女性社員
私には、猫田という名前の同僚がいる。仕事ができ、スマートであり、顔の作りも良い男だ。女性社員からはイケおじと呼ばれている。私からしたら、いけ好かないおやじである。彼は優しい。こんな平凡な私にも気をまわしてくれるのだ。それが彼のいけないところである。彼の行動は私を惨めにするのだ。同じ人間であり、同じ年齢でもあるのに、なぜこうも私と彼の間には差があるのだろうか。
女性社員の化粧の濃い匂い。その上に化粧直しというものまでする。彼女たちが持ってくる貢ぎ用の甘いお菓子の匂い。全てが不愉快である。
そんなイケおじ猫田に仕事をサポートしてもらい、出来上がった企画書は通り、久しぶりに会社の飲み会に参加する。と、やはり猫田は両隣に女をおき、酒を飲んでいる。一つ、以外だとすれば、猫田が酒を飲まされているという点だ。店を出る頃には、猫田は酔っ払いのおやじに出来上がっていた。この猫田を誰が介抱するかを議論している女性社員たち。結果は、同僚の私が介抱するということになるのだが。
泣く泣く猫田を私の家に連れて行く。
家に帰ると三匹の猫が私を出迎えてくれる。私は猫が好きだ。今日も私の疲れ切った心を癒やしてくれる。
私は猫田をソファに放って、風呂に入る。ここでも、日々の疲れを洗い流し、風呂をでる。
そこで私は気がつく。猫田がいない。正しくは猫田の服はあるのだ。酔っ払って人様の家で裸にでもなっているのか。突如、服の中から知らないやつが顔を出す。
猫である。不思議なことにその猫、猫田と同じネックレスをしている。私の猫田センサーがいっている。この猫は猫田だと。
やはり顔つきはキリッとし、体はスラッとして、長い四肢で優雅に歩いている。そんな美しい猫田を私はスマホを構え連写する。カメラスクロールにある大量の全く同じ写真を眺めながら、ブログに投稿するベストショットを探すのだ。タイトルは「わたしのイケ猫」。そんなブログを投稿した後には、会社の女性社員のように貢ぎ物(私が持つのはマタタビであるが。)を手に、構ってもらえるように必死に媚びるのだ。猫は綺麗好きと聞いた話を信じ、女性社員のメイクのように私はまた、お風呂に入る。
私は女性社員と同じなのである。