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Invitation to MI6  作者: 徳田新之助
第一章 この世界の理
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止まった時間の向こう





大量の水が降り注ぎ、少年の能力が不意に中断された瞬間、長官とリリスは、まるで止まっていた時間が動き出したかのように、再び動き始めた。




「クラーク!何をした!?」




長官は、怒りに満ちた表情で私を睨みつけた。




「リリス!こいつを捕らえろ!」




長官の命令に、リリスは、再び私に銃を向けようとした。だが、その時、私は、彼女たちを無視し、少年へと駆け寄った。




少年は、能力が中断されたことで、呆然と立ち尽くしている。彼の瞳は、もはや氷河のようではなく、どこか戸惑いと不安を宿していた。




「君の能力は、時間を止めること。でも、なぜ、君はそんな力を使ってまで、この世界の『物語』を終わらせようとするんだ?」




私が問いかけると、少年は、僕をまっすぐに見つめた。




「この世界の『物語』は、絶望へと向かっている。僕が知る限り、この物語に、希望はない…」




彼の言葉は、深い悲しみを帯びていた。




「君は、何者だ?そして、君が知る『絶望』とは、何だ?」




「僕は、この世界の『物語』を観測する者…そして、僕が観測した未来は、すべて、絶望的な結末を迎えている。戦争、災害、そして、人々の憎しみ…」




彼は、まるで自分が体験したかのように、未来の悲劇を語った。




「僕は、この『絶望』の物語を、この手で終わらせたい。だから、僕は、時間を止めて、この物語を、無に帰すことにした」




彼の『正義』は、世界の悲劇的な未来を終わらせるために、この世界の『物語』そのものを終わらせることだった。それは、長官の『正義』とも、リリスの『正義』とも違う、悲劇的な『正義』だった。




「その『絶望』は、本当に君が見た未来なのか?それとも、誰かに見せられた、偽りの未来なのか?」




私が問いかけると、少年の顔が、驚きに歪んだ。




「どういうことだ…?」




「君は、誰かに利用されているのかもしれない。君の『正義』が、誰かの『物語』の道具として使われている可能性がある」




私の言葉に、彼は、動揺を隠せなかった。


その時、長官の声が、再び響いた。




「クラーク!何を話している!そいつを捕らえろ!」




長官は、私たちに向かって歩み寄ってきた。リリスもまた、私たちを捕らえようと、銃を構えている。




「彼らは…君を道具として利用しようとしている。君の『正義』は、彼らの『正義』に、利用されようとしているんだ!」




私が叫ぶと、少年は、自分の『正義』が、誰かに利用されている可能性に、激しく動揺した。その時、彼の瞳の色が、氷河のような青から、激しい怒りの炎のような赤へと変わった。




「僕の『正義』は…誰にも利用させない…!」




少年は、そう言って、再び能力を発動させようとした。だが、彼の能力は、先ほどのように時間を止めるのではなく、まるで時間そのものを燃やすかのように、彼の体から、赤い炎を放ち始めた。




「彼は…!?」




リリスが、驚愕の表情で叫んだ。




「彼は、怒りに身を任せ、この世界の『理』を書き換えようとしている!」




少年は、自らの『正義』のために、この世界の『理』を燃やそうとしていた。その炎は、MI6の長官にも、リリスにも、そして、私にも、襲いかかろうとしていた。

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