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第7話:ネクロマンサーと妹、ギルドへ報告する

〖魔導人形〗

数百年前の天才魔道具技師、【エリカ・バンバルディア(旧姓:ウルフェン)】が創りだした自分で考えて行動する人形だ。

エリカには最愛の夫、【レインハルト・バンバルディア】が居たが中々子宝に恵まれず、遂には人形を我が子として創ってしまったそうだ。

まぁ、皮肉な事にその後子宝に恵まれて魔導人形は姉として彼女達の子供と共に生きていったそうだが。


その最初の子供こそがこの【ミュー・バンバルディア】だ。

エリカ亡き後はこうしてひっそりと初心者向けダンジョンの管理者としてエリカやレインハルトの記憶(データ)をトレースした魔導人形と共に稼動して(いきて)いる。



『やはりメンテナンス用の魔導人形と言えど経年劣化してますわ。』


「だからおかしくなったのか…


『ですわね。

わたくしが今修理しましたからまた暫く(数百年)は大丈夫ですわ。』


「…また優秀なネクロマンサーが現れて君を召喚してくれる事を願うよ。」


『あら、貴方は不老不死でしょう?

これからも頼みますわよ。』


「いつかは死ぬつもりだよ。」


『ふふっ…冗談ですわよ。

モノはいつか壊れるもの……

ただわたくしが見てしまった以上、看過できなかっただけですわ。』


「そうかい。」



ちなみに、現代のウルフェンの系譜では、魔導人形はアーティファクト扱いらしい。

エリカが天才過ぎたのが大きいのだけれど、エリカ以外には作成出来た者が居ないとか。


バンバルディアは宰相の系譜だ。

今代のバンバルディアも宰相をしている。

そしてそのバンバルディアのご令嬢が魔導人形を再現したとか。


………そう言えば、今代ではウルフェン公爵家とバンバルディア公爵家がどこかの貴族と戦ったらしい、けどそれはまた別の話だ。

ホント、お疲れ様だよリシャルド陛下とアイリーン殿下………アイリーン殿下の妹がバンバルディア家のご令嬢にやらかして、バンバルディア家のご令嬢をウルフェン家のご令息が庇ったらしいからね。



『はぁ…またあの王族は…何故また愚かな事を…………


「あ、やらかしたのは王后の妹らしいよ?」


『…頭が痛いですわ。』


「お兄ちゃん!落ち着いたなら報告に行こう?」


「……そうだね。

それじゃあエリカ、後は頼むよ。

積もる話もあるだろうし。」


『お気遣いありがとうございます。

…あの、出来れば夫も喚んでもらえませんこと?』


「ん…そうだね。サモン!【レインハルト】!」


『おや?お喚びですかマスター。』


「うん、君の嫁さん(エリカ)の御要望でね。」


『なるほど。』


『あなた!』

「お父さん。」


『エリー、ミュー。』



…見た目年齢はそれぞれ全盛期の20歳頃の2人だ。

さっきまでのクールな技術者としての顔はどこへやら、少女の様な顔で最愛の夫に抱きつくエリカと父親に抱きつくミュー。

それに応えるレインハルトも嬉しそうに顔を綻ばせる。



「それじゃあ後はごゆっくり。」


『うん、ありがとうマスター。』


『レインが居ればわたくし、全力を出せましてよ!』


「ワタシも、もっと頑張れる…!」


「何に全力を出すつもりなの…?」



既に異変は解決した気がするんだけど?

まぁ、レインハルトが居るならおかしな事にはならないでしょ。


ちなみにレインハルト自体は良くも悪くも〖ただの優秀な宰相〗でしかない。

そんな彼が英霊(自我を持つ霊)になれたのは数百年前にこの王国で起こった事件を解決した率役者で世紀の大発明者であるエリカの夫だからだ。

参謀として優秀だから僕も度々お世話になっている。



「行こう?お兄ちゃん!」


「うん。」



僕とレーネはダンジョンの転移石で入口へ戻った。

すると……



「お待ちしておりましたリト様!」


「異変は解決したよ。」


「はい、ありがとうございました!

リト様なら心配要らないとギルドマスター様が仰っていたので!」


「ははは…。」



うん、EXランクだからね、僕が解決出来なかったらオシマイだしね。

でも信用し過ぎじゃないかな??



「それで、原因はなんでしたか?」


「ダンジョンマスターの不具合だね。

もう直したから大丈夫。」


「承知しました。

ではギルドマスターにはその様に報告しておきますね?」


「うん、宜しくね?」



さて、フラリとダンジョンデートに来た結果が異変による被害を最小限に抑えたって中々に奇跡だよね?

表面化する頃には大災害になってただろうし、コレ……

とりあえずレーネの頭撫でよう、撫でて褒めよう。



「…レーネ、お手柄だったよ。」


「えへへ〜♪ありがとうお兄ちゃん♡」


「さて、それじゃあ帰ろっか?」


「うん!ボク満足♪」



とりあえず、メリュ様やリリカさんを僕が王都にいる時に普段使っている拠点へ案内する様にソロモンへ連絡ていたからそこで寝泊まりしていたはず。

僕とレーネは借りていた道具を返却してから拠点…ギルドハウスへと転移した。



ギルドハウス。

パーティー単位で賃貸か購入が出来る家だ。

ちなみにコレはあくまで僕とレーネ…レンの2人パーティーとして購入した物だ。


本来なら二重パーティー登録はダメなんだけどEXランクである事と、勇者パーティーは国からの依頼だったのもあって許可された。

…と言うか許可しないならアルカディア王国のギルドから脱退するとギルドマスターを脅した。

移籍先としては隣国のウィンドル王国やフェンリル帝国のギルドにアテはあったし。


そんな我が家は二階建てで赤い屋根のそれなりに大きな家だ。

部屋は、1階はリビングにキッチン、応接間、風呂やトイレと言った生活スペース。

2階には個室が5部屋、寝室だね。

尤も、僕とレーネはいつも一緒に寝ていたから4部屋空きー

……いや、正確には1部屋がアーサーとジャンヌの部屋、だったかな?

2人は基本的に自力で実体を維持する為の魔力を補給出来るから普段から顕現しっぱなしだし。

もう一部屋は錬金室になっていたね。

そして地下に倉庫がある。

地下倉庫にはいつかレーネが大人になってお酒が飲める様になった時の為にワインが寝かせてあるんだ。



「ただいま〜♪」


「おかえり、レーネ。」


「お兄ちゃんもね!」



さて、じきにアーサー達が帰ってくる。

晩御飯でも作るかなぁ………



「レーネ、晩御飯を作ろうと思うんだけど何が食べたい?」


「せっかくだからドラゴンステーキにようよ!!」


「……あー、さっきドラゴンミートをドロップしたもんね?」



ドラゴンミートは美食として知られている最上級の肉だ。

その肉で作るドラゴンステーキは柔らかくジューシィで舌の上で溶ける、〖飲めるステーキ〗と呼ばれる。


………。

人数分用意するには前に手に入れて保存してあるドラゴンミートも必要かなぁ…

とりあえず焼いていこう。


香草を用意して塩などと一緒に擦り込んでー

と、下準備をしていると扉が開く音がした。

ノックしてないし多分アーサー達かな。



『時空剣士アーサー、無事に帰還したよ、我が王。』


『ご主人様〜ただいま戻りましたぁ〜♡』


「おかえり、アーサー、ジャンヌ。

キミ達なら大丈夫だとは思っていたけど、ご苦労様。」


『ふふっ、これ位ならお安い御用さ。

護衛任務は騎士の職務の範疇だからね。』


『わたしにとっては日常ですからねぇ〜♡』


「それは良いですけど四六時中砂糖(いちゃらぶ)をばら撒かれるのはちょっと……


「わらわ達はともかく、周りにいた独り身の者達には毒だったのじゃ……


「………………うん。」



アーサーもジャンヌも生真面目だから職務に忠実なんだけど、そこだけは玉に瑕なんだよなぁ………



『全く、独り身側の事も考えてくれたまえよ。』


「ソロモンもお疲れ様。」


『うん、私は大したことをしていないよ。』


「ソロモン殿の青空教室は楽しかったのじゃ♪」


「子供達に大人気でしたね!ソロモン様!」


『喜んでもらえたなら何よりだよ。』



本当に根っからの“先生”だなぁ…ソロモン。

そんなソロモンはクリーム色のボサついたウルフレイヤーに褐色の肌、タレ目な灰色の瞳をした優しげな顔立ちに眼鏡をかけている、真っ白な研究衣をまとっているしパッと見学者にも見える姿をしている。だからこその“ソロモン先生”なんだよね。

…そう言えばソロモンって嫁さん居なかった?



「ソロモン、シヴァ喚ぼうか?」


『嬉しい提案だが、召喚枠は足りるのかい?』


「丁度、かな?」



僕は1度に6体まで召喚出来る。

そのうち2枠でアーサーとジャンヌを常時召喚していて、

今はエリカとレインハルトとソロモンも喚んでいる。

つまりあと1枠だ。



『ならばよしたまえ、何かあった時の為に枠は残しておくものだ。』


「うーん…?でもアーサーとジャンヌが居る時点で常時過剰戦力だよ??」



言うならば常時EXランク剣士、EXランク騎士 (兼サブヒーラー)、EXランク死霊術士 (ヒーラーポジション)、Sランク双短剣士 (兼斥候)の4人でパーティーを組んでいる様なものだからね。

パーティーバランス自体が良い。


しかも今はEXランク魔術師のソロモンも居る。

そこにEXランク呪術師のシヴァまで喚んだら過剰戦力どころの騒ぎじゃない。

エリカとレインハルトが駆け付けたら

魔導具技師(マルチプレイヤー)と軍師まで居る状態になる。


もう無敵の軍団レギオンだよねコレ。



『…ふむ、否定するのも無粋だったね。

ならば素直に頼もう。流石にあの2人の空気に当てられて辛いのだよ私も。今はとても妻が恋しい。』


(凄くよく分かりますソロモン様!)

(とても共感するのじゃソロモン殿…)



うん?なんかリリカさんとメリュ様がしきりに頷いてるけど………?

まぁとにかく………



「サモン!【呪術王シヴァ】!!」


『ー色ボケ集団ですか貴方達は。旦那様もやられてますよね魅了状態ですか?魅了の呪いのパンデミックですか?私よりナイチンゲールを喚ぶべきでは?レン様に至っては何故女性に?色ボケが過ぎて最早悲惨ですよ呪術師の私にどうしろと??』


「喚んで早々辛辣な言葉の連撃が凄い。」


『…………。ともかく。事情は空気で察しました。』


「辛辣な言葉の連撃をしつつしっかり旦那様ソロモンの腕に抱きついていてシヴァもただの乙女では?」


『旦那様の心のケアは大事ですから。』



シヴァ。

彼女は精霊族にして呪術の天才だ。

透き通る様な青髪ロングヘア、キリッとしていて氷の様な透明の瞳は猫のようなツリ目、限りなく白に近い肌をしていて顔立ちはキツめの美人。

見た目は冷たい人に見えるし冷淡(クール)な性格だが、その実旦那であるソロモンを深く愛している情熱的な一面もある。



『私が旦那様を癒します。』


『…やはり今日も可憐だね、私の妻は。

居てくれるだけでもう癒されたよ、流石私の親愛なる妻だ。』


『っ!?』



あー…うん、ソロモンも嫁馬鹿じゃないかぁ……



「お兄ちゃん…♡」


「あ、うん。」




ちなみに料理は根性で完成させた。

料理中ずっとレーネにキスされたり背中にくっついてきたりされたけど

根性で、完成させたとも。


ちなみにそんな僕はメリュ様から冷たい目で見られていた。

リリカさんは呆れてもう見ないふりだった。

(メリュ様を膝に乗せて頭を撫でながら)


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