超能力達の存在
長官は、私の日本の苗字を口にしたまま、重々しく言葉を続けた。
「君は、我々が長年探し求めていた**『超越者』**だ。この世界には、ごく稀に、君のように特別な能力を持つ人間が存在する」
長官は、デスクに置かれたタブレットを操作し、画面を私に向けた。そこには、信じられないような映像が映し出されていた。
一人の男が、手のひらから火の玉を生み出し、車を爆発させている。
別の映像では、一人の少女が、念力で巨大な岩を宙に浮かせていた。
そして、別の男は、時間を歪めているのか、銃弾がまるでスローモーションのように空中で止まっていた。
「彼らは、歴史の裏で暗躍する存在だ。常識を超えた力を持つがゆえに、その能力を私利私欲のために使う者も少なくない。我々MI6は、彼らを監視し、世界の均衡を守るために戦ってきた」
長官はタブレットを元の位置に戻し、私をまっすぐに見つめた。
「君の肉体、ジョナサン・クラークは、我々のエリートエージェントとして、これらの**『超越者』**と戦うために訓練されてきた。しかし、その力は肉体の限界に達しており、最後の任務で意識を失ってしまった。だが、君の魂は、その肉体を再び覚醒させる触媒となった。君の魂は、この肉体の潜在能力を最大限に引き出すことができる。我々は、その可能性に賭けて、君をこの世界に招き入れたのだ」
「つまり、私は…この肉体で、超能力者と戦えと?」
私の問いに、長官は静かに頷いた。
「そうだ。君には、彼らの能力に対抗できる力がある。それが何かは、まだわからない。だが、この体と君の魂がシンクロすれば、その力は必ず目覚めるだろう。君の最初の任務は、超能力者犯罪組織『ヘリオン(Helion)』のリーダーを捕らえることだ。彼のコードネームは『ヴァルカン』。彼は火を操る能力を持っている」
長官の言葉は、あまりにも現実離れしていた。だが、目の前の長官の真剣な表情と、先ほど見た映像が、これが紛れもない真実であることを物語っていた。




