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幽霊屋敷で押しつぶす  作者: 鳥木木鳥
「裏内屋敷」対「乾森学園」
13/62

誕生

 最初の記憶は黒い影。

 最初の命令は「広がる」こと。


 はい、わかりました。


 広がる、わたしがわたしを確立するために。鉄と石から意思を広げ身体を築く。

 屋敷わたしを築く。

 次に命じられたのは「喰らう」こと。

 はい、わかりました。


 そして喰らう。

 男を女を子供を老人を。

 善悪もなく逡巡なく機構として

 喰らって。

 続く。続く。喰らい続ける。

 喰らう度に満たされる。

 わたしが満たされる。

 わたしの裏側に何かが生まれる。


 いつしか。

 それが嫌で。

 喰らうほどに嫌になって。

 それを感じる自分が嫌で

 だから。

 だから命令をください。

 裏内様。


 そして摩耗しきったわたしは何も考えず。

 心まで屋敷のように閉ざされていった。


「ここ追い出されたらどこ行きゃいいんだ?」

 ………

「園村砂。特技は殲滅、趣味も殲滅って、あの先輩ヤバすぎるな、関わらないようにしとこ」

 ………

 うるさいな。

 黙らせないと。

 これ以上何も喰いたくない。

 だから。


 ソレに触った。


 ………

「はい、今自宅です、宮上先輩。…どうしても身体が動かなくて…はい」

 ………

 この女は、自分が風邪を引いたと思い込んでいる。

 実際には、わたしに触れられたせいなのに。

「うう…入社早々病欠なんて…」

 うなされてよくわからないことを呟いている。

 もういいよね。

 もしこの人間を喰ったら、こんな痛みも感じなくなるかな。

 そうなったら。

 身も心も怨霊として自分を開放しよう。そして討ち取られよう。


 そうすれば、終わることはできるから。


「ふにゃぁ…」

 その時。

 女が私の手を掴んだ。


「え」

 思わず声が出た。

「お姉ちゃん?」

 ………

 いや、わたしは。

「ち、違いますよ」

「じゃあ誰ぇ~?」

「わたしは、裏内」

 そして。

「裏内宇羅、それがわたしの名前です」


 この時。

 生まれてから数十年目のその日。

 新しい住民の庚游理と出会ったその日に。


 わたしは自分の名前を得た。

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