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Invitation to MI6  作者: 徳田新之助
第一章 この世界の理
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三つの物語 一つの結末





「ジョナサン・クラーク…!お前…!」




リリスは、怒りに震えながら、再び銃を構えた。彼女の瞳は、私への憎悪で満ちていた。私は、この絶体絶命の状況を、どう切り抜けるべきか、必死に考えた。リリスは、もう僕を道具として利用するつもりはない。彼女は、僕を殺すつもりだ。




その時、アーカイブ室のドアが、けたたましい音を立てて開いた。


そこに立っていたのは、MI6の長官だった。彼の顔は青白く、まるで酷い悪夢から覚めたばかりのようだった。彼の背後には、同じように困惑した表情を浮かべた特殊部隊の隊員たちが控えている。




「長官…?」




私は、彼の姿に驚きを隠せなかった。リリアンの能力によって、彼は一時的に消滅させられたはずだ。




「リリアンの奴…私の記憶を消し去るつもりだったようだが、完全に消すことはできなかったようだ」




長官は、リリスと私を交互に見つめ、眉間にしわを寄せた。




「リリス…。やはり、君がこの事件の裏にいたのか」




「長官!私を邪魔しないでください!私は、私の『正義』を完成させるだけです!」




リリスは、長官に銃口を向けた。




「君の『正義』は、多くの人々の『絶望』の上に成り立っている。そんなものは、偽りの正義だ」




長官の言葉に、リリスは嘲笑した。




「偽りの正義?あなたの『正義』こそ、偽りの正義です!あなたは、MI6の都合の良い『物語』を維持するため、私たちの存在を隠蔽しようとした!私たちは、あなたの『正義』の犠牲者です!」




リリスと長官、二つの『正義』が、激しくぶつかり合った。私は、その間に挟まれ、身動きが取れなかった。


その時、長官が、私に視線を向けた。




「クラーク。君は、どちらを選ぶ?彼女の『絶望』の物語に加担するか、それとも、MI6の『秩序』を守るか」




私は、どちらの『正義』にも従うつもりはなかった。長官の『正義』は、多くの悲劇を隠蔽してきた。リリスの『正義』は、他者の絶望を食い物にしてきた。


僕は、僕自身の『正義』を貫かなければならない。


私は、長官とリリスを交互に見つめ、静かに言った。




「僕は、どちらにも従いません。僕の『正義』は、**誰も犠牲にしない『物語』**を紡ぐことです。そして、そのために、僕は、あなたたちの『物語』を、この手で終わらせます」




私の言葉に、長官とリリスは、信じられないという顔をした。


長官は、私に銃を向けた。




「クラーク。君は、私を裏切るのか?」




「僕は、僕自身の『正義』にしか従いません」




その時、リリスが、私に向かって跳びかかってきた。彼女は、僕を殺し、長官の『正義』も、僕の『正義』も、すべてを終わらせようとしている。


私は、この三つ巴の戦いを、どう終わらせるべきか、必死に考えた。



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