第6話:ネクロマンサーと妹、ダンジョンを探索する。
ん…結構進んで来たかな?
今はダンジョンの地下3階。
オーソドックスに地下へ潜っていくタイプのダンジョンでもあり、ゴールは地下10階とそこまで深くもない。
その代わり宝箱の中身も大した事が無く、出現する魔物も弱くてドロップ品もそんなに良くないから実入りも少なく、本当に練習程度にしかならない。
ちなみに、ダンジョン内で魔物を倒した場合は煙になって消え、魔石と【ドロップ品】と呼ばれるアイテムになる。
外ではそのまま死体が残るから解体して、死体を土深く埋めるなど事後処理をする必要がある。
どちらでも魔石は手に入るけれどダンジョンで倒した方が魔石回収は楽だ。
ただし、外で倒せば部位を残さず手に入れられる利点はあるので一長一短だ。
……尤も、ゴブリンの様な大して部位が必要にならない魔物も居るのだけれど。
このダンジョンでは主にゴブリンとスライム、コボルトやスモールキャタピラーの様な弱い魔物が出現する、が、油断は禁物だ。
ゴブリンは種族を問わず女に、コボルトは種族を問わず男に強く反応する。
更に基本的に集団行動なのでゴブリンやコボルトの1団に襲われてそのまま………なんてこともありうる。
特に今は女の子であるレーネだ。
ゴブリン共は嬉々として襲いかかってくるだろう。
僕はコボルトに要注意。
スライムも似た様なモノでコチラは液体だから魔法で相手にするのが基本だ。
……まぁ、僕もレーネも弱点であるコアを一刀両断出来るから特に問題は無い。
ただし、その体液は麻酔や媚薬の材料にもなる。
うっかり浴びたら昏睡したり発情したりしてそこからゴブリンやコボルトにお持ち帰りされるなんて最悪なコンボが起こりうる。
僕とレーネにはナイチンゲールの加護でスライムの毒は効かないからこそ出来る荒業だ。
スモールキャタピラーは芋虫の様な魔物で、粘性のある糸を吐いてくる。
コレに絡まってしまうと………やはりゴブリンやコボルトにお持ち帰りされる。
スモールキャタピラー自体は自衛で糸を吐くだけですぐに逃げてしまうので倒すなら遠距離から弓や魔法で仕留める。
僕とレーネはある英霊の加護により〖行動不能系の状態異常にならない〗ので特に問題は無い。
という訳で敵もそこまで警戒する必要は無い。
……油断は出来ないけどね。
「っと!全部倒れたかな?」
「うん、敵の気配は感じ無い。」
「それじゃあ先に進もうかお兄ちゃん♪」
特筆する事は特に無く数日経過し、無事に地下9階まで進んだ僕達。
後は地下10階へ下りる階段を見つけてボスモンスターを倒せば終わりかな、と言う所でー
《ビーッ!ビーッ!!緊急要請!緊急要請!受信したSランク以上の冒険者は直ちに地下10Fボスフロアへ急行セヨ!!》
「緊急要請?」
「だね。」
ちなみにこの装置、転移機能なんて物は付いていないから自力で向かう必要がある。
何せ転移石は高価だからね。
だから普通に緊急要請をした所で転移魔法が使える様な冒険者、つまりSランク以上の魔法使いでも無いと大体間に合わない。
だからこそ、受付けのギルド職員さんが受信機を渡すのは転移魔法が使えるSランク以上の冒険者にだけなんだ。
ちなみに、僕の場合は自前の転移石による転移、もしくは英霊による転移が可能、と言う判断だ。
「じゃあレーネ?」
「りょーかい!!」
レーネが僕の手を握り、素早く転移魔法を使うと、景色が変わりボスフロアへと移動した。
どうやら成功の様だ。
「っ!?
サモン!【悪魔聖女ジャンヌ】!あの子達を護れッ!!」
『はぁい♡』
《ガァァンッ!!》
『あらあら♡ファフさんに比べたら軽いですよぉ♡』
「えっ?えっ??」
「お、俺たち…助かったのか……?」
「うわぁ……綺麗な人…………
「うわぁぁぁぁん!!」
………ふぅ、間一髪か!!
今、何故ジャンヌがファフニールと比べたかと言うと………
「なんでここにレッドドラゴンが!?」
「レーネ、落ち着いて。この程度僕らの敵じゃない。
そこの君達!!早く僕達の後ろへ!!」
「「「「は、はいっ!!」」」」
そりゃあこんな低ランクダンジョンだ。
まだまだアマチュア、な感じのCランクパーティーが練習がてら潜っていたらSランクモンスター、レッドドラゴンに遭遇するなんて普通はありえないよ。
ただ、ボスフロアでは脱出玉が使えない。
転移魔法もフロアから出るのには使えない。
だからこその救難信号装置だ。
だけどー
「ありがとう!還ってジャンヌ!
サモン!『魔術王ソロモン』!
緊急事態だ!4人へ脱出の魔術起動!!」
『はぁい♡また喚んでくださいな〜♡』
『承知した。
君達、この〖脱出スクロール〗を使いなさい。』
「君達は入口のギルド職員にレッドドラゴン出現の知らせを!!」
「えっ!?あ、はいー
召喚したソロモンはそんな制約などお構い無しとばかりにスクロール……予め魔術陣が刻んである巻物を使ってCランクパーティーを脱出させる、
僕の指示にリーダーらしき剣士の少年が答えながら転移陣で姿が掻き消える。
続いて魔法使い、僧侶、斥候の順で転移して全員の脱出が完了した。
「よし!ありがとうソロモン!メリュ様達の護衛に戻って!」
『承知した。』
「てやぁぁっ!!」
「グガァァァァッ!!!」
「おっと!効かないよっと!」
「ギャオッ!」
「っ!?防がれた!?」
レーネはレッドドラゴン相手に大立ち回りを繰り広げている。
が、攻撃を避けきってる代わりに決定打にも欠けているようだ。
それが双短剣士のメリットとデメリットなんだけど。
「けど、コチラが傷つかないなら負けることは無い。」
どちらにせよコチラは実質不死身なので負ける事は無いんだけど。
「お待たせレーネ!
今からバフをかけるよ!」
「りょーかい!!」
「よし、〖ストレングス〗!〖ディフェンサー〗!〖スピーダー〗!〖エナジーハート〗!〖マギア〗!〖レジスト〗!」
「うーん!きたきたきたぁ〜☆
お兄ちゃんありがとうね!!」
「うん!僕も打って出る!!」
ちなみに今かけたバフは順番に〖筋力アップ〗〖対物理盾〗〖移動力アップ〗〖身体と魔力、状態異常の持続自動回復〗〖魔法力アップ〗〖対魔法盾〗だ。
実の所デバフはシヴァを召喚しないと付与出来ないが今回はそれで充分だ。
それと、活躍の機会が無かっただけで僕も普通に戦える。
と言うか剣術1つ取っても上級者よりは強い。
流石に達人レベルには負けるけどね。
だけど僕が各バフをかけまくって本気を出せばー
「行くぞレーネ!」
「合わせるよお兄ちゃん!!」
「「ダブルスラッシュッ!!」」
《斬ッ!》
「ギャオォォォッ!?」
はい、あっさり尻尾切断っと。
僕とレーネのコンビネーションアタック。
左右から交差する様に斬り抜ける斬撃だ。
コレで尻尾は使えない、守りが薄くなる。
次だ。
「レーネ!」
「りょーかいっ!!」
「これで!」
「終わりだぁぁぁッ!!」
更に、僕は渾身の投擲槍魔法、レーネは無数の斬撃を放つ。
レーネの斬撃がドラゴンを斬り刻み、僕が放った槍がドラゴンの心臓を貫く。
「グガ…ァァァァ…
「ー敵性体沈黙確認。戦闘終了。」
「お疲れ様〜!」
「…ふぅ。
それにしても何故レッドドラゴンがこんな低ランクダンジョンに…?」
「そうだねぇ?
ダンジョンって外から魔物が入り込んだりもしないはずなんだけど……?」
「「………。」」
考えてみる。
ダンジョンコアの異常か?
だとしたらダンジョンマスターに何かあったのか?
…ダンジョンコア、とはダンジョンを形成する際に生まれる球だ。
そしてそれを管理する者がダンジョンマスターである。
ダンジョンマスターは色々居るけれど、ここのダンジョンマスターは友好的で話が通じる。
なんならギルドに登録された職員でもある。
だからこそここが初心者向けダンジョンになっている。
「レーネ、管理室に行ってみよう。」
「りょーかい!」
管理室は最終ボスフロアの先にあり、脱出用の転移石よりも更に奥に隠されている。
ちなみに普通は見つけられない。
何故僕が管理室を知っているかと言えば、これもまた英霊のお陰だ。
《コンコン》
「おーい、ミュー、大丈夫かい?」
『……ん?ダレ?』
「やっほーミューちゃん♪」
『…魔紋確認。
……登録名、【リトにぃ】、【レンにぃ】。
味方認証、許可。
入室して、リトにぃにレンにぃ。』
《カチャッ》
「…あれ?どうやら正気みたいだね?」
中々に入るとそこにはまるで人形の様に綺麗な容姿の女の子が居た。
サラサラストレートな白銀の髪、新緑色をした宝石の瞳はタレ目で、
ボンヤリとした感じで緩い雰囲気をまとったおっとり系美少女………な見た目だ。
今日も眠たげな目をしている。
「ん。皇帝。ワタシは勝気ダよ?」
「……いやバグってない?お兄ちゃん。」
「非艇、Hey騎。モーまんタゐ。」
「バグってない!?リトお兄ちゃん!!」
「うん知ってた!!」
だと思ったよ!
分かってはいたけどさぁ!?
分かりやすくフラグ回収ありがとさん!!
「サモン!【魔道具技師エリカ】!」
『お喚びかしら?マスターさん。』
「ごめん、この子を解析して治療をお願い。」
「……岡ぁ…Sun?」
『…解析するまでもなく分かりやすく深刻ですわね?
私、驚きましてよ?』
「だよね?」
『一先ず………マスターさんは部屋から出てくださる?
ミューは少女型なので。』
「ボクは?」
『…貴女は…勇者さんね?
何故女の子になっているかはともかく、
居ても仕方ないでしょう?
マスターさんと一緒に居なさいな。』
「分かった♪」
うん、エリカに任せておけば大丈夫かな。
とりあえず部屋を出て外で待つことにした。
すると、ミューはマイクを切ってなかったらしく中の音声がスピーカーから流れ始めた。
《ふにゅん》
『ひぁっ!?』
『…中々に酷いですわね。』
《クチュクチュ…カパッ》
『あっ…あっ…ひゃんっ!?』
『……ここを…こうして……』
《ちゅぷっ ちゅくちゅく にゅぷぷ》
『ふやんっ!?ひゃっ!ふぁぁぁんっ!!?』
『なか…なか……しつこい…ですわねっ!!』
《カチッ!》
『あっ…?』
『…よし、挿入ったわ。これで…』
《フォンッ》
『すぅぅ……っ!』
《カタカタカタカタカタ!ッタァァン!!》
『あぁぁぁぁ〜っ!?』
《にゅぽんっ!》
『ふうっ…!仕上げですわ!!』
《しゃわしゃわ… すりすり……》
『はぁぁ〜…♡』
『どう?気持ちいい?』
『…頭、スッキリした。
ありが…とう、お母さん♪』
『ふふっ…♪おりこうさんね、ミュー。』
《サワサワ…》
うん!!
ただの治療なのに所々びっみょ〜っに卑猥に聞こえるのは何でだろうねぇっ!?
「えへへぇ〜ぎゅ〜っ♪」
「はぁ……レーネが聞いてる様子がないのが救いか…?」
とりあえず、無事に治療は終わったみたいだ。
『マスターさん、もう入っていいですわよ?』
「分かった。ご苦労さま、エリカ。」
【オマケ】魔道具技師エリカ
エリカ:さて、ミュー?身体はもう大丈夫かしら?
ミュー:…はい、問題ありません、お母さん。
エリカ:ならばいいのですわ。ごめんなさいね?最期までそばに居られなくて……
ミュー:いいえ。
問題ありません。
こうして、また、逢えたから。
エリカ:ミュー…可愛い私の娘…
永遠に死なない魔導人形の娘……
ミュー:…お父さんは?
エリカ:…きっと、その内に逢えますわ。
ミュー:お父さんにも、逢いたい。
エリカ:……。
(何故夫も喚ばなかったという目)
リト:そんな目で僕を見ないで!?




