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 イキシアに一方的に喧嘩を売り、一方的に攻撃したのに、一方的に負けた。

心はボロボロに、身体はガタガタになるまで倒され、今イキシアの手で実家に強制送還されそうになっている。


 このままでは、マジで実家に帰される。

それは絶対に阻止する必要がある。


が、それ以上にイキシアに一泡吹かせたい。

 『弱い』とか『才能が無い』とかは自覚しているが、それでも言われて喜ぶようなことは無い。


「イキシア、俺と賭けをしろ。」

「お姉ちゃん、そういう口調は感心しないな。」

「受けなければ一生お姉ちゃんなんて呼ばないからな。」


 絶対に受けさせる。対等な勝負で勝って、認めさせてやる。


「俺が一発でも与えられたら今の発言を全て撤回しろ、退学もナシだ。」

「じゃあ、与えられなかったら?時間制限も付けるよ?」

「10分だ。10分以内逃げ切られたら、あんたの言いなりになってやる。もちろん、お姉ちゃんって呼ぶし、好きな様、好きなだけ、好きにしていい。」

「......へぇ」


 イキシアの目が指導者から捕食者へと変わる。

それは、手加減を抜きにするという無言の圧力であり、俺への確認を求める目だった。


「狂気への逃避行もしない。終始俺のままあんたの望むままになってやる。」

「......ったぁ!」


 満面の、花開いた様な笑みを浮かべて、イキシアは俺へ駆け出す。

瞬間移動の様な駆け出しっぷりに、一瞬怯むが、煉った魔力は留まらず、決めた形に成る。


「『魔力の鎧』?防御だけじゃ意味無いよね?あ、もしかして、ノアくんもお姉ちゃんと一緒にいたかったの?ああ、10分なんて待ち遠しいから、気絶させてタイムオーバーを狙うけど、良いよね?良いよね?良いよね?」


 剣先が魔力をなぞり、薄く少しずつ防御壁が削られる。

もって30秒。その時間でやることなんて、一つしかない。


(パルエラ。【称号】を解放してくれ。)

『はーい♪やっとかぁ』


『【受け身士】【上級受け身士】【護身術士】→統合→【護身開眼】』


『【斥侯見習い】【木こり見習い】【鑑定士見習い】【投擲術見習い】【棍棒使い見習い】【弓士見習い】【斧術見習い】【テイマー見習い】【槍士見習い】【短剣術見習い】

↓進化

【斥侯】【木こり】【鑑定士】【投擲術】【棍棒使い】【弓士】【斧術】【テイマー】【槍士】【短剣術】』


『【指導者】【##流拳闘士】【##流格闘家】【##流師範】【開祖】【無属性魔導師】【無属性最強】【首領】【スライムキラー】【治療士】【縫合士】【イキリスト】【ナルシスト】【嫌われ者】【無能】【怠け者】【ドM】【なんちゃって優等生】』獲得


 ◇ ◆ ◇


ノア・オドトン 八歳 男

HP:231/231×1.4+2500

筋力:99×29.7

魔力:312×11.3+1200

敏捷:165×13.3

忍耐:353×15

知力:231×8.2

幸運:100


適性魔法属性:【無】

使用可能魔法:『サイコキネシス』『ボックス』『オートモード』『強化』『魔力鎧』『魔力鞭』『魔力弾』『魔力剣』『魔力斧』『魔力拳』『鑑定』『クリア』


加護:【最高神の加護】【恋する女神の加護】【魔力の精霊の加護】【美の女神の加護】


称号:【幼児】【転生者】【護身開眼】【魔法使い】【剣士】【斥侯】【木こり】【鑑定士】【投擲術】【棍棒使い】【魔導師】【美の伝道者】【商才】【商人】【小金持ち】【弓士】【精霊使い】【ゴブリンキラー】【拳闘士】【斧術】【テイマー】【槍士】【短剣術】【無魔法使い】【指導者】【##流拳闘士】【##流格闘家】【##流師範】【開祖】【無属性魔導師】【無属性最強】【首領】【スライムキラー】【治療士】【縫合士】【イキリスト】【ナルシスト】【嫌われ者】【無能】【怠け者】【ドM】【なんちゃって優等生】


~中略~


眷属:『レフト♀』『ライト♂』『ソルド♀』【剣術】『シルド♂』【盾術】『ジャバル♂』【槍術】『アクス♂』【斧術】『ハンマー♂』【鎚術】『ウィプス♀』【鞭術】『アシン♀』【暗術】『スタッフ♀』【杖術】


 ◇ ◆ ◇ 


 この学園に入学する少し前から、俺はパルエラとマキの二人に頼んで、【称号】を獲得しない制限を掛けて貰っていた。

 それは、【怠け者】という称号獲得にブーストがつく【称号】を獲得するためのものだったのだが、その【称号】の別途獲得条件を達成したことで、問題無く獲得した。

 そのため、制限を全て解除、【称号】を片っ端から獲得しまくって、強化をしなおした。


「あはっ、急に強くなったけど、どんな魔法を使ったのかなっ!?」

「それは秘密だなッ!」


 『魔力鎧』を解除し、両腕に『魔力拳』を纏わせる。

知力が爆発的に上がった今の状態なら、イキシアが一体何をやっていたのかが手に取るようにわかる。


 あの身体の自由を奪われた謎の魔法。

それは、イキシアの【固有】属性である【強化】と【重力】によるものだった。


 まず、基本的に星の中心に向かい続ける筈の重力を操作する【重力】魔法を俺の全身に均等に掛け、身体に圧力を掛ける。

 息が荒かったり、足に力が入らなかったのは、【強化】の魔法で新陳代謝を極端に高めて体力を急激に削ったためだろう。

 

 また、【火】【水】【光】の基本属性も使えるイキシアは、【火】の熱による体温の上昇と、【水】による身体からの脱水で、疑似的な脱水症状と熱中症を負わせた。


 恐らく、異様に速く避け、突然魔力が霧散するのは【光】の魔法による疑似光学迷彩で、何かしらの方法で魔力を掻き消している。


「邪技『九龍』」


 一踏みで九回の打撃を繰り出す。

頭、両腕、両膝、鳩尾、臍、首、顎を狙ったうち、五か所が手応え無し。

 四か所が防御の感覚を得た。


 両腕と鳩尾、首だ。


 恐らくイキシアは、戦闘中に全身くまなく【重力】魔力によるバリアを張っており、それに触れた魔力や攻撃は四方八方滅茶苦茶に散らされ、イキシアの身体に届く事は無い。


 しかし、魔力が自分に効かないなんてことはなく、それに触れてしまった場合は容赦無く自身の体を粉砕する魔力に、安全策を設けて無いわけがない。


 であれば、どこかに穴があり、そこに自動防御が及ばない以上、ガードする必要がある。


「動技『唐竹』」


 俺の姿が半分に割れ、イキシアの両サイドに立つ。

しかし、それは両方残像で、本物はまだ正面にいる。という技なのだが、


「私がノアくんを見間違えるわけないじゃん。」


 と、見えない筈の俺に向かって刺突を繰り出す。


「邪技『凩』」


 

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