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Invitation to MI6  作者: 徳田新之助
第三章 終焉と創造のプロトコル
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原典の残された空白





僕の乗る輸送機『カローン』は、ロンドンの夜空を静かに滑空していた。目的地は、エイドリアン・グレイの旧邸宅。その地下には、世界を終わらせる**『終末の物語』が記録された『真の原典』**への扉がある。




僕は、操縦席でウォレスから受け継いだデバイスを開いた。そこには、MI6の『管理者』であった長官の**『物語の全て』**が詰まっていた。




「長官の『知識』…」




僕は、その知識を僕自身の**『創造』の力で解析した。長官の能力は『管理』だが、その根幹は『記録』と『比較』にある。彼は、世界の『物語の理』を構成するすべての要素を記録し、その『差異』**を修正することで秩序を保ってきた。




僕が解析を進めるうちに、**『真の原典』の構造図の中に、これまで誰も気づかなかった『矛盾』**を発見した。




長官の記録によれば、『真の原典』は三層構造であり、第三階層の**『終末の物語アポカリプス・レコード』は、エイドリアン・グレイが自身の『物語』を完全に消滅させたときに発動する『自己破壊プログラム』**であるとされていた。




しかし、長官が残した極秘の観測データには、その『終末の物語』の設計図に、**一箇所だけ、決して満たされない『空白の論理ホワイト・ロジック』**が残されていることが示されていた。




その『空白の論理』とは、「最終的な『物語の創造主』の 『自己肯定』 を、 『真の原典』 **が確認できなかった場合」**という条件だった。




(長官も、この空白の論理の意味を理解できていなかった…)




長官は、これを単なる設計上の欠陥、あるいはエイドリアン・グレイの最後の**『歪み』だと捉え、世界の『延命』に全力を注いだ。彼にとって、僕の『創造』は、この空白を埋めて『終末の物語』を完成させてしまう『危険な要素』**でしかなかったからだ。




しかし、僕は違った。『創造』の力を通して、僕はその**『空白の論理』に込められた、エイドリアン・グレイの『真の意図』**を読み取った。




エイドリアン・グレイは、自らの『物語』が世界を破滅させたことを後悔し、**『自己破壊プログラム』を起動させた。だが、彼は、『創造主』**の力が持つ無限の可能性を、最後の瞬間まで信じていた。




「この『空白』は、**『創造主』が、自らの『創造』した『物語』と、『創造主自身』を、心から『肯定』**できるかどうかの、最後の試練…」




つまり、僕が**『新しい物語の理』を創造し、その結果、「この世界と、この世界を創造する僕自身の存在が、価値あるものだった」と、『真の原典』**に承認されれば、『終末の物語』は発動せず、永遠に無効化されるのだ。




長官は、僕の力を恐れたが、エイドリアン・グレイは、僕の**『心』と『創造』**の可能性に、この世界の運命を託していた。




僕が書き換えなければならないのは、**『終末の物語』そのものではなく、その上に存在する『最後の審判』**だった。




僕自身の『創造』と『存在』の肯定。




それが、僕に課せられた、真の**『終焉と創造のプロトコル』だった。僕は、エイドリアン・グレイの旧邸宅へ向かう輸送機の中で、世界の運命が、僕自身の『心』**にかかっていることを悟った。



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