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第5話 エル、という子。

「調べてまいりました。」


相変わらず、仕事が早いわね、カルラ。

翌日にはしれっとカルラが切り出した。ちょうどお茶の時間。


「ディーデリヒ様のご学友の、エル様。エルフリーデ・ライナー、ライナー伯爵家の御長女でいらっしゃいます。」

「え?」


ディーと張り合うくらい成績優秀、と聞いたのでてっきり男の子かと…。


「3年前に母親が亡くなり、そのあとすぐに愛人が後妻で入っておりまして、その連れ子の義弟、エーリヒが跡取りになるようです。学院の1年生に在学中です。」

「そう。それで?」

「今回の試験で不合格なら、国元に帰ってクンツ子爵家に嫁ぐことになっているそうです。ちなみに、嫡男殿ではなく現子爵殿。49歳。ロリコンです。」

「・・・・・」


その情報、いる?

まあ、貴族社会ではありがちな話だわ。クンツ子爵の趣味も噂では良く聞くしね。大方、お金を借りてるとか?


「子爵家に借金がありました。後妻とその息子が浪費家なようですね。長女を嫁に出したら、それを帳消しして尚且つ、経済援助が入るようですね。」


読み通りね。意外とありきたり。


「エルフリーデ様の成績も調べました。学年トップクラスです。今回の口頭試験の試験官にも話を聞いてまいりました。造詣も深く理論的で、申し分なかったそうです。イングリット様以来の才女と褒めておりました。」

「あなた…。良く聞き出したわね?」

「ええ。イングリット様が才能を惜しんで、侍女にしたいらしいと吹きましたので。」

「ああ、なるほど。」

「同じ方法で、筆記試験の結果も調べようと致しましたが、叶いませんでした。守秘義務があるので、と。ただ、その時の担当官が一瞬目をそらしたのが気になります。」

「ふーーーん。」

「最後に一つ。試験結果の発表は1月28日でした。クンツ子爵家とライナー伯爵家の婚約の申請は、1月20日にはこちらに着いておりました。不思議でございましょう?」


そう言ってカルラが面白そうに笑った。


そうね。面白そうね。


「エルフリーデ様は学院をお休みされております。婚約のための準備に入られているかと。ちなみに…同級生の皆様にさりげなくディー様との仲を探ってみたところ、本当に仲のいい勉強仲間、だったそうです。皆様呆れられておりました。いつも二人で勉強《《だけ》》していたようです。これは、下級生がディー様に片思い、という設定で聞き出しました。エルフリーデ様は他の方々に勉強を教えていたらしく、人望は厚いようです。」


「・・・・・」


まあ、確かに…。ディーは舞踏会でも何でも、殿下の後ろに控えているから、誰かをエスコートしたことも、ダンスを踊ることもなかったし…。

・・・女の子ねえ…。気が付かなかったなあ…。


うふふっ。面白そう。


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