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『プレイヤーシステム』の魔改造を開始してから数分。
やっと思った通りの結果を得られ、汗を拭った。
『鑑定システム』
名前が文字化けせずに成立した唯一の例と言える。
これは、『プレイヤーシステム』の内容物である6個の能力に振り分けられた60のポイントを、『・他人のステータスを自由に見る事ができる。(ただし一部表示されない)』に振り分け、()の中身を消去した結果、【無】属性魔法の『鑑定』に付属する追加パーツにすることができた。
つまり、『鑑定』がちょっと強くなったといったところだろう。
「ヨシッ!ってことで次は俺の試合だな。」
軽く関節を曲げて伸ばして、準備運動をした後、闘技場内に向かっていく。
◇◆◇
『アレクサンダー君VSベルナリンドさんの戦い、非常に僅差の結果となりましたが、勝利を勝ち取ったのはベルナリンドさん!流石に2年分の差は大きかったァ!!』
『全力と全力のぶつかり合いと言えば、あれほどの試合は中々無いでしょう。一回戦のレオナ選手とラルフ選手の戦いを上のランクにシフトチェンジしたような、高レベルの戦いでしたね。』
おっと、まさかアレクサンダー君が負けるとは、ベルナリンド先輩とはそこまでの実力者だったか。
もっとちゃんと試合を観戦しておくべきだった。
『次の試合ッ!一回戦と二回戦を圧倒的一撃で沈めた男ッ!Sクラスの首領でありながら、聞くところによるSクラス内最強!【無】属性魔法を駆使して戦い、さらには剣を使わないという戦法を取る奇抜の塊ッ!!』
『対戦相手は二年生。前回大会で先程ノア選手と戦ったグレイ選手との闘いで、急遽辞退したため上位には食い込めませんでしたが、それでも実力は2年随一なのだとか。』
次の対戦相手の情報が聞こえてくる中、それと並行してマキ達と話をする。
一応パルエラから直接連絡をとってもらって、包帯男とも話せるようにした。
『どーもどーも、ボクです!久しぶりに声が聞けたと思ったら、面白い事になってるじゃーん。』
『俺としては散々ですよ。異常なまでに強い姉にボコボコにされて、【称号】を解放して貰わなくちゃいけなかったし。お陰で【怠け者】までしか手に入らなかったんですよ。』
『うんうん、【怠け者】【愚か者】【恥知らず】の三大汚名【称号】。ノア君なら欲しがると思っていたよ。』
【怠け者】は【称号】の獲得にブーストが付く。
【愚か者】は魔法の熟練度にブーストが付く。
【恥知らず】はステータスの成長にブーストが付く。
それぞれ汚名と言われるだけあって、かなり外聞の悪い称号だが、それでもそれに見合った対価がある。
『基本的にはパルエラから助言する事は禁止していても、君がパルエラに聞く分には回答の制限を設けていない。それは単に君の成長方針を君の主体性に委ねるためさ。』
『カミサマさんよォ。せめてノアに精霊の遺跡がある場所を教えてやっちゃくれねェか?オレの恩恵は今の所『魔力+1200』だけ、属性魔法は欲しがらないこいつだが、せめてもっと成長率を高めてやりてェ。』
マキが初めて会う最高神に直訴する。
その心意気は非常に嬉しいが、恐らく包帯男は教えないだろう。
『良いよ。ボクもノア君が強くなるには賛成だし、いくらか良い事を教えてあげるよ。』
......どうやら最高神というのは、思ったよりも頼んでみるものだったようだ。
『まずは精霊が欲しいとのことだから、三ヶ所、近場を教えよう。』
包帯男が言うには、
一つ目、この学園の西にある砂漠。
二つ目、この学園の東にある森林。
三つ目、この学園の地下。
の三ヶ所。
近い、近過ぎる。
一度見たことのある地図に載ってた。十キロ圏内だ。
まさかそんな所にパワーアップの手掛かりがあるなんて、思ってもみなかった。
いや、少し慢心していたのだろう。
思えば、俺の故郷の村の近くにも遺跡はあったし、割とかなり多くの遺跡が世界中にあるのだろう。
『次は、ボクの体。ボクの半神であり子供達の居場所を――』
『やってまいりましたッ!ノア・オドトン。重役出勤かァ!?それともまさかッ、前回大会での彼の敗退理由に対してのからかいなのかァ!?底知れないッ、一体何を企んでいるノア選手ッ!!』
包帯男の言葉を遮る様に、実況の男の声が耳に響く。
気付けば、話に没頭して、会場内に来ていたことに気付かなかった。
『んー、話はまた後で、健闘を祈るよ。』
そう言って、包帯男の気配は遠くへと行ってしまった。
興味深い話が途切れてしまい、残念だが、試合には集中するしかない。
できるだけ善戦するとしよう。
......しかし、神が祈るか。ははっ




