前提と演出
銀銃屋敷を解体するのに必要な条件。
心臓である俺がこの家に帰ることで、「心臓なし」で駆動する幽霊屋敷を、
「存在の核である心臓がその内部にある」通常の幽霊屋敷に変化させる。
そして「その怨みの方向性を決める」
以前庚と裏内が巻き込まれた学園では、怨みは無差別にまき散らされていた。
結果惨事は起き、事件自体が屋敷とともになかったことになった。
生まれたばかりの幽霊屋敷は惨劇と同時に消失する。
銀銃屋敷は誕生直後、俺という心臓が外部に逃げ出したことで、未完成なまま停止していた。
しかし狩人が現れた。
ただ暴れまわっているのではなく、適当に「新しい心臓」を見繕うため屋敷が生み出した器官。
そんなことが可能なのかは裏内にもわからないそうだが、宮上底、使用人、その他銀銃屋敷の存在を知る人間なら誰でも心臓になる可能性があると彼女は言った。
この仕事で最も優先するのは、そんな事件を未然に防ぐこと。
俺ひとりで屋敷に帰った場合。
銀銃屋敷は幽霊屋敷となる。
底、使用人のみならず近隣の村まで巻き込んだ惨事を引き起こした後彼岸に消え、やがては同類を喰らう普通の幽霊屋敷に。
俺と園村など祓い師複数で屋敷を祓う場合。
いちばん現実的なのはそれだろうが、今の会社で動かせる園村は個人的な事情で参加できない。
時期を変えても、今度は銀銃屋敷自体が警戒して起動しなくなる。
籠城するように。
仮に狩人を引きずり出して祓っても、屋敷自体に傷はつかない。また新しい器官を作る可能性が高い。
よって「銀銃屋敷を通常の幽霊屋敷に変容させ」、同時に「その怨みを全て心臓である俺、宮上下に向けて惨事をコントロールする」
それが最適解。
普通の手段では幽霊屋敷の思考、怨みは、心臓である俺でさえ操作できない。
だけどもしも、
生まれたばかりの屋敷が、最も凄惨で、かつ最も起きる可能性が高い惨事である「姉妹同士の殺し合い」に思い至り、
それこそ自分に相応しい悲劇だと考えるほど早熟で、
かつ同じ幽霊屋敷を通してそんな考えを吹き込む、藪を突いて蛇を出すような人間がいれば。
《《銀銃屋敷の惨劇を演出できる。》》




