真の原典の設計図
長官は、僕の差し出した手を固く握った。MI6の『管理者』と、世界の『創造主』。二つの異なる『正義』が、世界の終末という共通の敵を前に、一時的な共闘の誓いを交わした。
「わかった。ジョナサン・クラーク。君の『創造』に、私の**『知識』**をすべて提供しよう」
長官は、そう言って、部屋の中央にあるテーブルを指差した。テーブルの上には、僕の日記とテオの地図が置かれていた。
「この部屋は、私の能力によって、MI6の**『情報領域』と直結している。ここで、私は君に、『真の原典』**の詳細をすべて見せる」
長官は、壁に映し出されていた黒い巨大な影――**『真の原典』**の設計図に、手をかざした。
「**『真の原典』**は、世界の『物語の理』そのものだが、三つの階層で構成されている」
第一階層:『物語の礎』
「これは、世界の存続に不可欠な、最も基本的な『理』だ。生命の誕生、重力の法則、そして**『希望と絶望』**の基本的なバランスが記録されている。ここを書き換えることは、世界の物理法則を破壊することに等しい。エイドリアン・グレイが触れ、暴走したのが、この領域の一部だ」
長官は、映像の最も明るい部分を指し示した。
第二階層:『物語の脈絡』
「ここは、過去から現在に至る、人々の『自由な物語』のすべての連鎖が記録されている。君がリリアンやリリスの『物語』に干渉した際、影響を与えたのは主にこの領域だ。君の『創造』の力は、この領域では**『未来の可能性』を生み出す。だが、その代償として、『終末の物語』**が記録された第三階層を活性化させてしまう」
長官の瞳には、僕の力が持つ危険性が映っていた。
第三階層:『終末の物語』
「これが、君が書き換えなければならない領域だ。ここは、この世界の『理』が崩壊した場合に発動する、**『自己破壊プログラム』の設計図だ。エイドリアン・グレイの『歪んだ希望』が生み出した、世界の『絶望の対価』**だ」
長官は、その最も暗く、深く渦巻く部分を指した。
「この第三階層は、『偽りの物語』によって封印されている。つまり、世界の『物語』のある特定の結末が満たされない限り、このプログラムは発動しない」
長官の言葉に、僕は光を見た。
「その**『特定の結末』**とは何だ?」
「それは、エイドリアン・グレイの『物語』だ」
長官は、そう言って、衝撃の事実を明かした。
「『終末の物語』は、エイドリアン・グレイが望んだ通りに、彼の『物語』が完全に消滅したときに、発動するように設計されている。彼自身が、二度と自分の力が世界を壊さないよう、**『究極の安全装置』**として組み込んだものだ」
長官は、僕に深く頭を下げた。
「ジョナサン・クラーク。君の使命は、彼の『物語』を消滅させるのではなく、『新しい物語』として再構築し、世界に組み込むことだ。それが、『終末の物語』を無効化する唯一の方法だ」
僕たちの前には、世界の運命を賭けた、壮大な『物語の書き換え計画』が広がっていた。




