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絵本の棚

作者: 黒宮杳騏

私は、細密画のように美しい絵本を十三冊持っている。

二十九頁の本が一冊、三十頁の本が四冊、三十一頁の本が七冊、そして、二十八頁の本が一冊。

それを一日の終わりに一頁めくるのが日課だ。

すでに話の内容は覚えてしまっているが、細部まで描き込まれた絵は何度見ても飽きない。

時には棚から手に取り読んで、再び棚に開いて置いた。


明日はあの(ページ)が見られる。

来月はどんな絵本にしよう。

そんな事を考えながら眠る。

そうでもしないとおかしくなってしまいそうだった。

無機質なカレンダーを見て溜息を吐くより、美しい絵本を見て、開かれたその頁数(ノンブル)で日付を確認

する方がストレスを感じなくてすむし、そうして芸術(アート)に触れている時のような感覚が、この荒んだ心をわずかでも癒してくれる気がする。


休日に古本屋を巡って、美しい絵本を探すのは楽しい。

子供向けの内容とはいえ、この美しい絵を子供だけが独占するのは勿体ない。

描き込まれたドレスの模様や調度品の数々。

華やかな色が踊る舞踏会。

時には恐ろしい魔物が牙を剥き出し、重厚な唸り声や大地を揺るがす咆哮までもが聞こえてきそうな絵もあるが、そういう時は必ず王子様や騎士が勇敢に立ち向かい、巨大なドラゴンさえ倒してしまう。


雪に閉ざされた国が舞台の絵本は冬に、砂漠の国が舞台の絵本は夏に。


もうすぐ日付が変わる。

私はソファーから立ち上がり、棚にある開かれた絵本に手を伸ばして光沢のある厚手の頁を一枚めくり、再び棚に戻した。


お姫様達は楽しげにくるくると踊る。

明日になれば王様に秘密が知られてしまう事にも気づかずに。

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