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第5話:ネクロマンサーと妹、ダンジョンへ潜る。

2022.2.25…ジャンヌの見た目について追記

レーネの転移魔法で1番近いダンジョンの入口付近へ跳んだ僕達。

ダンジョンには万が一の為と一般人の侵入を防ぐ為に騎士団員が警備に当たっていて、

ギルドの出張所もある。

ちなみに、レーネの魔法であれば直接ダンジョン内へ転移出来るけれど、その場合は


・何かあった時にギルドに助けて貰えない

(ダンジョン内で冒険者狩りに遭っても保証して貰えないし【救難信号】アイテムや【魔法の命綱】、【帰還の玉】も貰えない)


・騎士団にバレたら騎士からは犯罪者扱いされる


・ギルドにバレたら冒険者ランクが降格になる


等いい事は1つもないので出来るけどやらない。

(転移魔法による脱出、入口から入った後のダンジョン内での転移魔法による移動に関してはその限りでは無い、使わなかった帰還の玉はギルドで返却すると謝礼金が貰えるからお得)


そもそも僕はEXランク冒険者だ。

僕には【救難信号】を受け取る側としての義務がある。

僕の場合は救難信号の受信機を渡されるはずー



「あ、しまった。レーネの身分証が無いや。」


「え?さっき作ったよ?」


「えっ。」

「えっ?」


いつの間に…?


「…ダンジョンデートしたかったからサクッと作ってもらった♪またFランクからのスタートだけどね…!」


「そっかぁ…?」



ちなみにFランクではダンジョンには入れない。

ダンジョンに入れる様になるのはCランクからだ。

だけど抜け道がある、それは………



「パーティー登録もしてあるし、

お兄ちゃんと一緒なら今のボクでもダンジョンへ入れるよね♪」


「うん、Aランク以上の冒険者と一緒なら大丈夫だね。」



つまりEXランクの僕がついてるなら間違いなく大丈夫だって事。

ただし、ダンジョンへ入る為だけにそうゆう制度を悪用されない様に、そして転移罠ではぐれてしまわないようにそうやって入ったCランク未満冒険者はAランク以上の冒険者と魔法の命綱で()()()()結ばれる。


こうすることで10m以上離れられなくなるんだ。

ただ、物理的には繋がっていないから戦闘の邪魔にはならないと言う優れものだ。


……しかし、強制的に付けられた魔法の命綱は、デメリットとして一生拓蓮のペアになってしまう為、もしもの時に片方だけ逃がす事も出来なくなってしまう。

だから普通はこんな制度を使う冒険者なんて居ない。

そもそもがそんな“死なば諸共”の信頼関係が出来上がる頃には相方もCランク以上になってるから着脱可能な普通の魔法の命綱を使う。


だからコレはかなりのレアケースである。

EXランク(最高ランク)冒険者とFランク(最低ランク)冒険者のペアでダンジョン入りなんてまずありえない組み合わせだ、目立つ事この上ない。


…敢えて言うなら『嫁と一緒に来た』と言う。

と言うかそうしよう。



「レーネ、ちなみに年齢登録は?」


「16歳♪」


「…………見事に逆サバだ。」


「だってコレで書類上はお兄ちゃんと同い年だよ?

それとお兄ちゃんと夫婦登録したの♡」


「アッサリバレそう………と言うか僕の同意無しにどうやって夫婦登録をしたの!?」


「大丈夫♪戸籍を証明する身分証自体がコレしか無いのにバレる訳ないよ♪

方法についてはナイショ♡」


「………うん!大丈夫かな!!」



僕は考えるのを止めた。

今のレーネは戸籍上同い年で僕の嫁、それで充分じゃないか!!

あ、ちなみにレーネの【勇者レン】としての冒険者ランクはS。


だから実力的にはEXランクとSランクのペアな訳だけど。

試験で最初からSランクへ上がるのは難しいかな………

どちらにせよAランク以上へ上がるには筆記試験と面接試験もあるし。



「………ねぇレーネ、実技試験だけでも受ければBランクからスタート出来たんじゃないの?」


「…てへっ☆」


「うん可愛いから許す。」



さぁ、改めてダンジョン受付に行こう。



「すみませーん。」


「おや?いらっしゃい。

ダンジョンへ潜るのかな?」


「はい。ギルドカードはコレです。」


「お預かりします…………んんっ!?EXランク!!?

え、あの、ここは最低ランクのCランクダンジョンですが、本当によろしいので?」


「うん、今日は彼女の付き添いだから。」


「はい♪ボクのギルドカード!」


「なるほど、お預かりします……Fランク…依頼達成数0!?本日登録したばかりの新人ですか!?

あの、失礼ですが低ランク…しかも入りたてのFランクでのダンジョンアタックでEXランクの方に護衛を頼み承諾されるだなんて、普通は有り得ません。

お二人のご関係はー

なるほど、ご夫婦でしたか、これは失礼しました。」


(ギルドカード便利だなぁ……)


「…では、今回はパーティーでの入場となりますので入場料はリーダーの方は1回1500エン、同行者の方は1人1回1000エンです。

こちらは新人であるレーネ様向けの説明ですが、これは我々冒険者ギルドからの貸出品の担保料となります。

ダンジョンから出た後、魔法の命綱や救難信号の発信機をご返却頂ければ返金致します。

これらを破損した場合は返金致しかねます。

脱出玉に関しては使用せずにお返し頂ければ謝礼金として500エン進呈致します。

…はい、確かに2500エンお預かり致しました、ではこちらが脱出玉及び救難信号の…今回は受信機ですね。

コチラはExランカーであるリト様がお持ち下さい。

それでは、義務ですので【強制型魔法の命綱】で2人を繋がせていただきますね?」


「構わないよ。」

「よろしくぅ〜♪」


カシャン!


「あはっ♪お兄ちゃんと繋がれちゃった♡」


「なんで嬉しそうなんだい?レーネ…



と言うか夫婦設定なのに僕を『お兄ちゃん』と呼ぶのは不味くないかな?



「………お2人はご兄妹なのですか?」



ほらぁ〜!!

事前に打ち合わせしなかったせいもあるけど余計ないざこざが起こるじゃないかぁ〜!!

だけどレーネはケロリとしている。

どうやら既に〖理由〗を考えていたらしい。



「あ、お兄ちゃんとは幼馴染みなの♪

()()()()()()ボクが後に生まれたのもあるし、隣に住んでいたお兄ちゃんは頼りになるし、物心が付いた時から兄妹みたいに育ったから昔からお兄ちゃんって呼んでいて………結婚してからもその癖が中々抜けなくて………お恥ずかしい……


「なるほど、いえ、ご兄妹であればそれはそれで納得出来ますので偽装夫婦になる必要は無いとお伝えしたかっただけですので。

…ちなみに、ダンジョンへ潜る為に偽装夫婦となっている場合は罪に問われる事はご存知ですよね?」


「勿論。

でもレーネは大切な僕の嫁さんだからね。

心配要らないよ。」


「うんっ♪お兄ちゃんはボクの大切な旦那さんだから心配要らないよ〜♡」


「分かりました、ではEXランクであるリト様には【受信機】をお渡ししておきましたが。

救護数に応じてギルドポイント(ランクの昇格やギルドショップでお金代わりに使えるポイント)を進呈致しますので積極的に救護に当たって頂けると助かります。」


「うん、分かったよ。」



…完璧な〖理由〗だねレーネ!?

そうだね。

僕達の場合は本当に好き合っているから偽装でもなんでもないんだ。

だから、という訳でもないけれど納得してくれたらしい受付けの人はゲートを開いてくれた。



「それではお気を付けて。」


「「はい!」」



こうして2人きりのダンジョンデートが始まった。

ここは人工物の様なレンガの壁のダンジョンだ。

通路には松明で明かりが灯っていて見通しも良い。

初心者向けなのもあって新しい身体でのダンジョンアタックの練習にはうってつけなんだよね。



「それじゃあレーネ、先ずは基本のおさらいだ。

ダンジョンに入って最初に大事な事は?」


「マッピングと罠の察知!それに周囲の警戒!」


「そうだね。幸い、レーネは時空魔法が得意だから魔法でも敵や罠を察知し、マッピングも出来るタイプの斥候だ。

ただし、魔法ばかりに頼っていると【アンチマジックエリア】に入った時に何も出来なくなるから最初は魔法無しでやってみよう。」


「ふふっ…♪

斥候とサポーターだけのパーティーなんて何だか変だね!!」


「あはは………



正確には

斥候(アタッカー)サポーター(オールラウンダー)なんだけどね。


そんな訳で僕達はダンジョン探索を開始した。



「……あ、お兄ちゃん、そこに罠がありそう。

えいっ!」


《ガコン!》


「ん。落とし穴だね。」



ちなみに物理的な手段としては長い棒で地面を突きながら歩く方法が一般的だ。

先に罠を作動させてしまおう、と言う訳。

あの女共が居た時は『そんなちまちました事をしてワザと時間をかけないでレン様の探知魔法を使え』と煩かった。

まぁ、僕もレンも物理的な手段の練習は別でしていたし、レンがノイローゼになるくらいなら逆らうのは得策じゃないから諦めて探知魔法で罠の察知とマッピングをしていたけどさ。


ちなみに、先に発動させた所で危険な罠もある。

転がってくる岩だとか、毒ガス系だ。


《ジャキンッ!!》


「あ、今度は飛び出す槍だ…!」


初心者用であるここはまだそんな意地悪な仕掛けは無いけれど、絶対では無い。

万が一それらに当たった時の為にも僕とレーネは

しっかり脱出玉をポーチの脱出玉入れにセットしてすぐ使えるようにしておき、

首からは対ガストラップ用のガスマスクをぶら下げている。


ちなみに、ポーチの脱出玉入れとは、脱出玉をすぐに使える様に外付けで作られた玉の固定具で、緊急時にはそれに触れて念じるだけですぐに発動させられる様になっている。

ダンジョンアタックでの必需品だ。

いくら僕とレーネは死なないとは言え、基本は遵守しないとね。



「…!敵だっ!見敵必殺ッ!スマッシュスライサー!!」


「…うん、ここの敵相手なら攻撃スキル要らなくないかなレーネ!?」



……ちなみに、僕のこの〖何度でも蘇る〗戦い方は【ゾンビアタック】と呼ばれていて、ネクロマンサーや蘇生が使える僧侶が居るパーティーでは思いの外普通に行われている。

とは言え、僕みたいに完全蘇生が使えるネクロマンサーや僧侶なんてほんのひと握り、

それこそ、完全蘇生が使える僧侶なんて言ったら聖女様レベルだろう。


『今私を喚びましたぁ〜?♡』


「喚んで無いから!!」



そう、ジャンヌも聖女である故に完全蘇生が使える。

ただし、ジャンヌの場合は戦闘中はタンクとして壁役に徹しているので結局使う暇が無いだけなんだ。

ジャンヌの様な〖騎士(タンク)/聖女(ヒーラー)〗のタイプは冒険者業界では“ダブルジョブ”、と呼ばれる、が、ジャンヌの場合は役割が噛み合ってなくて非効率極まりない。

守りに徹すれば回復が出来ず、回復に回れば守りが薄くなる。

何故彼女はそんなジョブに…?



『やっぱり私を喚びましたよねっ♡』


「喚んで無い喚んで無い!」


『ちなみに私がやられたら味方が全員完全回復します♡』


「いや知ってるよ!?と言うか喚んで無いのにいつまでいるの!?」



なんなら初めて召喚した【伝説級英霊】がジャンヌで、当時まだ完全蘇生が使えなかった僕にとっては彼女の〖やられたら全員完全回復&蘇生(本人以外)〗には随分助けられたよ!!



『まぁ、趣味が人助けな私は喚び易い方ですからねぇ〜♡』



喚び易い方、なだけで実際に彼女を召喚するのはベテランネクロマンサーでも無理だ。

僕の場合は偶然にもダンジョンアタックでジャンヌの聖骸布(旗の切れ端)を見つけられたから、なんだし。



(ほんたい)は死んでない上に私は悪魔なのに聖骸布(聖者の死体を包んだ布)、とは中々におかしな話ですがねぇ〜♡』


「…はぁ…死んだ分霊の、とか…?」

↑諦めた


『確かに実体はありますからねぇ〜♡

私の()()達は♡』


「分霊の記憶は?」


『残念ながら分霊になったらその先の記憶は共有されませぇん♡』

(基本的には、ね。)


「……そうかい。」


「もぅ!ジャンヌさんは還ってくれる!?」


『あらあら〜♡

ごめんなさいねご主人様、レーネちゃん♡』



それだけ言い残してジャンヌは還っていった……

うん、あの聖女様、根はいい人なのは間違いないんだけどね…?

あ、ちなみに【悪魔聖女ジャンヌ】は分霊タイプなので今ここに来たのはメリュ様達の護衛をしているジャンヌとは別のジャンヌ…要するに分霊だ。

見た目は銀髪赤眼でふんわりとボリュームのあるツインテールにしていて、優しげな顔立ちをしたスタイル抜群の美女。

………なんだけどなんでツインテール…?

優しい顔の女性とは言え、いい歳をした見た目年齢でツインテール………???




「もうっ!ジャンヌさんなんかアーサーさんとイチャイチャしてればいいんだよぅっ!!」


「ん?レーネは何を言ってるんだい??」


「えっ?」

「えっ?」


「あー…うん。お兄ちゃんが知らないなら良いや。」


「…?」



まぁ良いや、探索を続けよう。


【オマケ】その頃のジャンヌさん。

※引き続きキャラ崩壊中







ジャンヌ:ハッ、今わたしの分霊がご主人様に迷惑かけた予感!!


アーサー:ははは…悪魔の側面かな?


ジャンヌ:あぅ…恥ずかしいなぁ……


アーサー:僕はそれ込みで君の事が好きだから安心して?


ジャンヌ:…知ってるよっ!!だからわたしも安心して素で接してるんだから!!


アーサー:ははっ♪

(ジャンヌの頭を撫でる)


ジャンヌ:えへへぇ〜♡アーサーくんしゅきぃ〜……♡


メリュ:(なぁリリカ、こやつ本当に聖女なのかぇ?)


リリカ:(ただの色ボケ女騎士では?)


メリュ:(ふむ…やはり神子殿と同類じゃな?)


リリカ:(ええ、オルデン神官長と同類ですね。)


メリュ&リリカ(と言うかこれ、街案内と言うよりただのダブルデートなのじゃ(ですね)。)

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