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第2話:ネクロマンサー、謎の美幼女に出会う。

ー翌日。

勇者パーティーから追い出された僕は、冒険者ギルド経由で国王様に勇者パーティーを追い出されたので冒険者業に戻る旨をしたためて、それとついでに【ある物】も添付した手紙を送り、ギルドを後にした。




(さて、コレで僕は一足先に自由の身、か。)



…そこで気になるのはやはり、弟の様に可愛がっていたレンの事だ。

勇者である事を鼻にかけず、勤勉で、僕に教えを乞う姿はいじらしがった。

交渉術や野営の仕方、道具の選定………

どれもこれも彼は必死に覚えようと努力してくれた。

そんな彼を潰されてたまるか、と僕は思っていたんだ。

だからこそ、僕は彼に1つ、彼の同意の元である呪いをかけておいたんだ。

きっとそれはそう遠くは無い未来に発動する。

というかレンは時空魔法の転移が使える規格外勇者し、本来なら今日、僕も含めて転移して戦うつもりだったから、そのまま全滅するだろうね、早ければ今すぐにでも。

僕が抜けてレンを本当の意味で支援が出来る者が居なくなったあの勇者パーティー(笑)は。


そう思いながらも早速本来のスタイルであるソロで依頼を受けた僕は空を翔けてある森の上空にて依頼の魔物を探しに来ていた。



ーおっ、見付けた。

っ!『ベノム・ブラッド・ブレス』!!」



ーそして対象の魔物をあっさり倒した。

…討伐ランクSの魔物だったけれど…うん、【ファフニール】を『英霊憑依』させて竜人に成っている今の僕の敵じゃない。

と、そのファフニールが話しかけてきた。



『主よ、随分荒れているな?』


「なんだよファフニール、やっぱり分かる?」


『うむ、主にしては雑な仕事だからな。やはりあの幼子が気になるのか?』


「そりゃあね、僕にとって彼は大切な弟分…気にするに決まってる。」


『だ(・)か(・)ら(・)見(・)殺(・)し(・)に(・)す(・)る(・)と言うのも、同意有りきとは言え主達も狂っておるな。』


「…正直倫理観はイカレてると自覚しているよ、僕達は。」



何せレンもノリノリだったからね、蘇れるとは言え、

1(・)度(・)死(・)ぬ(・)の(・)に(・)。

殺し殺されが常の魔王討伐の旅とは言え、倫理観の欠如は由々しき事態ではある。

実際、僕もレンもあの女共が死んでも何とも思わないだろうから。

……まぁ、僕に対する嫌がらせや殺人未遂、レンに対する性的暴行未遂…あの女共はただの疫病神だったけれど、さ。



「…ん?」


『む?なんだアレは、ヒトか?』


「…人、だね。」



遠目では詳しくは分からないけれど、たった今倒した魔物の傍に誰かが居た。

…どうやら巻き込まれた訳では無さそうだ。

一先ず、自分に自動蘇生をかけてから話しかけてみる事にした。



「…キミ、ちょっと良いかい?」


「ん?」



随分幼げだなと思ったら顔立ちもまんま子供だった…

こんな所に小さな女の子が1人で…?

勇者(レン)という例外は居るものの、僕は警戒心を高めた。



「僕はその魔物を倒した冒険者の者…リトだ。

キミは、その魔物を見て呆然としていた様だけど…?」


「…えっ…?あっ…!」


『ふむ。』



ん?あれ…??

女の子はキョトンとした後、何故か泣き笑いの笑みになり僕に抱きついてきた!?

あれ、ファフニールが反撃しない…

それに、特に苦しんだり死んだりはしなかった…単純に抱き着いてきただけらしい。

というか僕のお腹にグリグリと頭を擦り付けて甘える様な行動だ。

それからパッと顔を上げ、再び八重歯の見える可愛らしい笑顔を見せる女の子。

ただやはりどこか無理矢理の笑顔に見える。



「わっ……わらわを助けてくれてありがとうなのじゃ……


「ん…?ひょっとして襲われていたのかい?」

『どうやら襲われていたようだな。』


「そうなのじゃ…わらわ、お父様が死んでひとりぼっちになってしもうてな…?

そしたら…お父様の部下の一部がわらわを……ぐすっ……だから、助かったのじゃ……



辛そうな顔、泣きそうな顔、再び無理矢理の笑顔………

うーん…表情がクルクルと変わって忙しないね!

とりあえず頭を撫でてみる。



「んっ…♪にへぇ〜♪気持ちいいのじゃぁ〜…………


「かわいい。」

『可愛い。』



ついついファフニールと言葉が重なる。

というかこの角…もしや魔族……?

なら、なんで人間である僕に対してこんなにフレンドリーなんだろ?

…あー…いや、今の僕は竜人(ファフニール)だった……



「キミ、ちょっと良いかい?」


「んぅ?なんじゃリト殿。」


「…僕、人間だけど大丈夫??」


「…はぇ…?それがどうしたのじゃ??」



ここは正直に言う。

万が一があっても死なないしね僕。

が、魔族の女の子は再びキョトンとする。

かわいい。

とりあえずまた頭を撫でてみる。



「にへぇ〜…♪」


「クッ…かわいいが過ぎる……!!!」


『主よ、全面的に同意するが落ち着け。』


「すぅ〜…………はぁぁぁ〜……………………………よし。

あの、見たところキミは魔族だよね?

魔族は人間の事が憎かったり、嫌いなんじゃないのかい?」


「はぇ?なぜそう思うたのじゃ??」



一旦深呼吸をして思考を切りかえた僕は目の前の女の子に改めて問うと、しかし女の子は今度は意味を理解した上で首を傾げている。

そしてさらに続けた。



「会(おう)た事も無きニンゲンを、どうしてわらわが嫌わねばならぬのじゃ?

ニンゲン、と言うても全員が悪人ではなかろうに。

見ず知らずのわらわを助け、魔族であるわらわの頭を撫でてくれたリト殿の様にな。」


「あ、いや、魔物を倒したのは依頼だったし偶然…かな………


「ふふっ…わらわがお主に好感を持つのはそうゆう素直なところじゃよ、リト殿。」


「…じゃあ、魔族は、人間を無差別に襲ったりは…?」


「1部の血の気の多いバカや、そも、ニンゲンから襲われて復讐の為に反撃に出た者以外はニンゲンを襲ったりはせぬのじゃ。

それはニンゲン共も同じじゃろ?」


「ー。」



目からウロコ、だった。

そりゃ、そうか。

人間側だって、魔族を積極的に倒そうとしてるのは、

勇者であるレン達勇者パーティーの者か、

戦闘狂か、復讐者か、だ。

だとしたら…国王様達がしている事って…


《人間側から見た魔族に対する誤解による一人相撲》


…なのでは…?

と、僕が戦慄していると女の子は更に続ける。



「今もそうじゃがな?

魔王軍は基本的にニンゲン共への領土侵攻を良しとはしておらぬ。

寧ろ、魔物や荒くれ者を抑え込むのが責務なのじゃ。」


「っ…!じゃ、じゃあ、人間と敵対していたり、村や町を襲っている魔族は…?」


「すまぬ、そやつらは現魔王軍が抑えきれなんだ荒くれ者共であろうな……特に、お父様が死んでもうてからは魔王軍も一枚岩では無くなってしもうた…………

今回ニンゲン共の領土へ侵攻しておるのは…その離反した魔王軍の奴らじゃな………

四天王も今や2人だけになってしもうたのじゃ……


「ー。」


「その2人も………わらわを逃がし、いつかわらわが戻るその時まで城を運営する為に残ったのじゃ…あやつらが付けてくれた護衛…は…………りっ……リリカは………さっきの【殲滅級魔獣】にやられてもうた…じゃからのぅ、リト殿。

その強さを見込んで頼む。

わらわの護衛になってはくれぬか?」


「それ…は………



正直、あの人格者で柔軟な思考を持つ国王様と王后様だ(・)け(・)な(・)ら(・)この子の話を聞いたら直ぐに現魔王軍と同盟を締結する為に真偽を確かめてきてくれと親書をしたためて僕を魔王城へと派遣してくれるだろう。

それを兼ねて同盟を結び王国の庇護も得られれば彼女を四天王2人の元へ送り返せるかもしれない。

と言うかこの子、話の内容的に【魔王の娘】で【現魔王様】じゃないのかな?

だったら………



「分かった、僕が…ううん、僕(・)達(・)が(・)キミを護るよ。」


「(!)ありがとうなのじゃ…!やはりリト殿は優しいのじゃ…………


「ははは…



さて、と。

魔物の死骸も死霊に頼んで回収してもらったしそろそろ一旦帰るかな…?

でもその前にー



「じゃあ先ずはそのキミの護衛を蘇らせよう!

サモン!頼むよ【アスクレピオス】!!」


『ーふん、任せろ。

ひ(・)し(・)ゃ(・)げ(・)た(・)死(・)体(・)程(・)度(・)の蘇生、僕にかかれば造作もない。』


「はぇ…?」



という訳で魔獣の死骸の近くにあった遺体をアスクレピオスに『完全蘇生』してもらった。



「う…あれ…?私……


「りり…か…?なのかぇ…?」


「っ…!メリュ様っ!!ご無事でしたか!!」


「わ、わらわは無事じゃっ!!しかしリリカよ!!お主はわらわを庇って死んだはずじゃ!!

リト殿っ!?コレはどうゆう事じゃ!!?」



が、その質問にはアスクレピオスが自信満々に答える。

この人(?)、悪気なく上から目線だからなぁ…………



『ふん。

何もおかしくは無い。

医神である僕にかかれば死(・)ん(・)だ(・)だ(・)け(・)の患者の死者蘇生程度は簡単だ。』


「ぬわぁっ!?ななななんじゃお主はー!!!!」


「落ち着こうか?えっと…メリュ様…?」


「コレが!コレが落ちついて居られるかぁぁっ!!

リリカが何事も無かったかのように立っておるのじゃぞ!?

しかも誰じゃそやつは!!」



やっとアスクレピオスの存在に気付いたらしいメリュ様が更に慌てる。

うん、可愛すぎ。

対するアスクレピオスはいつもと変わらない。



『僕はアスクレピオスだ。

神の手を持つ僕にかかれば誰も死なせやしないさ。

死んだとしても、蘇らせて死んだ事を無かった事にする。

僕の前で死ぬ事はゆるさない。

僕がこの場に居る限り、“死ぬ権利”を剥奪しよう。』


「うーん…清々しい程に傲慢!!」


『こやつとは仲良くなれそうにないな、我。』


「あ、うん、死を司るファフニールとは対局の存在だしね………


『は?ファフニールが居るのか?浄化するぞクソトカゲ。』


『これだ…我は貴様と事を構えるつもりは無い。

主よ、失礼する。』


「あ、うん、先に還さなかった僕のミスだ、ありがとうファフニール。」


『うむ。』



ファフニールが還った事で僕の竜人化も解け、人間の姿へ戻る。

そんな僕にアスクレピオスは溜息をついた。



『全く、主も物好きだな?あんなクソトカゲを憑依させるとは。

どうせならば僕やナイチンゲールにしたまえ。』


「いやキミ達は医者でしょう?」


『ナメるなよ主。僕やナイチンゲールだって戦えるぞ。』


「あー…うん、キミ達は対人戦なら得意だろうねぇ…



何せ2人共〖人体理解〗のスキルを持っているし。

なんならナイチンゲールの方は〖クリミアの天使〗のスキルで毒殺(安楽死)も得意だし。

アスクレピオス、キミはなんでそんなナイチンゲールと仲良いの?

ナイチンゲールも確かに医者系英霊だし治療は得意だし全力で治療にあたるタイプではあるけど、だけどあっちは安楽死の軍医としての側面もあるからね??

まぁ、いいか。

それより……



「ーえっと、リリカさん、で良いかな?」


「は、はい…!

あの、助けて下さりありがとうございます!!」


「お礼は彼にー

『必要ない、僕は僕の役目を果たしただけだ。

では、患者が居なくなったから僕も還らせてもらおう。』

ーマイペース!?」



ホントになんなのあの医神!?



「全くあの医神は……とにかく、僕に礼は要らないよ。

キミに蘇ってもらった方がメリュ様には都合がいいだろうからね。」


「ですが…!いえ…はい、分かりました……


「うむ!なんだか知らぬがリリカが生きておるなら良(よ)いのじゃ♪

にへへ…リリカぁ〜…♪」


「あ、あの、メリュ様…?全く…逃亡中の身で今も命の危機だったと言うのに甘えん坊なのは変わりませんか………



そう言ったメリュ様は護衛のリリカさんに抱き着いてやっと心からの笑顔を見せてくれた。

対するリリカさんも言葉とは裏腹に嬉しそうだね。

まるで姉妹の様だ。




「ーうん。それじゃあ改めて……

僕は今からキミ達の護衛になったリトだよ。

よろしくね、メリュ様、リリカさん。」


「うむ♪」

「はい!」



こうして僕はメリュ様とリリカさんを連れて街へ戻ることになったんだ。

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