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Invitation to MI6  作者: 徳田新之助
第三章 終焉と創造のプロトコル
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最終ルート





ウォレス・マッケンジーから届いた指示は、エイドリアン・グレイの旧邸宅の地下が**『真の原典』**への最終アクセスポイントであるという、決定的なものだった。長官の『物語の全て』を受け取った今、僕に残された時間は少ない。




「ウォレス、旧邸宅はロンドンの監視外にある。移動手段を」




僕は、地下トンネルの暗闇の中で、デバイスにそう打ち込んだ。


ウォレスからの応答は、わずか数秒で届いた。




「了解しました。長官の『知識』に基づき、MI6の監視下にない**『物語の断片』を利用します。ロンドン東部、廃墟と化した『リバー・ドック』**へ向かってください」




ウォレスが提示した座標は、テムズ川沿いの古い船着き場だった。




「リバー・ドックには、MI6の**『物語の運び屋』が、かつて機密性の高い物品を輸送するために使っていた『偽装された輸送機』**が隠されています。長官の最終命令によって、その輸送機の制御システムは、あなたの認証キーに接続されました」




ウォレスは、その輸送機の名を伝えてきた。




「コードネームは**『カローン(Charon)』**。


ギリシャ神話で、死者を冥府へ運ぶ船頭の名です。スローンの部隊が、この輸送機の存在を知るまで、猶予は20分。急いでください」




『カローン』…死と生の境界線を運ぶ、MI6の影の乗り物。長官が、どれだけ深い絶望の中で、僕の**『創造』**に希望を託していたのかを痛感した。


僕は、急いで地下トンネルを抜け、ウォレスが指示したリバー・ドックへと向かった。




長官の『知識』を受け継いだことで、僕の『創造』の力は、周囲の『物語の理』の**『空白地帯』を瞬時に読み取れるようになっていた。スローンの追跡者たちが、僕のいる場所とは全く別の場所**を捜索している様子が、頭の中に流れ込んでくる。




リバー・ドックの錆びついたクレーンの下、古びた倉庫の陰に、ウォレスの言う通り、黒く塗装された小型の飛行機が隠されていた。外見はただの貨物輸送機だが、その機体全体が、MI6の**『物語の偽装』**によって、周囲の環境に溶け込んでいた。




僕は、デバイスの認証キーを輸送機にかざした。


機体のハッチが音もなく開き、コックピットの計器が緑色の光を放った。座席には誰もいない。すべてが自動制御されている。


僕は操縦席に乗り込み、ウォレスに最後の通信を送った。




「ウォレス。輸送機に乗り込んだ。エイドリアン・グレイの旧邸宅へ向かう。長官の『物語』は、無駄にはしない」




「ご武運を、クラークさん。私は、MI6の**『情報領域』から、追跡者に『偽りの物語』**を送り続け、あなたを援護します」




ウォレスからの通信は、そこで途切れた。


僕は、『カローン』を起動させた。輸送機は静かに垂直に浮上し、MI6とスローンが支配するロンドンの夜空を、エイドリアン・グレイの旧邸宅という**『物語の始まりの場所』**へと、孤独に飛び立っていった。



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