表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Invitation to MI6  作者: 徳田新之助
第二章 プロジェクト アザゼル
54/86

決断の銃弾





長官は、僕の言葉に銃を下ろした。だが、それは僕の『正義』を受け入れたわけではなかった。彼の瞳に浮かんだ迷いは一瞬で消え、冷徹な決意に変わった。




「君の『正義』は、美しい…」




長官はそう呟いた。その声には、僕の理想に対する評価と、それを容認できない彼の現実主義が同居していた。




「だが、それは、この世界の『物語』を破滅へと導く『幻想』だ…」




彼は僕に背を向け、特殊部隊の隊員たちに命令を下した。




「奴らを…拘束しろ!」




隊員たちが一斉に僕たちを取り囲んだ。




「待ってください、長官!」




僕が叫ぶと、長官は再び僕に視線を向けた。




「私は、君の『正義』を否定しない…だが、MI6の『正義』は、この世界の『物語』を守るためにある…」




彼はそう言って、引き金に指をかけた。




ズドン!




乾いた発砲音が、廃墟に響き渡る。だが、銃弾は僕の体を貫くことはなかった。弾丸は、僕の頭上をかすめ、背後の壁に命中した。長官は、僕を殺すつもりはなかったのだ。




「ジョナサン、逃げて!」




リリアンが叫んだ。




その隙に、リリスがテオの手を引いて、廃墟の奥へと駆け出した。彼女の足取りは速く、長官の命令を待つまでもなく、すでに次の行動に移っていた。テオは、リリスの緊迫した様子に戸惑いながらも、彼女についていった。




「追え!ただし、奴らを傷つけるな!」




長官が命令を下すと、数人の隊員がリリスたちを追っていく。僕は、長官と特殊部隊に囲まれ、身動きが取れなかった。長官は僕にゆっくりと歩み寄ってくると、冷たい瞳で僕を見つめた。




「ジョナサン・クラーク。君には、まだ、MI6の『物語』の真実を、知ってもらう必要がある…」




その言葉は、まるで僕をMI6の『正義』に引き込むための、新たな『物語』の始まりを告げているようだった。彼は、僕を単なる敵ではなく、理解すべき対象として見ていたのだ。


長官は、僕の右手を拘束すると、僕の耳元で囁いた。




「我々は、君の『知識』を必要としている…君の『正義』を、MI6の『物語』に取り込むために…」




僕は、その言葉に、背筋に冷たいものが走るのを感じた。MI6は、僕の『正義』を否定するのではなく、それを彼らの『物語』の道具として利用しようとしていたのだ。それは、僕の『物語』を破壊することよりも、さらに恐ろしいことだった。




僕は、その場で拘束され、MI6の『物語』の奥へと、連れ去られることになった。僕は、リリアンとリリス、そしてテオが、僕を救い出してくれることを、信じていた。




僕の意識が、MI6の地下施設へと運ばれていく。その途中、僕は、壁に描かれた、一つの絵を見つけた。




それは、まるで、この世界の『物語』のすべてを象徴するような、一つの絵だった。そこには、希望を象徴する白い光と、絶望を象徴する黒い闇が、まるで太極図のように描かれていた。その中心には、僕が持っていた、リリアンから託された光の粒が、描かれている。


そして、その絵の下には、一つの言葉が記されていた。




『X The Story of Hope and Despair(希望と絶望の物語)』




僕は、この絵が、僕の『物語』の、新たな始まりを告げていることを理解した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ