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あとがき


まずはここまで読んで頂き、ありがとうございました。二人には最初から別れの結末が用意されていましたが、悲しいお話、というよりは、少年たちや彼らを取り巻く世界の儚い美しさを表現したお話にしたいな、と思って書かせて頂きました。その点で、主要人物二人と他の人物の会話は(極力)小説上に出さないよう致しました。また、詳しい説明をしなかった部分も多々あります。

その為、この場をお借りして小説上に描かなかった部分についてご説明させて頂こうと思います。この小説を読み、美しい雰囲気の小説、で終わらせたい方は読む事をお勧めしません。疑問がいくつも残り、不完全燃焼の方は是非お読み頂いて、気持ちがスッキリする事を祈ります。






・篠藤蒼はなぜ死んだのか

小説中では電車と接触してしまった、という事実しか描きませんでした。他殺か自殺か事故か。このどれもがハッキリとは該当せず、事故7割、自殺2割、他殺1割ぐらいの感覚でいます。

蒼は死にたかった訳ではないです。真白との毎日は幸せなものでした。それこそ死因としては、「神隠し」とでも呼ぶのが正しいような、この世のものでない何かに見初められた、というのが私の考えるお話になります。他人から見れば自殺、蒼自身や真白からすれば事故、真実としては他殺と呼べなくもない、といった感じです。



・パラレルワールドは実在するか

真白の見解では、自分の住んでいる世界と並行した世界があり、それぞれ蒼の生存するルート(通常通り電車が動いている)、蒼を亡くしてしまったルート(その日のいつも乗る電車が30分遅れた)とされます。その30分のずれというひずみから互いを想う気持ちに惹き寄せられ、自分たちの通学電車のあの区間だけが重なってしまった、というものでした。

この、生存する蒼がいる並行世界ですが、これは真白が生み出したものになります。妄想、と呼んでも過言ではありません。なので、きちんとさよならが出来た時、あの並行世界は消滅しました。

私は人の想いや妄想が強すぎ、現実に影響を与える、という展開が好きです。その為、強すぎた真白の妄想、想いが現実にも影響を及ぼしました(女性の一日行方不明事件)。

追記:並行世界が真白の妄想であると記載しましたが、蒼までもが完全に妄想で用意された存在ではありません。蒼もまた、真白を想い、愛していて、死んでほしくなかったのです。その気持ちは、真白の生み出した妄想ではありません。



・サブタイトルの意味

トラジェディ…「惨劇」という意味で使用しました。そのままです。

ソリチュード…「孤独」です。独り事実を抱え込む真白をこの言葉で表現したかったです。

グラーヴェ…「深刻に、重々しく」。演奏記号です。事実を共有し、少年二人で抱え込むには重すぎる事態に直面する姿を一言で表すとしたら、かなり考えましたが此方の言葉が最適かと思いました。

アドレセンス…「青春」という意味で使用しました。このお別れが、愛し合った思い出が、二人にとって眩い青春であった、という事を表したかったです。



・青色と白色に意味はあるのか

二人の色という共通点は完全に後付けでした。私がまず書きたかったのが、電車の数分間だけ会える二人、今まで二人で見てきた車窓からの四季の景色を、二人の別れ、真白の門出に贈るというシーン。このお話にメリハリや纏まりを付ける為、世界を織りなす大きな二色を選びました。



・真白はこれから恋をするか

完結した小説の未来は、読者様が頭の中で思い描き、創造するものだと思います。

不躾と思われますが、ここに自分の考えを記させて頂ければと思います。しかしすでに筆を置いた身である私がここに記すものは、一人の人間が描いた小説の未来に過ぎません。読者の皆様がそれぞれの未来を描いてくだされば、幸いです。

真白は独り身のまま、幕を閉じます。あのまま大学へ行き、一般企業に勤め、平凡でもまあまあ幸せな日々を送ります。そのように生活が変わる度、蒼のお墓と蒼の家族へ報告に行きます。蒼の家族も、真白を自分の子どものように大切にし、真白も自分の家族のように、幾度も訪問を繰り返します。真白の心にはいつも蒼がいます。蒼の家族はそれに対し、真白の幸せを願い、新しい未来へ踏み出すよう促すこともありました。しかし、蒼を想う事が真白の幸せだと気付き、それからは何も言いません。




以上で、解説も終了です。ここまでお付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました!

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