希望を紡ぐ者
**『物語の支配者』**の抜け殻が、砂のように崩れ落ち、跡形もなく消え去った後、アーカイブ室には、静寂が戻った。
リリアンは、まだ体が透明なままだが、その瞳には、確かな光が宿っていた。
「ジョナサン…彼は、MI6に、彼の『物語』を奪われた…」
彼女は、そう言って、悲しげに瞳を閉じた。
「そして…MI6は、その事実を、歴史から隠蔽しようとしている…」
僕は、この事件のすべての謎が、一つの線で繋がったことを理解した。MI6は、自分たちの過去の過ちを隠蔽するために、僕たち『物語の改変者』を、執拗に追っていたのだ。
「僕たちは、これから、どうする?」
僕が尋ねると、リリアンは、ゆっくりと立ち上がった。
「彼が消え去った今、MI6は、彼の『物語』を、この世界から、完全に消し去ろうとするでしょう…」
リリアンは、そう言って、決意を秘めた瞳で、僕を見つめた。
「私たちは、MI6よりも早く、彼の『物語』の真実を探し出さなければならない…!」
彼女の言葉は、僕たちの新たな目標を示していた。MI6の『正義』は、歴史を隠蔽することだ。だが、僕たちの『正義』は、その真実を、この世界の『物語』として、紡ぎ直すことだ。
その時、テオが、リリアンにそっと手を伸ばした。
「君は、大丈夫なのか?」
リリアンは、テオの問いに、微笑みかけた。
「ええ。もう大丈夫。私の『物語』は、彼に、少しだけ『希望』を分けてもらったから…」
彼女は、そう言って、僕に目を向けた。
「ジョナサン、彼の『物語』の真実を、探してくれる?」
僕が頷くと、彼女は、僕の手に、小さな光の粒を乗せた。それは、まるで、彼女の『希望』そのもののようだった。
「これは、僕が、MI6と戦うための『武器』…」
僕がそう呟くと、リリアンは、静かに頷いた。
「この光は、あなたの『物語』の力。あなたの『知識』と『知恵』が、この光を、MI6の『物語』を破壊するための、光の剣へと変えてくれる…」
僕たちは、新たな『物語』を紡ぐために、この場所を後にすることにした。リリアンは、僕たちと一緒に、この旅に出るという。
「僕は、君の『物語』の結末を、ハッピーエンドに変えてみせる」
僕は、そう言って、彼女の手を握った。
僕たちの『プロジェクト・アザゼル』の物語は、今、新たな章を迎えた。




