表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Invitation to MI6  作者: 徳田新之助
第一章 この世界の理
28/86

鏡の中の影





リリアンの警告に、私の心臓が警鐘を鳴らす。




「彼女を、信用してはいけない…!」




私は、銃を構えた女性エージェントをまっすぐに見つめた。彼女の瞳には、長官と同じ、MI6の『正義』が宿っている。だが、その奥に、何か別の感情が隠されているように感じた。




「君は…『リリス』という名を知っているのか?」




私が問いかけると、彼女の表情が、一瞬だけ凍りついた。




「どうして、その名を…?」




彼女の声には、動揺が混じっていた。その反応は、私の推測が正しいことを示していた。




「この日記の中に、彼女の痕跡があった。彼女は、リリアンの能力を、意図的に破壊しようとしている。その目的は、何だ?」




私がさらに問い詰めると、彼女は、静かに銃を下ろした。




「あなたは…本当に、その日記を解読したのね…」




彼女は、警戒を解いたかのように、私に歩み寄った。




「私が、あなたの知っている『リリス』だ」




彼女の言葉に、私は息をのんだ。




「どういうことだ…?」




「私は、MI6に潜入した、『物語の破壊者』。リリアンと同じ、『プロジェクト・アザゼル』の被験者の一人だ」




彼女は、そう言って、自身の腕にある、まるで消えかかったタトゥーを見せた。それは、リリアンのものと酷似していた。




「リリアンは、私の能力を、**『歪んだ物語』**と呼ぶ。私は、他者の心を読み、その『物語』を、絶望に満ちた結末へと書き換えることができる。そして、その『物語』を破壊することで、私の『存在』を、この世界に定着させている」




彼女は、自分が、リリアンと対になる存在であることを語った。リリアンが『希望』を紡ぎ、自らを犠牲にするのに対し、彼女は『絶望』を紡ぎ、他者を犠牲にすることで、自らの存在を維持しているのだ。




「MI6は、私の能力を恐れ、私を監視下に置いた。だが、私は、彼らの監視をかいくぐり、私の『物語』を紡ぎ続けてきた。そして…」




彼女は、私をまっすぐに見つめた。




「そして、私は、この日記の中に、リリアンの『物語』を破壊するためのバグを仕込んだ。リリアンが能力を使うたびに、彼女の『存在』が削られていく。そうすることで、彼女の『物語』が、私の『物語』の栄養となる」




彼女は、リリアンの命を狙っていたのだ。




「なぜ、そんなことを…!」




「私は、ただ、生き残るためにそうした。この世界で、私の『物語』を紡ぐために。だが、あなたは、私の『物語』を壊した。あなたは、リリアンの『希望』となり、私の『絶望』を否定した」




彼女の瞳は、憎悪に満ちていた。




「ジョナサン・クラーク。あなたは、私の『物語』の最大の敵。だが、私は、あなたを殺さない」




「なぜだ…?」




「私は、あなたを利用する。あなたの『物語』の力を借りて、私の『絶望』を、この世界に蔓延させる。そして、最終的には、あなたを『物語の道具』として使い、私の『正義』を完成させる」




彼女は、銃を再び構え、私に冷たい命令を下した。




「さあ、私の**『物語の奴隷』**となりなさい」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ