偽りの物語』**のルートを逆走して、旧邸宅へと向かう最短ルートを疾走した。




テオが運転する盗難車は、深夜のロンドンの郊外を猛スピードで駆け抜ける。




「MI6は長官の裏切りで混乱しているが、サー・ロバート・スローンは必ず動いているはずだ」テオが、バックミラーを睨みながら言った。




その直後、リリスのデバイスが激しく警告音を上げた。




「リリアン!間に合わなかったわ!スローンがMI6の全戦力を動員した。彼らは、ジョナサンを拘束するため、**旧邸宅周辺の『物語の領域』**を外側から完全に封鎖している!」




リリスの画面に映し出された地図は、旧邸宅を中心とした半径数キロのエリアが、能力者と特殊部隊によって、幾重にも包囲されていることを示していた。これは、長官の**『終極命令』に対する、スローンの徹底的な『報復』**だった。




「このまま進めば、正面からMI6の包囲網に突っ込むことになるわ」テオは顔を歪めた。




リリアンは、強くハンドルを握りしめ、前方の道路に集中した。夜明けが近づき、空が薄明るくなり始めている。




「時間を稼がなければ、ジョナサンが**『真の原典』**の書き換えを完了する前に、スローンに踏み込まれてしまう」




リリアンは、助手席のリリスを見た。




「リリス、MI6の包囲網の**『物語の理』に、わずかな『歪み』**はない?」




リリスは即座に解析を開始した。




「一つだけ…MI6は、**『旧邸宅への能力者の侵入』を想定している。でも、私が感知した限り、彼らはジョナサンが乗ってきた『カローン』**という輸送機の存在に、まだ確信が持てていないみたい」


「輸送機…」リリアンは閃いた。「テオ、このルートの先に、旧邸宅から見て南西方向にある、**『古い採石場跡』**があったはずよ!」




「採石場?あそこはMI6の監視領域の外だぞ」テオは戸惑う。




「スローンは、ジョナサンが**『地下』から逃げるとは考えていない。私たちが採石場跡から『物語の理』を動かせば**、MI6の注意を一時的に逸らせるかもしれない!」




リリアンは、最後の希望を託し、テオに指示を出した。




「テオ!採石場跡へ向かって!私たちは、ジョナサンが**『創造』を完了するまで、このMI6の『絶望の包囲網』を、『希望の物語』**で打ち破るわ!」


テオは強く頷き、車はMI6の包囲網の側面を縫うように、旧邸宅の裏手にある採石場跡へと向かって、最後の疾走を開始した。

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