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 決勝戦から、授与式を終え、俺達は高等部門が行われているもう一つの闘技場へ来ていた。

こちらは、俺達初等部が使っていた闘技場よりも広い会場なのに、その客席は満席になっており、外部から来ている客が圧倒的に多い。

 他国からのスカウトや、どこかの団体からの視察も含まれているそうだ。


 そんな第一闘技場で、俺達上位三名はエキシビションマッチを行う。

相手は高等部の上位三名。

 これはある意味洗礼の様なものであり、出過ぎる頭を抑えるための行事だとか。

 つまるところ、挫折を味あわせるためのイベントだ。


『高等部上位三名。アルテラント生徒会長、ピリド副会長、ガトム武力長』

『初等部上位三名。ノア選手、ハク選手、レオナ選手』


 二列に並び、互いに、自分の戦う相手の前に立つ。

偶然だろうが、高等部と初等部の男女の並びが、完全に逆の状態となっている。


 生徒会長と呼ばれた女は、まさしく優等生と言わんばかりの凛々しさで、色素の薄い金色の髪にウェーブの掛かった、長身の美女(年齢のわり)だ。

 一方、その両隣にいる副会長と武力長は、対照的な組み合わせで、副会長はがり勉っぽい眼鏡を掛けた青髪の優男。

 武力長は、全身ムキムキの筋肉ダルマ、赤髪のツンツン頭がなんとなく暑苦しい。


『毎年恒例エキシビションマッチ。初等部の優勝組に現実の差を押し付ける公開処刑の様な非道な行事。しかし、これが終わることはありません。』

『それもその筈、ここで負けた生徒は、更に強くなれることが、学園長主導のデータ収集で判明しているからです。』


......


「それじゃ、良い試合にしよう。君達は安心して良い。爽快感あふれる敗北をプレゼントしよう。」


 イケメン女の生徒会長は、そう言って俺に手を差し出し、俺はそれに応じる。

その瞬間、魔力で作られた鎖の様なものが手に巻き付いた。


「契約成立だ。君は私に『勝てない』代わりに、敗北することで『爽快感』を得られるようになった。ふふ、どうだい?この私の【契約】属性は。」

「生徒会長などと持て囃されている者が、情けないな。」


 そう言って、俺は生徒会長から付けられた鎖の魔法を、『クリア』で覆い、ゴリゴリとすり潰した。


「ッ!?」

「俺は、俺達は、このエキシビションマッチを負けに来たわけじゃない。他二人は知らないが、少なくとも俺は、この悪習を正すためにこの場に立っている。」

「......君も、相当強力な【固有】属性を持っているようだね。」

「勘違いするな。俺に魔法属性の適性は無い。」

「なに......?」


 俺の言葉に耳を疑ったのか、生徒会長は顔を険しく歪める。

しかし、それも、アナウンスの声によって掻き消される。


『さて、両選手は前に、残りの方は下がってください。それでは、三位戦を始めます。』


 こうして、エキシビションマッチが始まった。


◇◆◇


 レオナとハクの戦いは省略した。

結果は一対一。レオナは負けたが、ハクは勝利した。


 最終ラウンドの俺と生徒会長の試合も、中盤に差し掛かるところだ。


「『グランドレイ』!」

「連技『睡蓮舞踊(すいれんぶよう)』」


 極大で広範囲の破壊光線を、滑る様に避ける。

俺の手を警戒しているのか、中々近付くことはできない。

 というよりも、執拗に近付こうとする俺の姿勢から、近接戦に入られる危険を避けているようだ。


「『魔力砲』!」


 生徒会長の【光】属性破壊光線から着想を得た『魔力砲』。

両手を前に突き出し、魔力をらせん状に放つその技は、まんま『かめ○め波』だった。


「完全に【無】属性の魔力を直線状に放出するか。君は今までに見たことが無い様な魔法を使うな。」


 褒めているのだろうか、それなりに余裕そうに振る舞う生徒会長は、明らかに消耗している。

しかし、それは俺も同じ。

 いくらポーションで回復したと言っても、精神的な疲労が回復するわけじゃない。


「私としても、年上としての意地があるんだよ!」

「そうですか!!」


 互いの光線がぶつかり合い、消滅しあう。

魔力量単位の攻防は互角、精神力も互角。

 しかしながら、それに見合うだけの気位(プライド)が足りなかった。


「ぐっ、ぅぅおおおおおお!!」


 腹部を抉られながら、直線的に会場内を水平に飛ぶ。

そのまま、壁に叩きつけられ、そのまま意識を失った。


「はぁっ、はぁっ、あ、危なかった......」


 薄まる視界の端で、生徒会長が膝を突く姿が見え、少なからずの満足感を得た。



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