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 闘技大会も前日に迫り、皆それぞれで仕上げを行っていた。


 特に、大会に出場する予定の俺達数名は、他のクラスメイトにも手伝って貰い、訓練をさらに激しく加速していた。

 アレクサンダー君、俺、ハク、レオナ、ラルフ君、ヴィル君、ソニアさん。

 この七人が大会に出場する予定のメンバーで、かつアレクサンダー君とヴィル君は優勝してもおかしくない実力の持ち主だった。


 俺としても優勝は目指しているが、この二人とはできるだけ当たりたくない。

とはいえ、当たれば十分に全力で戦うつもりだが


「闘技大会はトーナメント形式で行われます。A~Dまでの4つのブロックに分かれ、それぞれ7人ずつ、2‐2、2‐(シード)の形で出ます。シードは前回大会の優勝者と下三名までです。また、初等部と高等部で試合が分かれるものの、優勝者と下三名は高等部優勝者と下三名とのエキシビションマッチを行う事ができます。」

「基本的に勝つことを想定していない、ただの模擬戦ってことですね。」

「そうです。そのエキシビションマッチまで勝ち上がり、高等部のエリート共を倒すまでが、我々1年Sクラスの目標です。」

「少し年上だからって負ける理由にはならないッスからね。」


 試合のルールは至って簡単で、近接的な戦いや、魔法での勝負でも良い。ただ勝敗は降参か気絶のみとされ、命にかかわるような魔法や追撃は違反とされ、反則負けから罰則を受ける場合もある。


 この学校は文武両道。優秀な属性を持ち、優秀な体術を扱えればそれだけ注目を浴びる。

特に主流なのは、四大属性と言われる【火】【水】【風】【土】を持ち、剣を使って戦う。

 【固有】属性は強ければそれだけ注目されるし、剣は有名な師を持てば人気が出る。


 それに対し、俺達はかなり異端だと思う。

 俺は【無】属性に我流の剣

 ハクは【固有】属性だが無名だし、剣も我流。

 アレクサンダー君は皇族だが、【火】と【光】との相性の良い属性で、師も第一近衛騎士団団長と有名な人とのこと。

 レオナは【固有】属性一つらしく、基本属性も使えないらしいが、剣でかなり有名な剣士を雇って師事してもらっていたらしい。

 ヴィル君は属性を三つに、実家の門外不出の体術を習得しているらしく、偉い人なら知らない人はいないらしい。

 ラルフ君は【風】一つで、剣が得意らしく、【無】属性が一番使えたのも彼だ。

 ソニアさんは逆に、剣や槍などの武器は一切できないものの、基本属性の六つと、【固有】属性を一つ。魔力の量もかなり多い。


 と、ヴィル君とアレクサンダー君以外、この学校の基本理念を丸無視した様な集団が出来ている。

しかも、属性を紹介したメンバーも、【固有】属性以外は基本属性も使わず、【無】属性だけで戦うつもりらしい。


 なぜそうなったのだろう。

いや、俺が原因だろう。それくらいは分かっている。

 

「てことで、年上も同級も構わず倒しまくろー!」

「おおー!」


 ラルフ君が〆たことで、それぞれが自分の訓練に戻っていった。


◇◆◇

 

 放課後、俺達出場メンバーとマリナ教師は、教室に残って作戦会議をしていた。

とはいっても、マリナ教師が事前に集めてきた対向選手の情報を共有し、対策を練るだけで、それぞれの試合内容はそれぞれで考えることにしていた。


「1年はSクラスを除くと3人、2年が9人、3年も9人。この中でシードの4人は全部3年生から出ているの。」

「......?つまり、3年の4人は2年の時点で上位4位を総取りしたと?」

「そういうことね。普通なら前3年を除いた上位4名なのだけれど、前回大会は4人が上位を独占したわ。」

「【固有】属性持ちですか?」

「そう、だけど、それだけじゃなくて剣術も抜群に強い。噂では近衛騎士を倒したとか......って」

「それじゃなんの指標にもならないッスね。」


 このクラスの人間なら、近衛騎士団長にタイマンで勝てる。

そのため、マリナ教師の提示した評価では予測がしづらい。


 慢心するつもりではないが、どこか心の中で「大したことないんじゃね?」と思ってしまいそうになるのは、しかたないものの、それによって油断するようなこと、ましてやそれが原因で敗北するということはあってはならない。


「じゃあ、最悪の相手を想像してみようか。」


 そうやって、俺とメンバーのマンツーマンでの相談が始まった。


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